道の途中で、
魔女は立ち止まった。
足元に、
何かが転がっている。
ころん、
と。
小さくて、
きらきらしていて、
まるで落としたお菓子みたいだった。
「…あっ!」
高い声がして、
次の瞬間、
ぱたぱたと足音が近づく。
「それ、とるるのー!」
淡いピンクとミントグリーンのワンピース。
ふわっと広がるスカートの裾を押さえながら、
女の子が小さな宝石を抱きしめる。
「よかったぁ…なくなったら、すっごくこまるんだよ?」
胸元には、
小さなブローチ。
そして、
ぎゅっと握られているのは、
欠けたトルマリンのかけら。
「私は、とるる!
トルマリンなんだよ〜!きらきらでしょ?」
魔女は、
思わず微笑んだ。
「ひとりで来たの?」
「うん!」
即答だった。
「でもね、さみしくないよ!
だって、みんなのこと、ここで思ってるもん!」
とるるは、
自分の胸を指さす。
「ここにね、
○○ちゃんも、○○くんも、
おにいちゃんも、おねえちゃんも、いるの!」
魔女は、
しゃがんで目線を合わせる。
「…それは、強いわね」
「えへへ、そうかな?」
でも、
すぐに、
とるるの表情が曇る。
「でもね…」
小さな声。
「とるる、
ちゃんと役に立ててるのかなぁ、って
ときどき、思うの」
トルマリンのかけらが、
七色に、
ほんのり光った。
「とるるね」
指先でもじもじしながら言う。
「みんながけんかすると、
いやなの。
かなしくなっちゃうの。
でも、どうしたらいいか、
わかんなくて…」
魔女は、
しばらく黙っていた。
そして、
静かに聞く。
「それでも、ここに来たのね」
「うん!」
また、
すぐ笑顔になる。
「だって、約束だから!」
「誰との?」
「みんなと!」
胸を張る。
「とるる、
みんなをえがおにする宝石になるって、
決めたの!」
魔女は、
とるるの手の中を見る。
欠けた、
小さなトルマリン。
「そのかけら、大切なのね」
「うん!いちばん!」
「どうして?」
とるるは、
少し考えてから言った。
「これね、
とるるが生まれたときに、
ぽろって、かけちゃったんだって。
でもね、
なくならなかったから」
にこっと笑う。
「とるる、
ちゃんと、ここにいるんだよ」
その言葉に、
魔女の目が、
ほんの少し柔らぐ。
「ねえ、魔女さん!」
「なに?」
「とるるね、
ちいさいし、ドジだし、
すぐしょんぼりするけど…」
ぎゅっと、かけらを握る。
「それでも、
だれかに[太字][大文字][明朝体]『ありがとう』[/明朝体][/大文字][/太字]って言われたら、
また、がんばれるの!」
魔女は、
そっと言った。
「それはね、
光を分ける力よ」
「え?」
[太字][大文字][明朝体]「トルマリンは、
ひとつの色じゃない宝石」
[/明朝体][/大文字][/太字]
七色にきらめく。
「だから、
誰かの気持ちに合わせて、
色を変えられる」
とるるの目が、
ぱあっと輝く。
「ほんと!?」
「ええ。
それは、とても難しくて、
とても優しいこと」
しばらくして。
「…とるる、ここにいる!」
急に言う。
「みんなが、
また笑いたくなったとき、
すぐ、ぎゅーってできるように!」
魔女は、
うなずいた。
「ええ。
あなたがいるだけで、
救われる人もいるわ」
「えへへ…」
照れたように笑う。
「じゃあね、魔女さん!」
「ええ。約束は、生きているわ」
魔女が歩き出すと、
背中から、
声が聞こえた。
「とるる、がんばるよ!
だって、約束だもん!」
小さな光が、
七色に、
やさしく揺れていた。
欠けていても。
ちいさくても。
すぐ泣いてしまっても。
トルマリンは、
誰かの心と心をつなぐ。
それだけで、
もう十分に、
宝石なのだから。
魔女は立ち止まった。
足元に、
何かが転がっている。
ころん、
と。
小さくて、
きらきらしていて、
まるで落としたお菓子みたいだった。
「…あっ!」
高い声がして、
次の瞬間、
ぱたぱたと足音が近づく。
「それ、とるるのー!」
淡いピンクとミントグリーンのワンピース。
ふわっと広がるスカートの裾を押さえながら、
女の子が小さな宝石を抱きしめる。
「よかったぁ…なくなったら、すっごくこまるんだよ?」
胸元には、
小さなブローチ。
そして、
ぎゅっと握られているのは、
欠けたトルマリンのかけら。
「私は、とるる!
トルマリンなんだよ〜!きらきらでしょ?」
魔女は、
思わず微笑んだ。
「ひとりで来たの?」
「うん!」
即答だった。
「でもね、さみしくないよ!
だって、みんなのこと、ここで思ってるもん!」
とるるは、
自分の胸を指さす。
「ここにね、
○○ちゃんも、○○くんも、
おにいちゃんも、おねえちゃんも、いるの!」
魔女は、
しゃがんで目線を合わせる。
「…それは、強いわね」
「えへへ、そうかな?」
でも、
すぐに、
とるるの表情が曇る。
「でもね…」
小さな声。
「とるる、
ちゃんと役に立ててるのかなぁ、って
ときどき、思うの」
トルマリンのかけらが、
七色に、
ほんのり光った。
「とるるね」
指先でもじもじしながら言う。
「みんながけんかすると、
いやなの。
かなしくなっちゃうの。
でも、どうしたらいいか、
わかんなくて…」
魔女は、
しばらく黙っていた。
そして、
静かに聞く。
「それでも、ここに来たのね」
「うん!」
また、
すぐ笑顔になる。
「だって、約束だから!」
「誰との?」
「みんなと!」
胸を張る。
「とるる、
みんなをえがおにする宝石になるって、
決めたの!」
魔女は、
とるるの手の中を見る。
欠けた、
小さなトルマリン。
「そのかけら、大切なのね」
「うん!いちばん!」
「どうして?」
とるるは、
少し考えてから言った。
「これね、
とるるが生まれたときに、
ぽろって、かけちゃったんだって。
でもね、
なくならなかったから」
にこっと笑う。
「とるる、
ちゃんと、ここにいるんだよ」
その言葉に、
魔女の目が、
ほんの少し柔らぐ。
「ねえ、魔女さん!」
「なに?」
「とるるね、
ちいさいし、ドジだし、
すぐしょんぼりするけど…」
ぎゅっと、かけらを握る。
「それでも、
だれかに[太字][大文字][明朝体]『ありがとう』[/明朝体][/大文字][/太字]って言われたら、
また、がんばれるの!」
魔女は、
そっと言った。
「それはね、
光を分ける力よ」
「え?」
[太字][大文字][明朝体]「トルマリンは、
ひとつの色じゃない宝石」
[/明朝体][/大文字][/太字]
七色にきらめく。
「だから、
誰かの気持ちに合わせて、
色を変えられる」
とるるの目が、
ぱあっと輝く。
「ほんと!?」
「ええ。
それは、とても難しくて、
とても優しいこと」
しばらくして。
「…とるる、ここにいる!」
急に言う。
「みんなが、
また笑いたくなったとき、
すぐ、ぎゅーってできるように!」
魔女は、
うなずいた。
「ええ。
あなたがいるだけで、
救われる人もいるわ」
「えへへ…」
照れたように笑う。
「じゃあね、魔女さん!」
「ええ。約束は、生きているわ」
魔女が歩き出すと、
背中から、
声が聞こえた。
「とるる、がんばるよ!
だって、約束だもん!」
小さな光が、
七色に、
やさしく揺れていた。
欠けていても。
ちいさくても。
すぐ泣いてしまっても。
トルマリンは、
誰かの心と心をつなぐ。
それだけで、
もう十分に、
宝石なのだから。