私達は部室にこもり、運動場を見下ろしていた。
「狙うは他のやつらの自滅!」
怖いことを言いながら薄く笑っている部長。正直気味が悪い。運動場では、各部の渾身の戦いが繰り広げられていた。
「押せえええええええええ!!!」
サッカー部はボールによる攻撃が野球部にホームラン化されるため、ボールを使わずサッカーゴールで要塞を作り、敵を圧倒していく。
「おおおおおおおおおっっ!!」
ラグビー部と相撲部の連合軍はそれを壊すべく突入する。
「よしよし、やつらの戦意がこれで喪失してくれたら、、、、、」
どうやらこれは部長の思う壺のようだ。
「事前にサッカー部に入れ知恵して、ラグビー部と相撲部のやつらに連立を進めといてよかった」
部長はこんなところにまで事前準備を怠らなかったらしい。最初のあの投げやりさはどうしたんだろう。
運動場では要塞が決壊している。
「ひけえええ」
一気にサッカー部が部室へと向かっている。
「もっと戦えばいいのに、もったいない」
誰から見てもったいないのかはあえて伏せておこう。
それから、部室で和気あいあいと弁当を食べた。期間中の昼食は弁当が配られる。これも楽しみの一つだ。いつしか、この行事に好意的になっている自分がいる。やっぱり、普段の日常で感じられないスリルや緊迫感、高揚感に飢えていたのだろう。
「もう少しで12時ですね」
一年の誰かの一言で、空気が緊迫する。
「優、まだ半分あるし、急いだほうがいいよ」
とりあえず、まだたくさん残っている人に声を掛ける。ちなみに私は好物のハンバーグだったこともあり、5分で平らげた。
「ねえ、おかわりってもらえるのかな」
「無理。あげない」
「いや、別にほしいだなんて一言も言ってないけど」
「顔が欲しそう」
長年共に過ごしてきた者同士なら、顔が読めるのだろうか。私に優の心はわからない。
「あと5分。食べた人は外に出て」
口にたくさん詰め込んだ優とともに外へ出る。廊下は誰もいない。
___ピンポンパンポーン___
放送が始まった。
「こんにちは、生徒会です。皆さん、健闘中のことだろうと思います。追加の情報を通達します。追加のルールが加わりました。勝者の選考基準は、各部による投票と、「誘拐」できた人数とします。
『誘拐』の仕方について説明します。他の部活動に所属する生徒を、自分の所属する部の部室内に入れることができた場合、それを誘拐とみなします。部室内に連れ込んだ他部の人数が、最終的に選考基準となる要素です。
皆さんの健闘を祈ります」
___ピンポンパンポーン___
「誘拐って」
苦笑した。ネーミングセンスが怖い。
「いたぞ!」
驚き、振り返る。
「早く、逃げろ!!」
私達美術部は、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。おそらく、今の放送を聞いて「誘拐」しようと私達を狙ったのだろう。今ここにいるということはおそらく文化部。
「高梨さん!後ろ」
後輩に助けられ、逃げる。
「はぁ、はぁ」
息を切らして立ち止まる。ここまでくれば大丈夫。
「優?」
「リサ」
同じく息を切らしている優に声を掛ける。
「戻ろう」
「だめ。捕まるかも」
私の提案はあっさりと拒否された。しかし、優の言葉も一理も二里もある。私は頷き、従った。
「大丈夫かな、みんな」
結局その日は一人が「誘拐」された。誘拐された人は、その後は運営側にまわるとのこと。少し、その人を憐れんだ。
「明日もだね」
新たなルールで、この試合が変わった。恐怖を感じられる試合へと。
「狙うは他のやつらの自滅!」
怖いことを言いながら薄く笑っている部長。正直気味が悪い。運動場では、各部の渾身の戦いが繰り広げられていた。
「押せえええええええええ!!!」
サッカー部はボールによる攻撃が野球部にホームラン化されるため、ボールを使わずサッカーゴールで要塞を作り、敵を圧倒していく。
「おおおおおおおおおっっ!!」
ラグビー部と相撲部の連合軍はそれを壊すべく突入する。
「よしよし、やつらの戦意がこれで喪失してくれたら、、、、、」
どうやらこれは部長の思う壺のようだ。
「事前にサッカー部に入れ知恵して、ラグビー部と相撲部のやつらに連立を進めといてよかった」
部長はこんなところにまで事前準備を怠らなかったらしい。最初のあの投げやりさはどうしたんだろう。
運動場では要塞が決壊している。
「ひけえええ」
一気にサッカー部が部室へと向かっている。
「もっと戦えばいいのに、もったいない」
誰から見てもったいないのかはあえて伏せておこう。
それから、部室で和気あいあいと弁当を食べた。期間中の昼食は弁当が配られる。これも楽しみの一つだ。いつしか、この行事に好意的になっている自分がいる。やっぱり、普段の日常で感じられないスリルや緊迫感、高揚感に飢えていたのだろう。
「もう少しで12時ですね」
一年の誰かの一言で、空気が緊迫する。
「優、まだ半分あるし、急いだほうがいいよ」
とりあえず、まだたくさん残っている人に声を掛ける。ちなみに私は好物のハンバーグだったこともあり、5分で平らげた。
「ねえ、おかわりってもらえるのかな」
「無理。あげない」
「いや、別にほしいだなんて一言も言ってないけど」
「顔が欲しそう」
長年共に過ごしてきた者同士なら、顔が読めるのだろうか。私に優の心はわからない。
「あと5分。食べた人は外に出て」
口にたくさん詰め込んだ優とともに外へ出る。廊下は誰もいない。
___ピンポンパンポーン___
放送が始まった。
「こんにちは、生徒会です。皆さん、健闘中のことだろうと思います。追加の情報を通達します。追加のルールが加わりました。勝者の選考基準は、各部による投票と、「誘拐」できた人数とします。
『誘拐』の仕方について説明します。他の部活動に所属する生徒を、自分の所属する部の部室内に入れることができた場合、それを誘拐とみなします。部室内に連れ込んだ他部の人数が、最終的に選考基準となる要素です。
皆さんの健闘を祈ります」
___ピンポンパンポーン___
「誘拐って」
苦笑した。ネーミングセンスが怖い。
「いたぞ!」
驚き、振り返る。
「早く、逃げろ!!」
私達美術部は、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。おそらく、今の放送を聞いて「誘拐」しようと私達を狙ったのだろう。今ここにいるということはおそらく文化部。
「高梨さん!後ろ」
後輩に助けられ、逃げる。
「はぁ、はぁ」
息を切らして立ち止まる。ここまでくれば大丈夫。
「優?」
「リサ」
同じく息を切らしている優に声を掛ける。
「戻ろう」
「だめ。捕まるかも」
私の提案はあっさりと拒否された。しかし、優の言葉も一理も二里もある。私は頷き、従った。
「大丈夫かな、みんな」
結局その日は一人が「誘拐」された。誘拐された人は、その後は運営側にまわるとのこと。少し、その人を憐れんだ。
「明日もだね」
新たなルールで、この試合が変わった。恐怖を感じられる試合へと。