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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#15

第二部 第六話 声を並べる者たち

ステージの熱が、
まだ身体に残っている。

拍手は遠ざかったはずなのに、
耳の奥で、まだ鳴っていた。

Aster Codeの三人は、
白いレッスンルームに立たされている。

壁一面の鏡。
木の床。
ごまかしの効かない光。

「…座らなくていい」

低い声。

背後に立つのは、
スーツ姿の女性。

管理人。

colorful jewelryの運営を一手に取りまとめる存在―
それ以上の肩書きは、
誰も知らない。

「今日の舞台」

淡々と、
感情を削った声。

「悪くはなかった」

一瞬、
みんとの表情が緩む。

「安心するな」

即座に、切られる。

「それは評価じゃない。
“問題なく処理できた”という意味だ」

空気が、張り付く。

「如月」

「…はい」

「君は、
自分がどこで見られているかを理解している」

一拍。

「だからこそ、
一番“安全な位置”を選びやすい」

如月は、
目を逸らさない。

「仰凪」

「は、はいっ」

「身体能力は十分だ。
だが、舞台の流れに甘えている」

視線が、鋭い。

「置いていかれるのは、
下手な人間じゃない。
油断した人間だ」

「…っ」

最後に。

「神谷」

ゆめは、
拳を握った。

「君は、
“優しい声”を
無意識に避難場所にしている」

胸の奥が、
きゅっと鳴る。

「主役というのはな」

一歩、近づく。

「守られる立場じゃない」

静かに。

「矢面に立つ覚悟を、
そろそろ持て」

沈黙。

管理人は、
一度だけ息を吐いた。

「……次」

視線を、
後ろに投げる。

「紹介する」

扉が開く。

入ってきたのは、
水色の長い髪の女性。

白いワンピース。
音符の刺繍。

黒縁眼鏡の奥、
澄んだ視線。

「私は、歌影 奏と申します」

丁寧な一礼。

「本日より、
貴女達の歌唱指導を担当します」

間。

「率直に言います」

声は柔らかい。
だが、逃げ道はない。

「今日の歌は、
“並ぶための歌”ではありませんでした」

みんとが、
息を呑む。

「音程は合っています。
リズムも大きくは崩れていない」

それでも、と。

「“誰が歌っているのか”が、
途中で曖昧になる瞬間がありました」

如月を見る。

「貴女は、
場面を作るのが上手すぎる」

一拍。

「声に余白を残しすぎです」

「嘘が、混ざる」

如月は、
何も言わない。

次に、
ゆめ。

「貴女は、
声が綺麗すぎます」

喉が鳴る。

「だから、
安全な置き方をしてしまう」

視線が、真っ直ぐ。

「それでは、
上には並べません」

胸が、
締めつけられる。

最後に、
みんと。

「貴女は、
身体に声が追いついていない」

「……」

「踊れるからこそ、
歌が遅れる」

言い切り。

その時。

「はいはーい!」

空気を破る声。

「重っ!
じゃ、ぼく行くね!」

黒髪ポニーテールが揺れる。

「羽賀 戒でーす!
ダンス担当!」

奏が、
一瞬だけ視線を向ける。

「今日のステージさ」

戒は、
床に手をつく。

「全員、抑えてた」

即断。

「仰凪、
バク転“置きに行ったでしょ”」

「……!」

「神谷、
綺麗にまとめすぎ」

手をひらひら。

「主役は、
多少ズレていい」

如月には、
にっと笑う。

「君は逆!
考えすぎ!」

「身体は、
考える前に動かす!」

最後に。

管理人が、
一歩前に出る。

「……以上」

低く。

「この二人が、
君たちを次の段階に進める」

視線が、鋭くなる。

「私は、
助言はする」

一拍。

「だが、
立たせるかどうかは別だ」

一瞬だけ、
声が和らぐ。

「歌影。羽賀」

「はい」

「りょーかい!」

「この三人を」

「偶像の隣に立てるかどうか、
判断しろ」

二人は、
同時に頷いた。

管理人は、
踵を返す。

扉の前で、
一度だけ止まる。

「……覚悟しろ」

「次からは」

「指導じゃない。選別だ」

扉が閉まる。

残された三人。

奏が、
眼鏡を直す。

「では」

静かに、微笑む。

「――まずは、
歌から始めましょう」

逃げ道は、
もうなかった。
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作者メッセージ

以上です―

まああよろしくお願いします!

2026/02/05 00:28

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歌い手研修生から参加型

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