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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#17

第二部 第七・五話 身体は嘘をつかない

床に引かれた、
一本のテープ。

中央線。

「はい集合〜!」

明るい声が、
やけに場違いに響く。

羽賀 戒は、
いつも通りの笑顔だった。

「今日はダンスね!」

両手を叩く。

「…でも」

一瞬。

その笑顔が、
すっと消える。

「フォーメーション、
ガチで行くから」

空気が、
変わる。

「三人」

戒は、
床の線を指す。

「ここが“真ん中”」

そして。

「真ん中は一人だけ」

ゆめの指先が、
わずかに動いた。

「じゃ、軽く通し!」

音楽が流れる。

テンポは、
速い。

アクロバット入り。

みんとは、
即座に対応する。

身体が、
音に噛み合う。

如月は、
無駄のない動き。

計算された、
美しさ。

ゆめは―

二人を、
見ている。

一拍、
遅れる。

「ストップ!」

戒の声が、
鋭く響く。

「神谷」

「…はい」

「今、
何見てた?」

「…二人の位置、です」

即答。

戒は、
床を指で叩く。

「それ」

低く。

「“守る側”の癖」

ゆめの喉が、
鳴る。

「主役はね」

一歩、近づく。

「周りを見るけど、
合わせちゃダメ」

みんとが、
口を開きかける。

「みんと」

「はいっ」

「今のジャンプ」

にっと笑う。

「完璧」

「でも」

一転。

「ゆめの“間”に
合わせてたでしょ」

みんとの目が、
見開く。

「それ、
優しさじゃない」

首を振る。

「引きずり落とす行為」

空気が、
凍る。

「如月」

「…何でしょう」

「君は、
全体を操れる」

一拍。

「でも」

戒は、
目を細める。

「逃げ道を残す踊り方してる。

失敗しても
“自分は悪くない”
位置取り」

如月の唇が、
僅かに歪む。

「今日は」

戒は、
手を広げた。

「役割を
固定する」

床を、
トンと踏む。

「センター:神谷」

ゆめの肩が、
跳ねる。

「左右:如月、仰凪」

即断。

「異論、なし!」

音楽が、
再生される。

今度は、
通し。

みんとは、
全力で来る。

如月も、
一切手を抜かない。

二人の圧が、
前から来る。

ゆめは―

下がりそうになる。

「下がるな!」

戒の声。

「前に出ろ!」

足が、
止まる。

一瞬、
フォーメーションが崩れる。

「ストップ!!!」

音楽停止。

戒は、
深く息を吸った。

「神谷」

ゆめは、
顔を上げられない。

「守ろうとしたね」

「…はい」

「それで、
今どうなった?」

ゆめは、
唇を噛む。

「…全部、
崩れました」

「そう」

静かに。

「主役が庇うと、
全員が迷う」

一歩、
距離を詰める。

「君が前に出ない限り」

低く。

「如月も
仰凪も」

「本気を出せない」

沈黙。

「もう一回」

今度は、
声が柔らかい。

「今度は」

指を立てる。

「守るな」

「踏み潰す気で来い」

音楽、再開。

ゆめは、
前に出る。

怖い。

二人が、
視界に入らない。

それでも。

足を、
止めない。

瞬間。

みんとの動きが、
爆発する。

如月のステップが、
一段深くなる。

三人の影が、
一直線に揃う。

―初めて。

音楽終了。

戒は、
大きく息を吐いた。

「…今の」

笑う。

「やっと、
偶像の並び」

だが。

管理人の声が、
後ろから落ちる。

「…勘違いするな」

振り返る。

「今のは」

一拍。

「始まりですらない」

視線が、
ゆめに刺さる。

「神谷」

「はい…」

「今のを
続けられなければ」

冷静に。

「君が最初に折れる」

背中を向ける。

「覚えておけ」

扉の前で、
一言。

「守れなくなった時」

「君は」

「何を選ぶ?」

扉が、
閉まる。

床に残る、
三人の呼吸音。

ゆめの胸に、
はっきりとした恐怖が残った。

―守らない覚悟は、
まだ
身についていない。
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作者メッセージ

トレーニングって南下、
あ、タイピングミスですね、
トレーニングってなんかつらそう…。

というわけで、
私はモスクワへ行きます(北上)
では(行くけるない、学校あるよ、作者よ。)

2026/02/06 00:03

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歌い手研修生から参加型

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