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※本作はキラキラした、漫画で描かれるような甘酸っぱい青春とは全く違った、カーキー色をした青春    を書いています。

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ペインヒア

#1

Day 1

ペインヒア
Day 1 「 嫌い 」
中学校に入学して、何か変わっただろうか?
一学期の中盤、6月になった今でも、浮世は変わり映えのしない毎日にため息をついていた。
学校でのポジションは常に二軍だった。いや、どうだろうか、誰かの目から見たら五軍かもしれないし、もしかしたら一軍かもしれない。
漫画でよく出てくるようなキラキラとした青春を、自分が歩めるとは最初から思っていなかった。それぐらい、自分には自信がなかった。鏡を見て自分を美しいと思ったことがあるだろうか?
「美人は朝起きた瞬間から、素敵な一日の始まりなんだろうな、」
心の中で思った。
朝六時、部屋に置いてあるウッド調のタイマーから出る、サウザンドミュージックで目が覚める。
「学校に行きたくない」
朝起きてから、すぐ思うのはどうかしてる。
朝の支度をしつつも、驚くほど速い着替えとは裏腹に、心の中では学校に行きたくないという野望が渦巻いていた。
何でこんなにも嫌悪感を感じているんだ?
七時半、玄関の扉を開けた。
いつもの待ち合わせ場所まで向かう。
行きたくない 行きたくない 行きたくない
そこには昔からの友人、曽根勝美がいる。
行きたくない 行きたくない 行きたくない
手を振られて、反射的にすぐ振り返した。
「おはよー 由紀!」
いきたくない
「い、」
言葉が喉に引っかかる。言ったらいけない。
「‥‥おはよ!」
今日も憂鬱な一日が始まった。
「今日弟がさー」
元気に話す勝美を見ながらも、私の心の中ではあの感情が渦巻く。
「うん、 うん、」
優しい相槌を打ちながら――――
気づくと、校門の前に立っていた。大きな時計は八時前を知らせる。
「じゃぁね、」
一年一組の勝美と、一年六組の私は、一年生の校舎へ着くと、すぐに分かれてしまう。
「じゃぁね!また帰り、」
手を振ってから、続く廊下を見て、心臓の奥の方がもやもやとする。
立っている生活指導の男性教師に大きなあいさつをされてから、小さな会釈を返す。
いつものことだけど少し緊張する。
「あ、おはよ!由紀ちゃん!」
クラスに入って一番最初にあいさつをしてくれたのは椿ちゃんだった。
「おはよー」
すると、ドスッ机に荷物を置く音がした。
累ちゃんか、、、、、
この子は兄弟がたくさんいるせいか、人との距離感があまりつかめていないようだ。頭はいいから空気を呼んでご機嫌取りをすることはあるものの、こういう無鉄砲な行為は優しい人に降り注ぐ。
「あ、おはよ、累ちゃん、」
何の断りもなくいきなり机にカバンを置かれて困惑したが、あいさつで返す。
累ちゃんは自分のカバンから週末に出された課題のプリントを引っ張り出し、何も言わずにカバンと共に去っていった。
え?
もやもやが増えていく感じがして、それ以上は何も言わなかった。
そのあと、登校してきた色々な人とあいさつを交わしながら、一時間目、二時間目、三時間目、、と過ぎていった。
四時間目は社会。社会の教師である佐野先は、そんなに若くはないが顔がいいのとツッコミ力やボケ力、すべてに優れていたので色んな生徒から好かれていた。私も例外ではなかった。佐野先を推しているのは割といろんな人が知っていた。
授業が始まる。
私の前の席の男子は佐野先に特別に気に入られている。お兄ちゃんがいて、そこからのつながりか知らないが、近くで佐野先が見られるのは自分としてもほくほくとした気持ちになることだ。
「せんせーたいへいようってどう書くの??」
前の男子は普通にバカだ。馬鹿だからこその人懐っこさもあった。
「ハぁー?太平洋は小学校の頃に習ってるだろ、」
周りが苦笑する。
呆れた顔で黒板に 太平洋 と書いてから、佐野先は授業を続けた。いや、続けようとしたのだが、
「せんせー!?ほんとこいつありえないですよねー??マジで太平洋わからないとかww」
訴えかけるような、わざとらしい叫びは椿ちゃんのものだった。
椿ちゃんは頭がいい方ではなかった。学年順位下から数えたほうが速いくらいだ。だが彼女には教師に媚びる力だけはあった。
佐野先はほんとだよ、と苦笑いで受け止めているが、彼女の他逆はまだ止まらない。
佐野先、男子、椿ちゃんの三人でのおしゃべりが始まった。
まただ、
別に佐野先に異性として特別な感情を持っているわけでもない。たとえるなら芸能人に対して推す感情を持っているような感じ、ただそれだけだが、、、、、、、
椿ちゃん、私が推してること知ってるでしょ??
自分の勝手な苛立ちだった。
その間他の子は周りの子と話し始めたので、自分がみじめになり、すぐに一つ隣の席の女子と話し始めた。
四時間目が終わって、私は少し自分勝手な苛立ちが収まりつつあった。
その時、
「由紀ちゃーん、こいつさっきさぁ!」
男子を指さしながらしゃべる椿ちゃん、そしてそれを楽しそうに聞く佐野先
何なんだこいつは!!
「はは、」
適当な愛想笑い、感じが悪いのは誰から見ても分かる。だけど今はそれしかなす術がなかった。
他の女子の所に行って思わず抱き着く、女子はなになにー?と笑いながら、、、、、
もう、何も入ってこなかった。
下校の時間になって、また勝美と出会った。
いや、出会ったというより毎日約束している。
「やっほー」
「やほー」
軽いあいさつの後、最近椿ちゃんのカミングアウトが多いことを話そうと思った。
「最近マジ椿ちゃんの、、、、、、」
そこまで言いかけた時、自分がただの自分飼ってやろうということに気づいた。
佐野先は誰のものでもないし、椿ちゃんだって私の言うとおりになるわけない
色々な考えが頭の中を交差した。
それは、家に帰ってからも続いた。
「ハァぁあ、、、、」
本当に、
前の席の男子が、椿ちゃんが、佐野先まで、
そして、自分が、
「嫌いだ、、、」

 
Day 1 「 嫌い 」
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作者メッセージ

初めての作品ですが、暇なとき等に読んでもらえたら嬉しいです!
呼んでいただいたらぜひ感想を送ってください!
ペインヒアはまだまだ続きます!

2025/03/24 17:15

糸果
ID:≫ 21x7vOYchSrPY
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