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裏方(マネージャー)として入社したのに、にじさんじライバーに配信に引っ張り出されて、ライバーになぜかなりました。 参加型 参加〆

#1

武闘 杏奈

「……よし、これでよし」

ANYCOLORの音響ブース。
金髪のポニーテールを揺らしながら、杏奈はミキサーのツマミを器用に調整していた。
大学生の頃のやんちゃな名残で髪こそ明るいが、今の彼女は立派な裏方。音響の知識と腕前は、同期の中でも頭一つ抜けている。

トントン、とスタジオのガラスが叩かれた。
見上げると、担当ライバーであるレオス・ヴィンセントが、配信開始直前だというのに不敵な笑みを浮かべて手招きしている。

杏奈はインカムのスイッチを入れた。

「今回の企画これでいいですかね、レオスさん。もうすぐ始まりますよ」

『あ、杏奈さん杏奈さん。ちょっとマイクの調子がおかしいと言いますか、私の天才的な声にノイズが混ざる気がするのです。ちょっと見ていただけませんか?』

「え、マジですか? すぐ行きます」

不器用なりに機材トラブルだけは放っておけない杏奈は、慌ててスタジオのドアを開けて彼のもとへ駆け寄った。
マイクの配線を確認しようと顔を近づけた、その瞬間。

『はい配信開始ーーー!! リスナーの皆さんこんばんは! 本日は我が優秀なる音響マネージャー、杏奈さんをお迎えしてお送りいたします!』

「……は?」
画面の向こうで、ものすごい速度で流れるコメント欄。
『え、金髪!?』『声可愛い』『マネージャーさん!?』『レオスが拉致ったぞ!』の文字が躍る。


完全に嵌められた。レオスは最初から、杏奈を配信に引っ張り出す気満々だったのだ。

引きつった笑顔のまま、杏奈はマイクに向かって声を絞り出した。

「こ、これ、もう乗ってます……? ――あ、こ、こんにちはぁー。マネしてます、よろしくお願いします……って、ちょっとレオスさん何考えてんの!?」

慌てる杏奈をよそに、レオスは「ヒャーッハッハ!」と大爆笑。
コメント欄は『仲良しで草』『普段の距離感お盆(友達)じゃん』と大盛り上がりだ。

配信後、すっかり魂の抜けた杏奈は、スタジオの椅子に深く腰掛けた。
そんな彼女の前に、レオスが白衣を翻してこれ見よがしに胸を張る。

『いやー、杏奈さんのおかげで今日の同接も大勝利! さすが私のマネージャーですね!』

杏奈は呆れたようにため息を吐きつつも、すぐにいつものサバサバとした笑みを浮かべてレオスを小突いた。

「もう、心臓に悪いから本当にやめてよね。……あ、その代わり。今度飲み行きましょうよ!! 奢りね、絶対!」

『おやおや、いいでしょう! 私の奢りで美味い酒を浴びるほど飲もうではありませんか!』

裏方のはずが、気付けばリスナーからも愛される「最高の相棒」のような存在へ。
でも、同期のさなたちに「配信出たんだって?」と弄られた時は、杏奈はいつもこう言って笑うのだ。

[太字]「私?ただのマネージャーだよ友達友達!」[/太字]

2026/06/22 21:44

紗奈(さな) 元苺花
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