「よぉ、久しぶりだな。明智由良。」
家族で夕飯を囲んでいる最中やってきた邪魔者。そいつは王族と名乗った、転生前の旧友だった。
「あなた…まさか…春樹なのっ!?」
(はっ…しまった…。家族にバレて…。)
私はバッと家族の方を振り返ったが、みんな今は私の方よりも急に出てきた王族にビビっていた。父様は驚きのあまり泡をふいている。
(よかった〜。…でもこいつ本当に春樹…?転生前の名前はこの世界に来てから一言も言ってないはず…。っていうかそもそも容姿が全然違うのになんで分かったのっ!?)
私は色々と頭のおかしい王族様に丁寧な微笑みで話しかける。
「王族様、ようこそいらっしゃいました。私はミシェラ=クレラベル。なんのご用件でしょう?」
すると王族様はニィッと笑って満足そうにする。
「ふむ、お主は我が来たことに驚かぬか。ついてこい、話す用件は察しがついておるのだろう?」
「えぇ、もちろん。」
(絶対こいつは春樹だ…。)
私はそう思いながら春樹と微笑みあう。すると家族の中でもう1人落ち着いていたミューラが口を開いた。
「王族様。その話し合い、私も参加してよろしいですか。」
「我はミシェラが良いのなら構わぬぞ。」
すると2人は私を見る。私は2人に睨まれ冷や汗を垂らしながら考えた。
(ミューラは私の過去をすでに知ってるし、今更一部を隠してもねぇ。)
「…別にミューラがいても構いません。」
「よし!では、領主クレラベルよ。其方の子を少し借りるぞ。」
「はっ、はいぃぃ!」
父様はすっかり腰を抜かして力のない声を出して返事をした。すると春樹はマントを翻し近くの応接室に入って、私を見る。
「ミシェラ。」
「はい。」
「其方を今から由良と呼ぶ。」
「構いません。ですがそれでしたら私も春樹と呼ばせて頂きますよ。」
「ミシェラ!?相手は王族様だぞ!」
ミューラは驚いて止めに入る…が春樹はそんなミューラを止めた。
「ミューラ、構わぬ。構わぬぞミ…いや、由良。」
そして私達は一つ深呼吸をしてガシッと握手する。
「うわ〜!由良まじで久しぶり!俺が事故った後お前も事故ったんだって!?まじで笑ったわ〜!」
「春樹もここの世界きてるとか初耳!っていうか王族ってチートじゃん!」
私達は転生という苦難と感動を分かち合っているとミューラがわざとらしく咳払いをした。春樹はミューラを見て声を潜める。
「おい、あいつ一緒でいいのかよ。」
「いいんだよ、ミューラには私半強制的に事情説明してるから。」
すると今度はミューラが近寄って声を潜めてくる。
「おい、ミシェラ。あいつ本当に王族か?」
「一応ね。私と同じ、元は異世界人の人なの。…ってそういえばこの世界での名前は?春樹。」
「ん?コリウス=アグランティード。それがここでの俺の名前。」
(へぇ……ってそうじゃない!!)
私は感心していた自分を心の中で殴って春樹を睨む。
「なんで私のこと全部知ってんのよっ!」
すると春樹は平然とした様子で答えた。
「あぁ、それは俺のスキルだよ。俺は知能の神、ヴェルラッハが司るエクストラスキル『定期情報取得』というものを持っているんだ。」
「へぇ…。」
(便利なスキルもあるものね。)
「それで俺は転生前の友人たちの情報を毎日もらってた。その中の1人がお前、由良だよ。」
「なるほど…、だからか。…じゃあ今この状況も届くってこと?」
「あぁ。まあな。…ところでお前のスキルはなんだ?さっきから指輪を隠しているが…。」
「ひぇっ…。」
(バレてたっ…。)
私は許可を求めて恐る恐るミューラを見たが、あっさり承諾してくれた。
「いいぞ、王族からの命令なら仕方あるまい。」
「命令って…w堅苦しなぁミューラは。」
そう言いながら春樹は笑う。するとミューラは顔を歪めた。
「おい、これは本当の本当に王族なのか…?信じられない光景だぞ。」
「あははは……。」
私は笑って誤魔化し、さっきの春樹の質問に答えた。
「あのね、春樹。くれぐれも内密にはして欲しいんだけど…。」
そう言って私は七色に光る指輪を見せる。すると春樹は目を見開いた。
「まじかよ、お前…。」
「それでスキルが、自然、経済、生命、知能、武運、幸運、愛情の神が司るエクストラスキルの…。」
「ま、まさか…!」
「そのまさかで、私…『七色のご加護』っていうスキル持っているんだ…。」
すると春樹は苦笑しながら天井に向かって手を伸ばした。そしてバッとこちらに身を乗り出す。
「おい、由良!お前家のよ…」
「養子にはさせません。この俺が、絶対に認めない。」
春樹の言いかけた言葉をミューラは私の前に出て止める。
(養子………。)
私は顔を俯ける。これがミューラの言ってたバレてはいけない原因の一つ。養子に取られるようになること。
(覚悟はしていたけど…。)
春樹は少し眉を上げた後面白そうに笑った。
「ま、いいや。いいもの見れちゃったし。」
「へ?いいもの?」
(いいものなんて一つも…。)
そう考えて周りをキョロキョロしていると春樹は話し出した。
「ミシェラ、お前は必ず嫁か養子に取られる。」
「よっ嫁!?」
私は春樹の口から出た意外な言葉に思わず顔を赤らめる。
「あぁそうだ。後がなくなり、どうしてもどこかへ行かなければならなくて良いところが見つからなかったら迷わず俺の所に来い。良いな。」
「え?う、うん…?」
私は意味がわからなくて曖昧に返事をする。
「ミューラもそれならいいな?」
「お心遣い感謝致します、コリウス様。」
ミューラは丁寧に頭を下げる。
「あぁ。…それとミシェラ。春樹に返事する時はうんでいいが、コリウスに返事する時ははいと言えよ。」
「あ…!も、申し訳ございません。コリウス様。少々戸惑ってしまいました。」
私がペロッと舌を出すとコリウス様はふっと笑う。
「お転婆な姫様だな。では、夜分にすまなかった。じゃあな。」
「はい、コリウス様もお気をつけてお帰りください。」
私とミューラは門扉のところまで見送り、はぁとため息をついた。
「つっかれた〜。夕飯置きっぱだな。」
「うん、それに父様たちも流石に我に返ってるでしょ。」
そうして話しながら食事場に戻ると、誰もいなかった。
「あれ?みんなは?」
「俺たちの食器しかないな…。」
すると調理場の方から女性の悲鳴とお皿の割れる音がする。
「きゃあああ!」
「!?」
私達は急いで調理場に向かい扉を開けた。すると、予想外の光景が映っていた。洗剤まみれの父様と、それを取り押さえる使用人達に、割れたお皿をしょんぼりしながら片付ける姉様や母様、そしてそれを呆れて見守る兄様方…。
「何をしているんですか。」
「何をしているんだ。」
私とミューラはそう言ってぷっと吹き出して笑った。微笑ましい家族の光景に1人だけいないことに気づかずに………
家族で夕飯を囲んでいる最中やってきた邪魔者。そいつは王族と名乗った、転生前の旧友だった。
「あなた…まさか…春樹なのっ!?」
(はっ…しまった…。家族にバレて…。)
私はバッと家族の方を振り返ったが、みんな今は私の方よりも急に出てきた王族にビビっていた。父様は驚きのあまり泡をふいている。
(よかった〜。…でもこいつ本当に春樹…?転生前の名前はこの世界に来てから一言も言ってないはず…。っていうかそもそも容姿が全然違うのになんで分かったのっ!?)
私は色々と頭のおかしい王族様に丁寧な微笑みで話しかける。
「王族様、ようこそいらっしゃいました。私はミシェラ=クレラベル。なんのご用件でしょう?」
すると王族様はニィッと笑って満足そうにする。
「ふむ、お主は我が来たことに驚かぬか。ついてこい、話す用件は察しがついておるのだろう?」
「えぇ、もちろん。」
(絶対こいつは春樹だ…。)
私はそう思いながら春樹と微笑みあう。すると家族の中でもう1人落ち着いていたミューラが口を開いた。
「王族様。その話し合い、私も参加してよろしいですか。」
「我はミシェラが良いのなら構わぬぞ。」
すると2人は私を見る。私は2人に睨まれ冷や汗を垂らしながら考えた。
(ミューラは私の過去をすでに知ってるし、今更一部を隠してもねぇ。)
「…別にミューラがいても構いません。」
「よし!では、領主クレラベルよ。其方の子を少し借りるぞ。」
「はっ、はいぃぃ!」
父様はすっかり腰を抜かして力のない声を出して返事をした。すると春樹はマントを翻し近くの応接室に入って、私を見る。
「ミシェラ。」
「はい。」
「其方を今から由良と呼ぶ。」
「構いません。ですがそれでしたら私も春樹と呼ばせて頂きますよ。」
「ミシェラ!?相手は王族様だぞ!」
ミューラは驚いて止めに入る…が春樹はそんなミューラを止めた。
「ミューラ、構わぬ。構わぬぞミ…いや、由良。」
そして私達は一つ深呼吸をしてガシッと握手する。
「うわ〜!由良まじで久しぶり!俺が事故った後お前も事故ったんだって!?まじで笑ったわ〜!」
「春樹もここの世界きてるとか初耳!っていうか王族ってチートじゃん!」
私達は転生という苦難と感動を分かち合っているとミューラがわざとらしく咳払いをした。春樹はミューラを見て声を潜める。
「おい、あいつ一緒でいいのかよ。」
「いいんだよ、ミューラには私半強制的に事情説明してるから。」
すると今度はミューラが近寄って声を潜めてくる。
「おい、ミシェラ。あいつ本当に王族か?」
「一応ね。私と同じ、元は異世界人の人なの。…ってそういえばこの世界での名前は?春樹。」
「ん?コリウス=アグランティード。それがここでの俺の名前。」
(へぇ……ってそうじゃない!!)
私は感心していた自分を心の中で殴って春樹を睨む。
「なんで私のこと全部知ってんのよっ!」
すると春樹は平然とした様子で答えた。
「あぁ、それは俺のスキルだよ。俺は知能の神、ヴェルラッハが司るエクストラスキル『定期情報取得』というものを持っているんだ。」
「へぇ…。」
(便利なスキルもあるものね。)
「それで俺は転生前の友人たちの情報を毎日もらってた。その中の1人がお前、由良だよ。」
「なるほど…、だからか。…じゃあ今この状況も届くってこと?」
「あぁ。まあな。…ところでお前のスキルはなんだ?さっきから指輪を隠しているが…。」
「ひぇっ…。」
(バレてたっ…。)
私は許可を求めて恐る恐るミューラを見たが、あっさり承諾してくれた。
「いいぞ、王族からの命令なら仕方あるまい。」
「命令って…w堅苦しなぁミューラは。」
そう言いながら春樹は笑う。するとミューラは顔を歪めた。
「おい、これは本当の本当に王族なのか…?信じられない光景だぞ。」
「あははは……。」
私は笑って誤魔化し、さっきの春樹の質問に答えた。
「あのね、春樹。くれぐれも内密にはして欲しいんだけど…。」
そう言って私は七色に光る指輪を見せる。すると春樹は目を見開いた。
「まじかよ、お前…。」
「それでスキルが、自然、経済、生命、知能、武運、幸運、愛情の神が司るエクストラスキルの…。」
「ま、まさか…!」
「そのまさかで、私…『七色のご加護』っていうスキル持っているんだ…。」
すると春樹は苦笑しながら天井に向かって手を伸ばした。そしてバッとこちらに身を乗り出す。
「おい、由良!お前家のよ…」
「養子にはさせません。この俺が、絶対に認めない。」
春樹の言いかけた言葉をミューラは私の前に出て止める。
(養子………。)
私は顔を俯ける。これがミューラの言ってたバレてはいけない原因の一つ。養子に取られるようになること。
(覚悟はしていたけど…。)
春樹は少し眉を上げた後面白そうに笑った。
「ま、いいや。いいもの見れちゃったし。」
「へ?いいもの?」
(いいものなんて一つも…。)
そう考えて周りをキョロキョロしていると春樹は話し出した。
「ミシェラ、お前は必ず嫁か養子に取られる。」
「よっ嫁!?」
私は春樹の口から出た意外な言葉に思わず顔を赤らめる。
「あぁそうだ。後がなくなり、どうしてもどこかへ行かなければならなくて良いところが見つからなかったら迷わず俺の所に来い。良いな。」
「え?う、うん…?」
私は意味がわからなくて曖昧に返事をする。
「ミューラもそれならいいな?」
「お心遣い感謝致します、コリウス様。」
ミューラは丁寧に頭を下げる。
「あぁ。…それとミシェラ。春樹に返事する時はうんでいいが、コリウスに返事する時ははいと言えよ。」
「あ…!も、申し訳ございません。コリウス様。少々戸惑ってしまいました。」
私がペロッと舌を出すとコリウス様はふっと笑う。
「お転婆な姫様だな。では、夜分にすまなかった。じゃあな。」
「はい、コリウス様もお気をつけてお帰りください。」
私とミューラは門扉のところまで見送り、はぁとため息をついた。
「つっかれた〜。夕飯置きっぱだな。」
「うん、それに父様たちも流石に我に返ってるでしょ。」
そうして話しながら食事場に戻ると、誰もいなかった。
「あれ?みんなは?」
「俺たちの食器しかないな…。」
すると調理場の方から女性の悲鳴とお皿の割れる音がする。
「きゃあああ!」
「!?」
私達は急いで調理場に向かい扉を開けた。すると、予想外の光景が映っていた。洗剤まみれの父様と、それを取り押さえる使用人達に、割れたお皿をしょんぼりしながら片付ける姉様や母様、そしてそれを呆れて見守る兄様方…。
「何をしているんですか。」
「何をしているんだ。」
私とミューラはそう言ってぷっと吹き出して笑った。微笑ましい家族の光景に1人だけいないことに気づかずに………