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向日葵のエンドロール

#2

制作者

 小さなアパートの一室に彼女はいた。左手には愛用しているペンがしっかりと握られており、こたつの台には山のような資料が置かれていた。それに書かれている内容は、どれも"コマ"についてである。彼女はアニメ制作者だ。アニメ制作のため、お世辞でも綺麗とは言えない机に真剣に向き合っている……のではなく、今、彼女は絶望の淵に立たされていた。

「じゃあ、そういうことだから。ごめんなさいね。できる限りで大丈夫だから」

すなわち、上司からの電話である。体が小刻みに震え始め、返事もままならなくなった彼女に対して、気にも止めぬ上司は更なる追い打ちをかけた。

「最初に頼んでいた127コマに加えて、戦闘シーンの245コマ、お願いね」

お願いされてしまった。ちょっと宿題代わりにやってよ。と言わんばかりのノリだが、行っていることは無茶苦茶である。
元々は、渡部さんという、みんなから頼られている先輩が今回の戦闘シーンを受け持つことになっていた。しかし先日、病気がちな親の様子を見にいきたいということで、渡部さんは地元の青森へと帰っていったのだ。
 そのため、数少ない制作者で分担して描くことになったわけである。
 現在担当しているアニメ制作は、人手不足がとんでもなく問題となっていた。今描いているアニメの原作は小説であったのだが、挿絵を担当していたイラストレーターの特徴的な絵柄に寄せることが難しいため、心折れた製作者の何名かが別のアニメ制作に移ってしまったのだ。
 それに加え渡部さんまでも地元へ帰ってしまい、制作者一同、情緒不安定になっていた。
 
 とりあえず顔を洗って目を覚まそうと、のろのろ立ち上がる。……が、あっと思った時には、とんでもない眠気に足がよたつき、本棚に激突してしまった。
 いだだ……と頭を抱えながら彼女は上を見る。すると、あるものを見つけた彼女はサッと血相を変えて目を見開いた。
 
 …………ゴッ

 そんな鈍い音がした。
 本棚の上に積み上げていたのであろう本が、彼女のおでこにクリティカルヒットした音だった。
 突然のことに彼女はバランスを崩し、後ろ向きに倒れ、受け身も取れぬまま地面に叩きつけられた。

 (あれ?)

 彼女は違和感を覚える。いつまで経っても、背中に衝撃が来ないことに。
 わけもわからず彼女は目を開けた。目からの情報を受け、五感の全てがすぎとまされる。
 思わず驚愕の表情をした。
 そこは……

2026/07/06 22:58

水森こぐま
ID:≫ 6yTgHEMno8sog
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向日葵アニメ制作者悪役転生救済物語

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