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翡翠

#1

2014年。
清はいつものように、神社のとなりにある自分の家から出た。
そしていつものように、庭を回り、箒であたりをはく。
70歳の老体に、夏日が強く当たる。
御神木の前まで来たとき、異変に気付いた。
5歳前後の一人の小さな男の子が毛布にくるまれた赤ん坊を抱いて御神木の幹にもたれている。
清は箒を地面に置き、子供に駆け寄った。
「どうしたんだい?」
子供が目を上げる。
「親は?どこから来たんだ?」
子供は首を振った。
「僕の顏、痣がありますよね?」
「ああ、そうだな」
清は初めて子供の痣に気が付いた。
右頬に、つめでひっかかれたような二本の黒い線。
「この痣がでてきたのは、とても最近です。この痣のせいで、僕は親に見放されました。奇妙だって」
清は息をのんだ。
「親と言っても、父はいませんけどね」
子供がハッとして付け足した。
「その子は?」
清は毛布の中にくるまれた子供を覗き込んだ。
「妹です」
子供が答える。
「この子はどうして…?」
小さな男の子は妹の顔にかかった毛布をのけ、彼女の顔を清に見せた。
この子にも、痣がある。この子の痣は兄とはまた少し違い、これは…文字だ。
「伍…」
旧字の5だ。
「生まれつきです。僕とは違って」
「…そうかい」
清は首をかしげた。
「君はこれからその小さな妹を連れていく場所はあるのか?どうするつもりだ?」
男の子は首を振った。
清はまた首をかしげたが、ハッと目を見開いた。
この痣…何かで読んだ。
何だったか…
清の頭に、ひとつの考えがピンとよみがえった。
昔の陰陽術者の痣だ…!
清の頭の中に、心の声が響いた。
この子たちを放っておいては、いけない気がする………
「…私の家に来るかい?家と言っても、神社だがね」
男の子が目を見開いた。
「本当ですか…?」
清はうなずいた。
「お前たちを放っておくことはできない」
男の子が深々と頭を下げた。
「ありがとうございます」
「名前は…?」
「僕はレンです。草冠に連なるの、蓮。こいつは…翡翠です」

彼らの正体はわからない。だが、やはり放っておいてはならない存在だった。
そのことを彼ら自身が知るのは、これからずっと先の話だ[打消し]        [/打消し]。


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作者メッセージ

あらすじをかきましたが、いろいろと変更です!
「街角」で見つけると言いましたが、違和感があったので変更しました。
正しくは、「ご神木」です!申し訳ありません、たびたびあるかもしれません(失敗が)。

2024/05/17 13:58

翡翠
ID:≫ 04xrkcEZ9vJ2Y
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