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350閲覧ありがとう! 参加〆切【大型(?)参加型】 学園内何でも屋〜悪魔ハ何者ナノカ、理由ハ魔導書二アル。〜

#20

冬になる前に

終業式の日の校舎は、
音が薄い。

廊下を歩く足音も、
教室のざわめきも、
全部が一枚ガラスを挟んだ向こう側みたいだった。

「ゆめ〜、おわったねぇ」

肩にのしかかるように、
雷が寄ってくる。

今日は羽も角も出していない。
ただの、
水色の髪の女の子みたいな姿。

「終わったね。二学期」

「えへへ。お疲れさまでしたぁ」

敬語がふわふわしている。
でも、
雷はちゃんと分かっている。

“終わった”という言葉が、
ただの区切りじゃないことを。

教室の黒板には、
もう何も書いていなかった。
消し跡だけが、
うっすらと残っている。

―この[漢字]図書室[/漢字]部室[ふりがな][/ふりがな]で、
何かが起きたことはない。
誰も傷つかなかったし、
世界も壊れなかった。

でも。

「…静かすぎない?」

ぽつりと、わたしが言う。

「そう?」

雷は首をかしげる。

「いつもと同じだよ? 人間って、終わる時はだいたい静かじゃん」

「…悪魔のくせに、変なところ詳しいね」

「こう見えても悪魔。てか黙れ」

少しだけ笑った。

廊下の向こうから、
足音がする。

「神谷さん」

振り向くと、
風白先生がいた。

いつもの白いシャツ。
いつもの優しい声。

「忘れ物はありませんか?」

「…たぶん、大丈夫です」

「そうですか」

それだけ。

先生はそれ以上、
何も聞かなかった。

見えていないふりを、
今日も完璧にやっている。

雷が小さく、
あくびをする。

「ねえ、ゆめ」

「なに?」

「この学期さ」

雷は、
少しだけ真面目な顔をした。

「誰も、線を越えなかったよね」

胸の奥が、
きゅっとなる。

「…うん」

「越えようとした人もいた。
でも、越えなかった」

「うん」

「それってさ」

雷は笑う。

「えらいことだよ。すっごく」

えらい。
でも、
同時に―

「…疲れたね」

「ねぇ」

雷は、
わたしの手をぎゅっと握る。

校舎の外に出ると、空はもう冬の色をしていた。

遠くで、
紗玖と凍鶴が並んで歩いているのが見える。

首元の黒いチョーカーが、
同じ高さで揺れた。


迷宮は、
今日は静かだ。
夜になっても、
たぶん何も起きない。

「雷」

「ん〜?」

「…三学期、どうなると思う?」

雷は一瞬だけ考えて、
それから言った。

「さあ?」

赤い目が、
まっすぐこちらを見る。

「でもね。
終わったものは、戻らないよ」

その言い方が、
子どもみたいで、
悪魔みたいで、
少しだけ大人みたいだった。

「だからさ」

雷は笑う。

「次は、ちゃんと“選ぶ番”なんじゃない?」

冷たい風が吹く。
冬が来る。

二学期は、もう戻らない。

―何も壊れなかった。
―でも、確かに何かは終わった。

それで、十分だった。

作者メッセージ

はい、こんにちは!

KanonLOVEです!


いやぁ、三学期編へいよいよですね…!

ここで三学期編の予告!

えー、部員がまず増えますね、はい。

んで三学期編ではまあ、生徒行方不明事件をある先生に依頼され、調査しに行くという感じです。

まあ感動のラストで〆られるよう頑張ります!

では!

Would you like to make a deal with the devil?

2026/02/08 00:01

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悪魔学園一部爆笑系

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