悪人の正義〜井手畑物語〜

「みんなおいで。先祖の話をしてあげよう。」

三人の子を持つ父親がこう、声をかけたのは、春休み真っ只中、昼ごはんが終わり、みんなリビングでくつろいでいた時だった。ここは2624年の鳥取県のとある一角だ。この家は、古めかしい感じの2階建ての戸建てで、とても広い。なので、みんながリビングに集まっているときに話そうと思ったのだろう。

「ねえねえ、先祖のことについて話してくれるって本当?」

真っ先にやってきたのは、次女の陽光(ひなた)だ。

「そうだよ。お兄ちゃんとお姉ちゃんの受験がようやく終わったからね。ほら、吉朝(よしとも)、鈴歌(すずか)おいで。」

長男の吉朝と、長女の鈴歌は、2人とも受験生だったが、無事に2人そろって第一志望に合格することができた。

「ねえ、お父さん。先祖のことは知ってるよ。戦国武将でしょ。なんで今さら話すの?」

吉朝が聞いてきた。そう思うのも、当たり前だ。家族全員が知っていることを、なんで改めて話さなければいけないのか。しかし、この家族の大人以外は、知らないことがある。

「そう思うだろう。でもみんなが知らないことを話そうと、思うんだ。」

「どういうこと?」

怪訝そうに鈴歌が聞いてきた。彼は言葉を濁しながら、答えた。

「それは今から話すから、聞いてくれるか?」

まだまだ、頭の中に疑問符が浮かんでいる三人の子どもたちは、不満そうだったが渋々話を聞く態勢をつくった。彼は、三人が落ち着いたのを見て、話しだした。

「これはお父さんがおじいちゃん、おばあちゃんから聞いた話なんだけどね、、、」

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