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完結しました【参加〆切】あなたは何の宝石ですか?話を聞かせてください。

#12

ラピスラズリ 静かなる深淵の光

夜が街を包む頃、
ラピスラズリのように深く濃い青が空に広がる。
その中で、
ひとりの少年がダボッとした服の裾を揺らし、
ぼーっと立っていた。

「俺の名前?…言うのも面倒くさい。」
口癖のように呟く声は、
静かに、
でも確かに存在感を放つ。
赤と青のオッドアイは、
何も見ていないようでいて、
ほんのわずかに、
月の光を反射していた。

少年、
夜月 零―

―ラピスラズリの守護者だ。
熱中するものが少なく、
日々は面倒くささで埋め尽くされている。
けれど、
彼の心の奥底には、
誰も知らない熱が潜んでいた。

「君、俺の何を知りたいの?」
突然話しかけられた街の人に、
零は半分無関心に問いかける。
その無気力さが、
人々には不思議な魅力として映る。

誰もが気づかぬまま、
彼の背後には深い青が漂い、
空気を鎮めていた。

記憶は失われている―
過去の自分も、
かつて何を守っていたのかも、
覚えてはいない。

ただ、
ラピスラズリの輝きが、
無意識のうちに彼を導く。
青の深みが教えてくれるのは、
力の使い方や、
正しさではなく、

[太字][明朝体][大文字]「静かに、でも確かに在る[/大文字][/明朝体][/太字]」ということの意味だ。

ある夜、
零は石の力を感じ、
ふと顔を上げた。

「『それ』、いいね…。」

言葉少なに呟くと、
赤と青の瞳が凛と輝く瞬間が訪れる。

何かに没頭すると、
いつもの無気力な面影は消え、
心の芯が鋭くなる。

熱中する瞬間の少なさが、
逆にその一瞬を強く際立たせるのだ。

周囲は面倒くさがりで退屈そうに見える零を、
なぜか放っておけない。
意図せずに惹きつける力、無意識に人を惹きつける魅力―
それが、
彼自身も気づかぬラピスラズリの魔法だった。

「邪魔。どいて。」

少年は足を止め、
月明かりに照らされた石を見つめる。
そこに映る青の輝きは、
ただ美しいだけでなく、
深い安定感を帯びていた。
過去も未来も曖昧で、
面倒くさいことばかりの日常の中で、
零はこの青に、
静かに心を委ねる。

「…あー、面倒くさい」
ため息のような声と共に、
少年は歩き出す。

でも、
確かに一歩ずつ、
夜の街を、
青の光と共に進んでいた。


静かに、
でも確かに在る光。

それが、
ラピスラズリの守護者、
夜月 零の道だった。

作者メッセージ

(物語が短いので作者コメを長くした結果作者コメのほうが物語よりも長いです、すみません…)

ラピスラズリは、宇宙のように深く濃い青をたたえる宝石です。
その青は、静けさの中に潜む力、見えない意志、そして心の奥底にある真実を映し出します。
一見落ち着き払っているように見えても、内側には小さくとも確かな輝きがあり、
時には深い夜空の中で、星のように光を放つのです。

夜月 零のように、無気力でぼーっとしている人物でも、
心の中には誰にも知られない熱や想いが眠っています。
熱中することが少なくても、面倒くささに覆われていても、
その静かな存在そのものが、周囲に影響を与え、光を届けることがあります。
それは、無理に頑張ることや声高に主張することではありません。
ただ「ここにいる」というだけで、青の深みは周囲に安心や安定をもたらすのです。

ラピスラズリはまた、直感や洞察力、静かな覚悟を象徴しています。
零が何気なく顔を上げ、赤と青の瞳が凛と光る瞬間――
それはまさに、石が持つ力と同調している瞬間です。
心が動くとき、静かで深い光が現れ、彼自身も知らぬうちに世界を照らすのです。

この石は、熱中するものが少なく、迷いや不安を抱えていても、
自分の存在そのものが価値あるものであることを教えてくれます。
誰かに理解されなくても、完璧でなくても、
静かに自分の心を信じている限り、その青は消えることなく輝き続けます。

夜月 零の「面倒くさい」という言葉には、ただの無気力さだけではなく、
心の奥底で物事を見極め、必要なものを選び取ろうとする静かな意志が隠れています。
面倒くさい日常の中でも、偶然の瞬間に熱中し、凛とする表情を見せることがある――
それこそが、ラピスラズリが示す「静かな覚悟」の姿です。

この宝石は、強く叫ぶ光ではなく、静かで揺るがぬ光を与えてくれます。
無気力や迷いに覆われていても、
自分の歩む道を信じ、心の中の青を失わないこと。
それが、ラピスラズリの守護者である夜月 零の在り方であり、
私たちが日々忘れがちな、穏やかで確かな勇気なのです。

迷いながらも歩むこと、面倒くさくても一歩を踏み出すこと、
心の奥に眠る静かな熱に気づき、それを信じること。
そのすべてを、ラピスラズリは肯定し、そっと光を与えてくれます。
どうか、この青の輝きが、夜月 零のように、
静かでも確かな光を求めるすべての人の胸に届きますように。

2026/02/11 07:19

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