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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#21

第三部 第二話 知らされる星

それは、
リハーサルの合間だった。

汗を拭いて、
水を飲んで、
床に座り込んだまま、
次の指示を待っている時間。

「…あ」
みんとが、
スマホを覗き込んだまま声を出す。

「ねえ、これ…見て」

ゆめは、
差し出された画面を覗いた。

配信サイトの告知欄。
大きく表示された文字。

―《特別ライブ開催》
―偶像ユニット asternitas

一瞬、
意味が理解できなかった。

「…え?」

如月が、
ゆっくりと立ち上がる。

「へぇ」
どこか楽しそうに、
でも目は笑っていない。

「ついに、来たんだ」

ゆめは、
喉が鳴るのを感じた。

asternitas。
朱と、黄と、
―銀灰。

“次元が違う”三人。

「…ライブ?」
みんとが、
少し声を落とす。

「うちらが出るとかじゃ、ないよね?」

「違いますよ」
如月が、
スマホを指で弾く。

「完全に“彼女たちだけ”」

その言い方が、
妙に引っかかった。

ただの事実なのに、
線を引かれたみたいで。

「…観るだけ、だよね」
ゆめは、
自分に言い聞かせるように呟いた。

でも。

胸の奥が、
ざわついている。

「ま、そうだろうね」
みんとは笑う。

「うちら、まだ研修生だし!」

明るい声。
でも、
足先が小さく揺れている。

如月は、
画面から目を離さない。

「…」
しばらくして、
ぽつりと言った。

「観せる気、満々ですね」

「え?」

「日程」
如月が、
画面を見せる。

そこには、
見覚えのある文字。

―《会場:同ステージ》

ゆめは、
息を止めた。

「…同じ、場所?」

「同じステージ」
如月は微笑む。

「つまり」
少し間を置いて。

「比較される」

言葉が、
胸に落ちた。

「…そんなの」
みんとが、
小さく言う。

「酷くない?」

如月は、
肩をすくめた。

「でも」
「それが、ここですよ」

その時。

控室の扉が、
静かに開いた。

「…知った?」

管理人の声。

ゆめは、
反射的に背筋を伸ばす。

「はい」
如月が答える。

管理人は、
三人を見渡してから、
一言だけ言った。

「今回は―見て、帰ってきて」

それだけ。

評価も、
指示も、
ない。

「質問は?」
そう聞かれて、
誰も口を開けなかった。

管理人は、
少しだけ視線を伏せる。

「…心が折れそうになったら、
無理に、真似しなくていい」

その言葉が、
妙に重かった。

「歌い方も」
「立ち方も」
「生き方も」

一拍。

「―違っていい」

そう言って、
管理人は部屋を出ていった。

扉が閉まる。

沈黙。

「…ねえ」
みんとが、
ゆめを見る。

「正直さ、怖い?」

ゆめは、
少しだけ考えてから、
頷いた。

「…うん」

でも。

視界の奥で、
銀灰の光が
ちらついた気がした。

“成功は当然”。

あの声。

「…でも」
ゆめは、
拳を握る。

「観たい」

みんとが、
驚いた顔をする。

如月は、
ゆっくりと笑った。

「でしょうね」

「だって」
ゆめは、
まっすぐ前を見る。

「…知らないままの方が」
「もっと、怖いから」

三人の前に、
まだ遠い星が、
静かに瞬いていた。

―それが、
“越えてはいけない光”だと、
まだ誰も知らないまま。
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作者メッセージ

ストック…今日と明日で…切れる…!

よし、執筆だ。

2026/02/08 00:00

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歌い手研修生から参加型

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