23時。
誰もいないレッスン室、静かな廊下、寮の部屋の明かりは…ぽつぽつとついている。まだ起きているアイドルがいるのだろうか。
「…走ろう」
靴ひもを強く結び、水の入ったペットボトルを準備する。イヤホンをつけてお気に入りの音楽を流す。あぁ、汗を拭くためにタオルも用意しなければ。…よし、これで完璧。ランニング開始だ。
扉を開けて外に出る。4月上旬の夜はまだ少し肌寒かった。勿論、この時間にランニングをしようとする『健康管理が出来ていないアイドル』は一人もおらず、いつも賑やかな昼間とは打って変わって、とても静かな一本道が私の目の前にあった。まぁ仮に自主練をしているアイドルがいたとしてもどうこうするつもりはない 私はこのまま1人で走るのだから。
空が綺麗だった 1人で見るのは勿体ないぐらい月が、星が、輝いていた。
「誰かに見せたいな…」
走りながら呟く。写真を撮るか?いや、今はカメラを持っていないから無理だ。ランニングに必要ないものは全て部屋に置いてきた。あぁ、1人だと誰かと景色を共有することも出来ないんだったな。
誰も見ていないところで長時間練習をする癖は昔から変わらなかった。変えようとは何度も試みたが未だこの癖がなおる気配はない。
もう一度、紺青色をした綺麗な空を見上げる。
ふと、昔のことを思い出してしまった。いや、思い出したというよりこの夜の景色が私の記憶を蘇らせたと言うべきか。
「こんな深夜じゃなくて、朝一緒に走ろうよ!」と提案してくれたあの子 「走ってないでちゃんと寝なよ〜どうしてもって言うならあたしも無理やりついてくから」と心配してくれていたあの子。「頑張るね〜負けてられない!」と勝負を挑んできたあの子。「え、え、みなさんが行くなら私も…」と一緒についてきてくれたあの子。
「…そういえば、あの日も空が綺麗だった気がするな…」
……走るスピードを上げた。 これ以上思い出したくなかった。
まぁ、今となってはあの時のほとんどのことを
忘れることが出来たけど。
月白を纏う三日月を背に、桜の花が静かに揺れていた。
誰もいないレッスン室、静かな廊下、寮の部屋の明かりは…ぽつぽつとついている。まだ起きているアイドルがいるのだろうか。
「…走ろう」
靴ひもを強く結び、水の入ったペットボトルを準備する。イヤホンをつけてお気に入りの音楽を流す。あぁ、汗を拭くためにタオルも用意しなければ。…よし、これで完璧。ランニング開始だ。
扉を開けて外に出る。4月上旬の夜はまだ少し肌寒かった。勿論、この時間にランニングをしようとする『健康管理が出来ていないアイドル』は一人もおらず、いつも賑やかな昼間とは打って変わって、とても静かな一本道が私の目の前にあった。まぁ仮に自主練をしているアイドルがいたとしてもどうこうするつもりはない 私はこのまま1人で走るのだから。
空が綺麗だった 1人で見るのは勿体ないぐらい月が、星が、輝いていた。
「誰かに見せたいな…」
走りながら呟く。写真を撮るか?いや、今はカメラを持っていないから無理だ。ランニングに必要ないものは全て部屋に置いてきた。あぁ、1人だと誰かと景色を共有することも出来ないんだったな。
誰も見ていないところで長時間練習をする癖は昔から変わらなかった。変えようとは何度も試みたが未だこの癖がなおる気配はない。
もう一度、紺青色をした綺麗な空を見上げる。
ふと、昔のことを思い出してしまった。いや、思い出したというよりこの夜の景色が私の記憶を蘇らせたと言うべきか。
「こんな深夜じゃなくて、朝一緒に走ろうよ!」と提案してくれたあの子 「走ってないでちゃんと寝なよ〜どうしてもって言うならあたしも無理やりついてくから」と心配してくれていたあの子。「頑張るね〜負けてられない!」と勝負を挑んできたあの子。「え、え、みなさんが行くなら私も…」と一緒についてきてくれたあの子。
「…そういえば、あの日も空が綺麗だった気がするな…」
……走るスピードを上げた。 これ以上思い出したくなかった。
まぁ、今となってはあの時のほとんどのことを
忘れることが出来たけど。
月白を纏う三日月を背に、桜の花が静かに揺れていた。