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砂時計

#1

プロローグ

 弟が死んだのは、今年の一月だった。
 雪の降る夜だった。家の中は暖房の音すらうるさいほど静まり返っていて、唯一、生きている気配を放っていたのは、布団の中で息を切らしていた弟——真人の体温だけだった。
 半年。それがあの“病気”に与えられた、タイムリミットだった。

 父のときも、母のときも、発症してから六ヶ月。ほとんど同じ症状。医者は首を傾げるばかりで、検査結果はすべて異常なし。
 なのに、三人とも順番に死んだ。

「たいせい、さ……」
 

 最後に真人がそう言って、息を引き取った。
 
 掠れた声で、何を言おうとしたのかは分からなかった。でも、目を閉じたその顔は、何かを託すような表情をしていた。
 あの瞬間、俺は心のどこかで決めていた。
——[太字]この病気を、謎を、俺が解き明かす。家族が“ただの運命”で死んだなんて、思いたくない。[/太字]
 それから半年。何も分からないまま、時間だけが過ぎていった。
 そして、今日——

「次は……君の番だ。佐伯太星」

 声がした。
 部屋の真ん中に、誰かが立っていた。
 
 見たことのない顔。笑ってもいないし、怒ってもいない。ただ、そこに“在る”だけのような存在。
 その足元には、大きな砂時計があった。

 地球儀ほどもあるそれが、静かにクルリと回転する。

ゴロン——

 耳の奥に響いた音。

 その音が、俺の余命のカウントダウンの始まりだった。

2026/02/26 10:17

日間暮
ID:≫ 6yTgHEMno8sog
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