文字サイズ変更

ジャックポットに歌声を

#2

第二話

 今日のカジノは人で溢れかえっていた。
 いや、いつもも多いが今日は一段と多い。
 目的はまぁ、月一の“アレ”だろうな。
 カジノのゲームで遊んではいるが、熱気が隠しきれていない。
 いつも誰もいないはずのステージが空っぽに感じる。
 すると、華やかだがキツくない香りがした。

 さぁ、ショーの時間だ。

「皆様お久しぶりです。ルチアですわ」

 いつもとは違う大人びた笑み、少し濃いメイク。
 ニコリと微笑めば、数多の男が虜になった。
 “世界の歌姫”のショーだ、それはそれは楽しみにしていただろう。
 するとルチアはゆったりと歌い始めた。
 ジャズの音色と、溶け合うように静かに。

「My funny valentine〜♪」

 ほぅ、と人々が見惚れる。男も女も見境なく。
 静かで、優しく、諭すように。うたう。

 次の瞬間、ドアが激しく音を立てて開かれた。

 演奏が止まる。
 私が振り向くと、そこにいるのは強盗だった。
 ニヤニヤといやらしい笑みで見ていたのはルチア。

 ──見るな、ルチアをその蛆虫とすら呼べない汚らしい目で見るな。

「…皆様」

 そんな時でもルチアは笑みを絶やさず、言った。

「アクションショーのお時間ですわ」

 次の瞬間リーダーと思わしき大柄な男の顔面が凹む。
 ルチアに顔面を蹴られたのだ。
 相変わらずルチアの瞬発力と脚力には驚かされる。

「ッこのアマ──」

 一際筋肉質な、汚い男が声を上げた。

「まぁ、汚い言葉を使わないでくださいまし」

 鈍い音が響く、腹にパンチが入ったようだ。

「…あとは連続でいいですわね。」

 一打。

 二打。

 三打。

 後の者は、それだけで十分だった。

「さて…私は現場の雰囲気を変えようか」

 私はステージの上に立ち、喋る。

「こんにちは、オーナーのルーカスだ。」

 ざわざわと人々が騒ぎ出す。

「これは演出ではないが、我が歌姫がまるで演出のようにしてしまってね。」

「もう演出ということにしようと思うよ」

 ドッと人々が笑い出す。安心はしてくれたようだ。

「さて、我が歌姫に話を聞こうか」

「私のことですの?」

 …いつのまにかルチアが背後に来ていた。
 …可愛いな。
ページ選択

2025/12/21 21:46

枯花
ID:≫ 13U0WLjJcZw1g
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は枯花さんに帰属します

TOP