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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#13

第二部 第四話 朱、降臨

拍手が、
完全には止まらないまま。

次の名前が告げられる。

「―偶像、十朱みや」

その瞬間。

空気が、
“張り替えられた”。

ざわめきが、
喉で止まる。

息を吸う音すら、
邪魔になる。

カツ―
カツ―

下駄の音。

それだけで、
観客は「来た」と理解する。

朱色の照明が、
一気に天井から落ちる。

赤じゃない。
炎でもない。

“朱”。

舞台中央。

十朱みやは、
一切の無駄なく立っていた。

視線を上げるだけで、
会場の温度が変わる。

「…皆さん」

マイクに触れた指先。

―震えていない。

「少しだけ、
僕の時間を使わせて」

その言葉に、
誰も逆らえない。


音がなり始めた。

和音。

一音目で、
背筋が伸びる。

音が、
“正しい場所”に落ちてくる。

♪「朱に染まる この道を
何度も 踏みしめてきた」♪

声が、
会場を支配する。

大きくない。
派手でもない。

なのに、
逃げ場がない。

みやは、
一歩も走らない。

腕も、
大きく振らない。

ただ、
指を開く。

それだけで、
視線が奪われる。

照明が、
彼女の指先を追う。

♪「完璧なんて 言葉は
僕には 重すぎるけど」♪

一瞬、
足が引っかかる。

―誰もが見た。

でも。

みやは、
表情を変えない。

その“乱れ”すら、
振り付けの一部に変わる。

…次元が違う。

音が、
一段上がる。

♪「それでも ここに立つ
理由は ひとつだけ
君の居場所に
この声が なれたなら」♪

両手を広げた瞬間。

朱色の照明が、
客席にまで流れ込む。

―会場が、
彼女の世界になる。

拍手も、
歓声も、
まだ起きない。

起こせない。

誰も、
割り込めない。


音が落ちる。

みやは、
舞う。

神楽。

一歩、
半歩。

下駄の音が、
拍子になる。

カツ。
カツ。

心拍と、
重なる。

袖が翻るたび、
朱が軌跡を描く。

…美しい、という言葉が軽い。

♪「もし 全てを失っても
それでも 歌が残るなら
僕は ここにいたって
きっと 胸を張れる」♪

最後の音。

完全な、
無音。

一秒。
二秒。

そして。

爆発。

拍手。
歓声。
叫び。

床が、
揺れる。

みやは、
ゆっくりと一礼。

その瞬間。

ふらり。

「…っ」

体が、
前に傾く。

「だ、大丈夫…」

言葉より先に、
息が切れる。

でも、
倒れない。

倒れないまま、
最後まで立つ。

それが、
“偶像”。

袖に戻る途中。

Aster Codeの三人を見る。

視線だけで。

「―次は、
君たちが“見られる番”だよ」

何も言われていないのに、
そう聞こえた。

研修生と、
偶像。

その差が。

はっきり、
刻まれた瞬間だった。
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作者メッセージ

偶像来たぁぁぁぁぁぁ!

よし、今日の夜も楽しみにしていてください!

2026/02/03 18:09

コメント

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歌い手研修生から参加型

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