教室のドアが、ギィ……と軋む音を立てて開いた。
何かが這うような音。ザリ……ザリ……とチョークを引きずるような不快な音。
奥から、黒くて巨大な“何か”が入ってくる。
その顔は、いや“頭部”は、真っ黒な黒板で構成されていた。
チョークのようなものでびっしりと名前が書き殴られている。
その中には、**「佐伯太星」**の文字もあった。
【ENEMY IDENTIFIED:ウワサノケイ】
【形態:記憶構成型エネミー】
【性質:言葉に反応し、実体化させる】
「……なんだよ、あれ……」
太星は一歩、後ずさる。
その瞬間、空気が震えた。
どこからともなく、声が聞こえる。
「佐伯ってさ、親も弟も死んでんのに、よく普通に学校来れるよな」 「強がってるだけじゃね? アイツ、壊れてんだよ」 「かわいそうぶってるだけ。俺らのせいじゃねえし」
――ズルッ!
床から“手”が生える。 机の間から、腐った指が無数に這い出してくる。
「ッ……!」
太星の膝が震える。逃げたい。けど、足が動かない。
そのとき、コルノが前に出た。
「君の過去が、君自身を襲ってくる」
「彼は“ウワサノケイ”。名前の通り、“噂”を実体化して攻撃してくる存在だ」
「……チートすぎだろ……!」
コルノは構わず続ける。
「だが、君にはそれに対抗する力がある。“プレイヤー”としての権利だ」
太星の視界に再び文字が浮かぶ。
【インナープレイ起動可能】
【念じて、行動を選択してください】
「コントローラーなんて、ねえよ……!」
「あるさ」
コルノは仮面の奥で微笑んだ。
「君の指先と、思考回路が作り上げた、最強の“戦術”がね」
太星の脳裏に浮かぶ。何百、何千回と繰り返したゲームの操作。
コンボ。タイミング。予測回避。照準合わせ。
すべてが、頭の中でカチリと噛み合った。
「よし……やってやるよ」
太星が目を閉じて“選択”した瞬間――
【SKILL UNLOCKED:SIDE DASH FOCUS AIM】
【アクションスキル:ピンポイント・インパクト Lv1】
「——行くぞ!」
目の前の怪物に向かって、一歩踏み込む。 その動きはもはや人間のものではなかった。 スライドし、回り込み、腕を振りかざし——
ピシィィィィッ!!!
黒板の表面に、太星の拳がぶち込まれた。
そこに刻まれていた「佐伯太星」という文字が、粉々に砕け散る。
ウワサノケイが叫び声のようなノイズを上げてのけぞった。
「……ちゃんと、見てろよ、コルノ。俺、こういうの、得意だから」
「それは頼もしい。……少しだけ、期待してもいいかな」
何かが這うような音。ザリ……ザリ……とチョークを引きずるような不快な音。
奥から、黒くて巨大な“何か”が入ってくる。
その顔は、いや“頭部”は、真っ黒な黒板で構成されていた。
チョークのようなものでびっしりと名前が書き殴られている。
その中には、**「佐伯太星」**の文字もあった。
【ENEMY IDENTIFIED:ウワサノケイ】
【形態:記憶構成型エネミー】
【性質:言葉に反応し、実体化させる】
「……なんだよ、あれ……」
太星は一歩、後ずさる。
その瞬間、空気が震えた。
どこからともなく、声が聞こえる。
「佐伯ってさ、親も弟も死んでんのに、よく普通に学校来れるよな」 「強がってるだけじゃね? アイツ、壊れてんだよ」 「かわいそうぶってるだけ。俺らのせいじゃねえし」
――ズルッ!
床から“手”が生える。 机の間から、腐った指が無数に這い出してくる。
「ッ……!」
太星の膝が震える。逃げたい。けど、足が動かない。
そのとき、コルノが前に出た。
「君の過去が、君自身を襲ってくる」
「彼は“ウワサノケイ”。名前の通り、“噂”を実体化して攻撃してくる存在だ」
「……チートすぎだろ……!」
コルノは構わず続ける。
「だが、君にはそれに対抗する力がある。“プレイヤー”としての権利だ」
太星の視界に再び文字が浮かぶ。
【インナープレイ起動可能】
【念じて、行動を選択してください】
「コントローラーなんて、ねえよ……!」
「あるさ」
コルノは仮面の奥で微笑んだ。
「君の指先と、思考回路が作り上げた、最強の“戦術”がね」
太星の脳裏に浮かぶ。何百、何千回と繰り返したゲームの操作。
コンボ。タイミング。予測回避。照準合わせ。
すべてが、頭の中でカチリと噛み合った。
「よし……やってやるよ」
太星が目を閉じて“選択”した瞬間――
【SKILL UNLOCKED:SIDE DASH FOCUS AIM】
【アクションスキル:ピンポイント・インパクト Lv1】
「——行くぞ!」
目の前の怪物に向かって、一歩踏み込む。 その動きはもはや人間のものではなかった。 スライドし、回り込み、腕を振りかざし——
ピシィィィィッ!!!
黒板の表面に、太星の拳がぶち込まれた。
そこに刻まれていた「佐伯太星」という文字が、粉々に砕け散る。
ウワサノケイが叫び声のようなノイズを上げてのけぞった。
「……ちゃんと、見てろよ、コルノ。俺、こういうの、得意だから」
「それは頼もしい。……少しだけ、期待してもいいかな」