ステージ裏の空気は、ついさっきまでの熱狂を置き去りにしたように冷たかった。
観客席から漏れるざわめきは、不安と混乱の色を帯びて波のように揺れている。
白い光の中、スタッフたちの足音だけがやけに大きく響いた。
「…事故、らしい。」
その言葉が誰の口から漏れたのか妃瀰は知らない。けれど耳に届いたとき、胸の奥がざわりと音を立てた。
学校を出てから、電車の窓に映る自分の顔はずっと浮き立っていた。
今日は姉の最後ライブ——その最終公演をこの目で見るはずだった。
会場に着いたとき、妃瀰は違和感を覚えた。
ライブの後半が始まる時間なのに入り口前のスタッフの誘導がなく、代わりに救急車の赤い光が空気を染めていた。
足が自然と早まる。裏へ続く通路に踏み込むと空気が変わった。
冷たくて、鋭くて、息を吸うのが痛い。
「妃薇の…妹さん…?」
裏へ続く通路の途中、姉の専属舞台監督に呼び止められた。
舞台監督の後ろには白い布が運ばれているのが見えた。
担架の上。
動かない影。
誰も「姉だ」とは言わない。けれど、誰も否定しなかった。
胸の奥で何かがゆっくりと砕けていく。
ライブの音はまだ止んでいない。
客席からのざわめきが遠くで響いている。
「お姉…?」
零れた声は誰にも届かなかった。
観客席から漏れるざわめきは、不安と混乱の色を帯びて波のように揺れている。
白い光の中、スタッフたちの足音だけがやけに大きく響いた。
「…事故、らしい。」
その言葉が誰の口から漏れたのか妃瀰は知らない。けれど耳に届いたとき、胸の奥がざわりと音を立てた。
学校を出てから、電車の窓に映る自分の顔はずっと浮き立っていた。
今日は姉の最後ライブ——その最終公演をこの目で見るはずだった。
会場に着いたとき、妃瀰は違和感を覚えた。
ライブの後半が始まる時間なのに入り口前のスタッフの誘導がなく、代わりに救急車の赤い光が空気を染めていた。
足が自然と早まる。裏へ続く通路に踏み込むと空気が変わった。
冷たくて、鋭くて、息を吸うのが痛い。
「妃薇の…妹さん…?」
裏へ続く通路の途中、姉の専属舞台監督に呼び止められた。
舞台監督の後ろには白い布が運ばれているのが見えた。
担架の上。
動かない影。
誰も「姉だ」とは言わない。けれど、誰も否定しなかった。
胸の奥で何かがゆっくりと砕けていく。
ライブの音はまだ止んでいない。
客席からのざわめきが遠くで響いている。
「お姉…?」
零れた声は誰にも届かなかった。