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900閲覧!!【完結いたしました!】 憧れのアイドル―偶像と同じステージに立つ日まで―勝つか、消えるか、歌い手としての最初の一歩

#9

第二部 第零話 静かな会議室にて

その部屋に、
無駄な装飾はなかった。

長いテーブル。
落とされた照明。
壁際に並ぶ、三つの椅子。

―今の歌い手界の頂点。
“偶像”と呼ばれる者たちが、
そこに座っている。

誰も、
喋らない。
視線だけが、
前を向いている。

管理人は、
資料を開かずに口を開いた。

「…今年の人材は、偏りがあります」

その一言で、
空気が少しだけ動いた。

「声が強い子が多い。
技術も、感覚も、十分にある」

管理人は、
偶像たちを見ない。

あくまで、
“状況”に向かって話している。

「でも」

一拍。

「完成している子はいません」

静寂。

「自己表現に長けた子。
人を惹きつける子。
場を明るくする子。

―…どれもいる。

ただし」

管理人は、
低く、
はっきりと言った。

「覚悟が、まだ揃っていない」

偶像たちは、
微動だにしない。

頷きも、
否定も、
ない。

「今年は、
“才能を磨く年”ではありません。

“才能を残すかどうか”を、
選ぶ年です」

少しだけ、
声が柔らぐ。

「あなた達は、
その先を知っている。

選ばれたあと、
何を失うのか。

声が、
ただの武器ではなくなる瞬間を」

管理人は、
一瞬だけ、
指先を止めた。

「だからこそ、
今年の研修生たちは―

あなた達の鏡になります。

同じ道を辿る者もいる。
途中で折れる者もいる。

…戻れなくなる者も、いるでしょう」

その言葉でも、
偶像たちは、
黙っている。

管理人は、
最後に、
静かに言った。

「感情移入は、しないでください。

期待もしないでいい。

ただ」

一拍。

「見ていてください。

彼女たちが、
どこで歌うことを選ぶのか。

―これからのcolorful jewelry (カラジュエ)のためにも―」

沈黙。

それが、
答えだった。

管理人は、
それ以上何も言わず、
会議室を後にした。

扉が閉まる。

偶像たちは、
最後まで、
一言も発さなかった。

―今年の声が、
どこへ行くのか。

それを知るのは、
まだ、
少し先の話だ。
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作者メッセージ

ちょっと短くてすみません…

あと、第二部で出てくるキャラにかなり偏りが出ます…。


それでも読んで待っていてくれると嬉しいです!

ちなみに、
この部では歌や踊りが見どころです!

2026/02/01 18:00

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歌い手研修生から参加型

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