〜3年前〜
夏
本格的にレッスンが始まって1ヶ月が経ち始めた。とはいえまだ慣れないことばかり。ひとまず施設のお手洗いの位置、人の名前、教室の借り方などは覚えられた。問題は人間関係、そう、あと1人…。自己紹介の日全員に挨拶をしようと試みて話しかけに行ったはいいものの、1人だけ挨拶がまだできていない子がいる。『■■ちゃん』だ。人見知りなのだろうと初見で分かるぐらいには雰囲気が重かったあの子だけまだ仲良くなれていない…。レッスンには毎日来ているのだが、いつも何かを小声でつぶやいているし自分の手先をじっと見つめている。あれは自分なりのリラックス方法なの…か?そしてなにより髪型のバリエーションがすごい。初めて会った1ヶ月前は髪を下ろしてゆるく巻いていたがその1週間後には三つ編み、2週間後にはポニーテール。3週間後にはツインテール。そして今日は、編み込みをしている。ずいぶん器用な子なんだな…
「……ちゃん!桜ちゃん!」
「…えっ!?あっ!ごめんね!!考え事してて気づかなかった!!」
まずい…あんまり人を詮索のは失礼だ。考えるのをやめよう。
「あ〜そうだったんだ!すごく真剣な顔してたから大丈夫かな〜って思ってたけど…体調が悪いわけではないんだよね?」
「うん!!全然大丈夫!!心配してくれてありがとう!!」
相変わらず■■ちゃんは人のことをよく見てるな…
「うーん…答えたくなかったらいいんだけど…なんで■■ちゃんのこと見つめてたの?」
「えっ!!!」
そんなに顔に出てた!?失礼すぎるし恥ずかしい!!
「実はまだお話したことなくて…どんな子なんだろうな〜って考えてたんだ!!」
「あー!それで見つめてたんだね!私も話したことないなぁ■■ちゃん。」
「そうだったの?■■ちゃん明るいからてっきり…」
「あははっ!桜ちゃんに比べたら全然だよ!話したことはないんだけど、レッスン中に独り言を聞いたことなら少し…」
「えっ すごい小さい声で言ってるあの独り言?」
「そう! どうしても気になっちゃって、近くまで寄って聞き耳立てたことがあるんだけど…」
あの独り言を聞ける人がいたとは…耳が良いんだろうな。
「なんて言ってたの?」
「え………うーん…」
「……え?…」
「いや、いいや。言っちゃおう。」
「え?」
「『私のもの。私だけ。逃げたら許さない。』……」
「えぇ……?」
「最初は何かのセリフなのかなって思ったの。でもこう…台本とかなかったから…多分、独り言…?」
「そっか、まぁ、そう思うときも、あるのかも?」
いやないだろ。怖すぎる。予想外すぎて適当に答えてしまった。
「えっ!桜ちゃんは分かるの!?」
あぁやってしまった訂正しないと分かるわけがない。
「ごめん!!嘘!!分かんない!!びっくりしちゃって変なこと言っちゃっただけ!!」
「なんだ…桜ちゃん、恋愛好きなのかと思っちゃった!」 「恋愛好き?」
今の話がなぜ恋愛に…?
「私、ちょっと考えてみたんだけど、好きな人の事なのかなーとしか思えなくて…。いるでしょ?『メンヘラ女子』って」
メンヘラ女子…聞いたことはあるけど実際に見たことはないな。というかそういうのは…
「フィクションだと思ってた…」
「えぇっ!?いるよ!いるいる!恋愛漫画でいーっぱい出てくるよ!」
「う〜ん…そういうのあんまり読んだことなくて…つまり、■■ちゃんが『メンヘラ女子』ってこと?」
「そう!…だと、思ってる!」
「そっか〜。『メンヘラ女子』は1人のほうが好きなの?」
「人によるかもしれないけど…寂しがり屋なイメージがあるなぁ」
「!! じゃあ、私が話しかけても怒られない?」
「全然良いと思う!というか、誰も怒らないと思うよ!」
「それもそうだね!!明日話しかけてみるよ!!」
夏
本格的にレッスンが始まって1ヶ月が経ち始めた。とはいえまだ慣れないことばかり。ひとまず施設のお手洗いの位置、人の名前、教室の借り方などは覚えられた。問題は人間関係、そう、あと1人…。自己紹介の日全員に挨拶をしようと試みて話しかけに行ったはいいものの、1人だけ挨拶がまだできていない子がいる。『■■ちゃん』だ。人見知りなのだろうと初見で分かるぐらいには雰囲気が重かったあの子だけまだ仲良くなれていない…。レッスンには毎日来ているのだが、いつも何かを小声でつぶやいているし自分の手先をじっと見つめている。あれは自分なりのリラックス方法なの…か?そしてなにより髪型のバリエーションがすごい。初めて会った1ヶ月前は髪を下ろしてゆるく巻いていたがその1週間後には三つ編み、2週間後にはポニーテール。3週間後にはツインテール。そして今日は、編み込みをしている。ずいぶん器用な子なんだな…
「……ちゃん!桜ちゃん!」
「…えっ!?あっ!ごめんね!!考え事してて気づかなかった!!」
まずい…あんまり人を詮索のは失礼だ。考えるのをやめよう。
「あ〜そうだったんだ!すごく真剣な顔してたから大丈夫かな〜って思ってたけど…体調が悪いわけではないんだよね?」
「うん!!全然大丈夫!!心配してくれてありがとう!!」
相変わらず■■ちゃんは人のことをよく見てるな…
「うーん…答えたくなかったらいいんだけど…なんで■■ちゃんのこと見つめてたの?」
「えっ!!!」
そんなに顔に出てた!?失礼すぎるし恥ずかしい!!
「実はまだお話したことなくて…どんな子なんだろうな〜って考えてたんだ!!」
「あー!それで見つめてたんだね!私も話したことないなぁ■■ちゃん。」
「そうだったの?■■ちゃん明るいからてっきり…」
「あははっ!桜ちゃんに比べたら全然だよ!話したことはないんだけど、レッスン中に独り言を聞いたことなら少し…」
「えっ すごい小さい声で言ってるあの独り言?」
「そう! どうしても気になっちゃって、近くまで寄って聞き耳立てたことがあるんだけど…」
あの独り言を聞ける人がいたとは…耳が良いんだろうな。
「なんて言ってたの?」
「え………うーん…」
「……え?…」
「いや、いいや。言っちゃおう。」
「え?」
「『私のもの。私だけ。逃げたら許さない。』……」
「えぇ……?」
「最初は何かのセリフなのかなって思ったの。でもこう…台本とかなかったから…多分、独り言…?」
「そっか、まぁ、そう思うときも、あるのかも?」
いやないだろ。怖すぎる。予想外すぎて適当に答えてしまった。
「えっ!桜ちゃんは分かるの!?」
あぁやってしまった訂正しないと分かるわけがない。
「ごめん!!嘘!!分かんない!!びっくりしちゃって変なこと言っちゃっただけ!!」
「なんだ…桜ちゃん、恋愛好きなのかと思っちゃった!」 「恋愛好き?」
今の話がなぜ恋愛に…?
「私、ちょっと考えてみたんだけど、好きな人の事なのかなーとしか思えなくて…。いるでしょ?『メンヘラ女子』って」
メンヘラ女子…聞いたことはあるけど実際に見たことはないな。というかそういうのは…
「フィクションだと思ってた…」
「えぇっ!?いるよ!いるいる!恋愛漫画でいーっぱい出てくるよ!」
「う〜ん…そういうのあんまり読んだことなくて…つまり、■■ちゃんが『メンヘラ女子』ってこと?」
「そう!…だと、思ってる!」
「そっか〜。『メンヘラ女子』は1人のほうが好きなの?」
「人によるかもしれないけど…寂しがり屋なイメージがあるなぁ」
「!! じゃあ、私が話しかけても怒られない?」
「全然良いと思う!というか、誰も怒らないと思うよ!」
「それもそうだね!!明日話しかけてみるよ!!」