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「始まった、、、」
昨日の和気あいあいとした雰囲気は見事に消え去り、ピリッとした緊張感が室内を支配している。時折、廊下を走る足音や、怒鳴り声も聞こえてくる。
窓際で運動場を眺めながら、今後のことを思案する。もう、ギリギリまで迂闊に部屋を出ることはできない。
あの、「誘拐」のルール。学校をあげた行事に、恐怖の要素を盛り込んでくれた。
今日は運動場にはそこまで人はいない。「誘拐」を警戒してのことだろう。
部長の威勢の良さはしぼみ、必死に頭を捻っているようだ。
「私達に誘拐は、、、。運動が得意なやつは数人。ほかは戦力外ばかり」
ぶつぶつ失礼なことを言いながら考えているようだ。
「何なんだろうね、怖い」
優のつぶやきに、私の思いと同じ物があった。
黙々と弁当を食べ、時計を見る。
「あと5分」
ギリギリまで粘る。
「あと3分」
「2分」
「1分」
「30秒前」
「10!!」
一斉に外に出る。
「早く鍵を締めて」
副部長が鍵を締める。そこで私は気付いた。
「職員室に返しに行くのって危なくない?」
教員も教師陣として参加している。だから、職員室前の鍵置き場に足を運ぶのは危険極まりない行為だと思う。
「白い布でも巻いてダッシュでいってきて」
部長はにべもなく言い放つ。
「なるべく走力に自身がある人に頼みます」
部長は素早く顔を背けた3年生に鍵を押し付けた。
「じゃあ、1年はこの館内にいること」
後輩に指示を下す。
「でも、危険だったら身を守ってください。生き残るのが最優先」
これが、学校内で良かった。本物の死闘だったら、こんなに簡単に指示を出せないし、それ以前に怖くて動けなくなってしまう。
「皆さんそれぞれの武器は持ってますか?」
私は筆を持ってきた。しかし、優は忘れてきている。
「武器がない人は持っている人の近くにいたほうがいいよ」
でも、私が持っているのは筆で、守れるかも自身がない。
「絵の具持ってる人いない?」
「私持ってます!!」
絵の具を一本借りる。これを筆につけて振り回せばまだましだ。
「じゃあ、散らばろう!」
私と優は中庭の木陰に向かった。
「ここなら人もあんまりこなさそうだし、逃げ道だってたくさんある」
本当のところは運動部のガチ勢に鉢合わせしたら、即終了だ。でも、運動部が運動場から離れた一角に来るとは思えない。
「カサカサッ」
背後から物音がした。瞬時に伏せる。
「この辺はいないと思うけど」
どうやら二人組のようだ。
「誰かこっちに来た気がしたんだけどなあ?」
気配を殺して息を潜める。念の為筆をスタンバイする。
「いないって。それに」
別の足音が走ってくる。
「そらっ、誘拐」
「ちょ、ちょってうわああああああ!!」
「二人も一気に収穫できるとは、、、、運が良い!!」
脳天気二人組に捕まっている。
「見逃してくれよおお」
「無理だね」
二人は連行されていった。まだ心臓がバクバク鳴っている。
「怖いて」
震える声で呼びかける。何か話さないとこのまま消えてしまいそうだった。
そのまま、館内に入り、空き教室に隠れたり、階段の裏に入ってみたり、はたまたトイレの道具置き場を漁ってみたりと動き回った。そうしているうちに、第2日も終わりを告げた。
これだけ動いて捕まらなかったのは奇跡とも言えるかもしれない。
しかし、恐怖は拭い去れなかった。
「あと3日」
いつしか、終わる日までをカウントダウンしていた。自分は、この戦いを楽しみたいのかしたくないのかわからない。
「始まった、、、」
昨日の和気あいあいとした雰囲気は見事に消え去り、ピリッとした緊張感が室内を支配している。時折、廊下を走る足音や、怒鳴り声も聞こえてくる。
窓際で運動場を眺めながら、今後のことを思案する。もう、ギリギリまで迂闊に部屋を出ることはできない。
あの、「誘拐」のルール。学校をあげた行事に、恐怖の要素を盛り込んでくれた。
今日は運動場にはそこまで人はいない。「誘拐」を警戒してのことだろう。
部長の威勢の良さはしぼみ、必死に頭を捻っているようだ。
「私達に誘拐は、、、。運動が得意なやつは数人。ほかは戦力外ばかり」
ぶつぶつ失礼なことを言いながら考えているようだ。
「何なんだろうね、怖い」
優のつぶやきに、私の思いと同じ物があった。
黙々と弁当を食べ、時計を見る。
「あと5分」
ギリギリまで粘る。
「あと3分」
「2分」
「1分」
「30秒前」
「10!!」
一斉に外に出る。
「早く鍵を締めて」
副部長が鍵を締める。そこで私は気付いた。
「職員室に返しに行くのって危なくない?」
教員も教師陣として参加している。だから、職員室前の鍵置き場に足を運ぶのは危険極まりない行為だと思う。
「白い布でも巻いてダッシュでいってきて」
部長はにべもなく言い放つ。
「なるべく走力に自身がある人に頼みます」
部長は素早く顔を背けた3年生に鍵を押し付けた。
「じゃあ、1年はこの館内にいること」
後輩に指示を下す。
「でも、危険だったら身を守ってください。生き残るのが最優先」
これが、学校内で良かった。本物の死闘だったら、こんなに簡単に指示を出せないし、それ以前に怖くて動けなくなってしまう。
「皆さんそれぞれの武器は持ってますか?」
私は筆を持ってきた。しかし、優は忘れてきている。
「武器がない人は持っている人の近くにいたほうがいいよ」
でも、私が持っているのは筆で、守れるかも自身がない。
「絵の具持ってる人いない?」
「私持ってます!!」
絵の具を一本借りる。これを筆につけて振り回せばまだましだ。
「じゃあ、散らばろう!」
私と優は中庭の木陰に向かった。
「ここなら人もあんまりこなさそうだし、逃げ道だってたくさんある」
本当のところは運動部のガチ勢に鉢合わせしたら、即終了だ。でも、運動部が運動場から離れた一角に来るとは思えない。
「カサカサッ」
背後から物音がした。瞬時に伏せる。
「この辺はいないと思うけど」
どうやら二人組のようだ。
「誰かこっちに来た気がしたんだけどなあ?」
気配を殺して息を潜める。念の為筆をスタンバイする。
「いないって。それに」
別の足音が走ってくる。
「そらっ、誘拐」
「ちょ、ちょってうわああああああ!!」
「二人も一気に収穫できるとは、、、、運が良い!!」
脳天気二人組に捕まっている。
「見逃してくれよおお」
「無理だね」
二人は連行されていった。まだ心臓がバクバク鳴っている。
「怖いて」
震える声で呼びかける。何か話さないとこのまま消えてしまいそうだった。
そのまま、館内に入り、空き教室に隠れたり、階段の裏に入ってみたり、はたまたトイレの道具置き場を漁ってみたりと動き回った。そうしているうちに、第2日も終わりを告げた。
これだけ動いて捕まらなかったのは奇跡とも言えるかもしれない。
しかし、恐怖は拭い去れなかった。
「あと3日」
いつしか、終わる日までをカウントダウンしていた。自分は、この戦いを楽しみたいのかしたくないのかわからない。