小さなアパートの一室に彼女はいた。左手には愛用しているペンがしっかりと握られており、こたつの台には山のような資料が置かれていた。それに書かれている内容は、どれも"コマ"についてである。彼女はアニメ制作者だ。アニメ制作のため、お世辞でも綺麗とは言えない机に真剣に向き合っている……のではなく、今、彼女は絶望の淵に立たされていた。
「じゃあ、そういうことだから。ごめんなさいね。できる限りで大丈夫だから」
すなわち、上司からの電話である。体が小刻みに震え始め、返事もままならなくなった彼女に対して、気にも止めぬ上司は更なる追い打ちをかけた。
「最初に頼んでいた127コマに加えて、戦闘シーンの245コマ、お願いね」
お願いされてしまった。ちょっと宿題代わりにやってよ。と言わんばかりのノリだが、行っていることは無茶苦茶である。
元々は、渡部さんという、みんなから頼られている先輩が今回の戦闘シーンを受け持つことになっていた。しかし先日、病気がちな親の様子を見にいきたいということで、渡部さんは地元の青森へと帰っていったのだ。
そのため、数少ない制作者で分担して描くことになったわけである。
現在担当しているアニメ制作は、人手不足がとんでもなく問題となっていた。今描いているアニメの原作は小説であったのだが、挿絵を担当していたイラストレーターの特徴的な絵柄に寄せることが難しいため、心折れた製作者の何名かが別のアニメ制作に移ってしまったのだ。
それに加え渡部さんまでも地元へ帰ってしまい、制作者一同、情緒不安定になっていた。
とりあえず顔を洗って目を覚まそうと、のろのろ立ち上がる。……が、あっと思った時には、とんでもない眠気に足がよたつき、本棚に激突してしまった。
いだだ……と頭を抱えながら彼女は上を見る。すると、あるものを見つけた彼女はサッと血相を変えて目を見開いた。
…………ゴッ
そんな鈍い音がした。
本棚の上に積み上げていたのであろう本が、彼女のおでこにクリティカルヒットした音だった。
突然のことに彼女はバランスを崩し、後ろ向きに倒れ、受け身も取れぬまま地面に叩きつけられた。
(あれ?)
彼女は違和感を覚える。いつまで経っても、背中に衝撃が来ないことに。
わけもわからず彼女は目を開けた。目からの情報を受け、五感の全てがすぎとまされる。
思わず驚愕の表情をした。
そこは……
「じゃあ、そういうことだから。ごめんなさいね。できる限りで大丈夫だから」
すなわち、上司からの電話である。体が小刻みに震え始め、返事もままならなくなった彼女に対して、気にも止めぬ上司は更なる追い打ちをかけた。
「最初に頼んでいた127コマに加えて、戦闘シーンの245コマ、お願いね」
お願いされてしまった。ちょっと宿題代わりにやってよ。と言わんばかりのノリだが、行っていることは無茶苦茶である。
元々は、渡部さんという、みんなから頼られている先輩が今回の戦闘シーンを受け持つことになっていた。しかし先日、病気がちな親の様子を見にいきたいということで、渡部さんは地元の青森へと帰っていったのだ。
そのため、数少ない制作者で分担して描くことになったわけである。
現在担当しているアニメ制作は、人手不足がとんでもなく問題となっていた。今描いているアニメの原作は小説であったのだが、挿絵を担当していたイラストレーターの特徴的な絵柄に寄せることが難しいため、心折れた製作者の何名かが別のアニメ制作に移ってしまったのだ。
それに加え渡部さんまでも地元へ帰ってしまい、制作者一同、情緒不安定になっていた。
とりあえず顔を洗って目を覚まそうと、のろのろ立ち上がる。……が、あっと思った時には、とんでもない眠気に足がよたつき、本棚に激突してしまった。
いだだ……と頭を抱えながら彼女は上を見る。すると、あるものを見つけた彼女はサッと血相を変えて目を見開いた。
…………ゴッ
そんな鈍い音がした。
本棚の上に積み上げていたのであろう本が、彼女のおでこにクリティカルヒットした音だった。
突然のことに彼女はバランスを崩し、後ろ向きに倒れ、受け身も取れぬまま地面に叩きつけられた。
(あれ?)
彼女は違和感を覚える。いつまで経っても、背中に衝撃が来ないことに。
わけもわからず彼女は目を開けた。目からの情報を受け、五感の全てがすぎとまされる。
思わず驚愕の表情をした。
そこは……