朝のチャイムが鳴る前。
太陽はまだ、眠気まなこをこすっているようだった。
蓮見河高校の屋上。
風が少し強い。風音だけが、空の広さを教えてくれる。
ぽつん、と。
ひとり、汐花が立っていた。
大好きだった空の青は、いつのまにかどうでも良くなっていた。
「…やっぱ、来ないか」
鼻の奥が痛くなる。
やっぱり、信じなければよかった。
「…遅れてごめん」
弥生の声。
汐花は勢いよく振り返る。その眼には少しの涙と安堵があった。
「きたんだ」
そう言うと弥生は手に持っていた甘い缶コーヒーを一つ、汐花に渡す。
「ありがと」
まだ少し、ぎこちない。
「ごめん」
屋上の扉が開くとともに謝罪の声。
その声の主は条兎だった。
いつもとは違うまっすぐで素直な眼。これがおそらく彼女の素なんだろう。
「ふふ、おそいね」
「ああ、そうだな」
「いやごめんって」
三人は柵にもたれかかると、缶コーヒーを開けた。
空はもう明るい。
「昨日さ。死にたかったはずなのに、今こうしてるのって、なんか……不思議」
汐花がつぶやいた。
「死ぬのって、思ったより難しいんだなって」
「違うよ」
弥生が、やわらかく言う。
「"死ななきゃいけない理由"が、どこかで小さく砕けただけ」
条兎も言葉を重ねる。
「たとえば、"わかってくれるやつがひとりいるだけ"で、命って、意外と引き止められるのかも」
風が、スラックスとスカートを揺らした。
「さてと…この後どうしよっか?」
「決まってんじゃん」
弥生が笑って言った。
「バカやるんだよ」
条兎が続けざまに言う。
「ふざけた僕たちで、ふざけたこの世界に仕返ししてやろう。」
弥生のその言葉に目を瞬かせた後、汐花が笑った。
いつか描いたキャンバスの色みたいに、やさしくて、騒がしい笑顔だった。
「じゃあ、“とりぷるふーるず”で行こうよ、もう天才じゃない、革命を起こすバカなボクたちってことで。」
「いいね。とりぷるふーるず、始動ってことで」
「「始動!!」」
缶コーヒーで乾杯をする。彼女達の笑顔に、もう曇りはなかった。
そしてこの日。
誰も知らない、生徒会の"裏側"が動き出す。
完璧な天才3人組は、
もうまともに生きることをやめた。
その代わり、もっとバカな、
もっと自由な方法で――
自分を、救うことにした。
「まずはー…あの人達に許可取らなくちゃ!」
「…あの人達って?」
「んふふ〜…だって革命したいんでしょ?ならまずは直談判からだよ!」
「あー…そう言うこと」
「なるほどね」
汐花の笑い声と、弥生と条兎の苦笑が、屋上にはあった。
太陽はまだ、眠気まなこをこすっているようだった。
蓮見河高校の屋上。
風が少し強い。風音だけが、空の広さを教えてくれる。
ぽつん、と。
ひとり、汐花が立っていた。
大好きだった空の青は、いつのまにかどうでも良くなっていた。
「…やっぱ、来ないか」
鼻の奥が痛くなる。
やっぱり、信じなければよかった。
「…遅れてごめん」
弥生の声。
汐花は勢いよく振り返る。その眼には少しの涙と安堵があった。
「きたんだ」
そう言うと弥生は手に持っていた甘い缶コーヒーを一つ、汐花に渡す。
「ありがと」
まだ少し、ぎこちない。
「ごめん」
屋上の扉が開くとともに謝罪の声。
その声の主は条兎だった。
いつもとは違うまっすぐで素直な眼。これがおそらく彼女の素なんだろう。
「ふふ、おそいね」
「ああ、そうだな」
「いやごめんって」
三人は柵にもたれかかると、缶コーヒーを開けた。
空はもう明るい。
「昨日さ。死にたかったはずなのに、今こうしてるのって、なんか……不思議」
汐花がつぶやいた。
「死ぬのって、思ったより難しいんだなって」
「違うよ」
弥生が、やわらかく言う。
「"死ななきゃいけない理由"が、どこかで小さく砕けただけ」
条兎も言葉を重ねる。
「たとえば、"わかってくれるやつがひとりいるだけ"で、命って、意外と引き止められるのかも」
風が、スラックスとスカートを揺らした。
「さてと…この後どうしよっか?」
「決まってんじゃん」
弥生が笑って言った。
「バカやるんだよ」
条兎が続けざまに言う。
「ふざけた僕たちで、ふざけたこの世界に仕返ししてやろう。」
弥生のその言葉に目を瞬かせた後、汐花が笑った。
いつか描いたキャンバスの色みたいに、やさしくて、騒がしい笑顔だった。
「じゃあ、“とりぷるふーるず”で行こうよ、もう天才じゃない、革命を起こすバカなボクたちってことで。」
「いいね。とりぷるふーるず、始動ってことで」
「「始動!!」」
缶コーヒーで乾杯をする。彼女達の笑顔に、もう曇りはなかった。
そしてこの日。
誰も知らない、生徒会の"裏側"が動き出す。
完璧な天才3人組は、
もうまともに生きることをやめた。
その代わり、もっとバカな、
もっと自由な方法で――
自分を、救うことにした。
「まずはー…あの人達に許可取らなくちゃ!」
「…あの人達って?」
「んふふ〜…だって革命したいんでしょ?ならまずは直談判からだよ!」
「あー…そう言うこと」
「なるほどね」
汐花の笑い声と、弥生と条兎の苦笑が、屋上にはあった。