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私が描く作品はシリアスな場面が多く、読んでいて心が重くなるような描写が含まれていることがあります。
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……ねぇ。
聞こえているかな。
僕ね、かみさまになったんだ。
人々を困らせる悪いかみさま。
ひどいんだよ。かみさまは信じている人がいる限り、その人が求めているものを与えなくちゃいけないんだ。
……ひどいんだよ。欲を満たし続けてほしいんだって。
ホントのかみさまだったら、そんな事するのかな?
「また邪神が出たらしいぞ! 例の邪教の仕業だ!」
とある町がパニックを起こしていた。邪神が町を襲撃したのだ。レンガ造りの家は跡形もなく倒壊し、一部の木造の家々は黒い炎によって燃え上がっている。
どれもコレも、欲望の神などという存在を作り出したメル教信者のせいだった。
「ヒャ〜気分がいいぜ!! お前らァ、このまま全部破壊しちまおうぜ!? 我らが神! メルデウス様の名のもとによぉ!!」
その信者たちの様子は、信者というよりヤクザだ。鉄球を振り回し、火をデタラメに放ち、戦えない人々の心の弱みに付け込んで薬漬けにする。それを神の仰せとする彼らは、気が狂っているとしかいいようがなかった。
「お前達! こんなことをして何が楽しいんだ!? 人々を傷つ──」
「アァ!? 楽しいに決まってんだろうが! テメェらの絶望した顔がたまんネェんだよ!! 死にやがれェ!」
娘だろうか。それを庇った父親を容赦なく鉄球で頭から潰す。背中に隠れた少女は一瞬何が起こったのかわからなかった。
「あ……あっ……あぁ……あ……」
次第に理解し始め、無意識に声が漏れる。
「お? ガキかァ……」
「ひっ……いやだ! お父さんっ!! お父さんってば!! ねぇ゛お父さん゛!!」
メル教信者がぎろりとこちらを見据えたのがわかった。今目の前で殺されたことを受け入れず、父だったものを必死で揺さぶる。
「いやっ、いやっ、ねぇお父さん!! お父さんってば!! お父」
「うっせーんだわガキ」
ゴキ。という嫌な音がした。肋骨がおられたようだ。
「か……ハッ。なん……で、どう……」
「あぁ、うちの神もガキなんだわ。どーも儀式はガキじゃねーとうまく行かねぇみたいでなァ……」
少女が求めたのは、どうしてこんなことをするのか、だ。殺さなかった理由を聞いたわけじゃない。
だが彼は、聞かれてもいないことをべらべら喋り始めた。
教団の名前でもあるメルは、ラテン語ではちみつを意味する言葉で、甘美という意味を合わせ持つ。
メル教は甘美を欲と定義し、欲に溺れた挙げ句王都の地下書庫に侵入。そこで保管されていた禁書から術を編み出し、途方もない魅了の力を持った少年を生み出したのが元の始まりだった。
その少年につけられた名は、【甘美の神メルデウス】。実体は、破壊者であり被害者。
術には、力を宿らせる対象として子供を用意しなければならず、術によって力を得た子供が大人になるとその力はどこかへ消えてしまう。
故に、この教団は子供だけは殺さず連れて帰り、現在立っている【神】の力がなくなるまでの間、洗脳のように教えと言う名の非道徳的なことを刷り込ませ続けるらしい。
中には、孤児院から引き取られそのまま育てられたものもいるそうだ。
少女は痛みで意識が飛びそうな中、動けないは故に話を聞くしかなかったが、メル教信者が熱心に語っているのを聞くのがだんだん飽きてきて、体が痛みにもなれてきたのか。他のことに集中が向くようになった。
「……だ、ど……して、い……」
近くで、少年の声が聞こえた。どこだろう。耳を澄ませてみる。辺りのパニックと喧騒の声でかき消されているが、今度ははっきり聞こえた。
「どうしてだ、こうすれば皆幸せだろ!! なんで、なんで皆僕を見るの? 嫌だよ嫌だ! 皆泣かないでよ! 大人しく、静かにあの世に行こう! こんな、こんな真っ黒な世界で生きるほうが辛いでしょ!? ねぇ! なんとか言えよ見るだけじゃなくてさぁ!!」
「あの子が、メルデウス……?」
あいも変わらず目の前の信者は熱く語っている。新しい【神】の教えに猛烈に感動したそうだ。皆死ねば幸せになれる、というのが今の【神】の教えらしい。あの子は洗脳的な教育を受けてきた代償としてそんな考えに至ってしまったのだろうか。
(まって、ちょっとおかしくない?)
冷静になって考えてみた。このメル教は甘美、欲を最も尊ぶ狂団だ。皆死ねば救われるなんて、狂っているけど方向性が違う気がする。
死んでしまえばいい。それはつまり、現世への未練を捨て去るのだから欲がないということでは?
(……お父さんが殺されたのは、コイツらのせいだ。でも、本元を辿ればあの子ってことになる。私よりは少し年下に見えるけど、欲至上主義を刷り込まれた中で皆で死のうなんて言っているあの子は、逆に合ってない)
むしろ、そんな環境の中で信者たちに信じ込ませたことのほうが異常なのではないだろうか。
聞こえているかな。
僕ね、かみさまになったんだ。
人々を困らせる悪いかみさま。
ひどいんだよ。かみさまは信じている人がいる限り、その人が求めているものを与えなくちゃいけないんだ。
……ひどいんだよ。欲を満たし続けてほしいんだって。
ホントのかみさまだったら、そんな事するのかな?
「また邪神が出たらしいぞ! 例の邪教の仕業だ!」
とある町がパニックを起こしていた。邪神が町を襲撃したのだ。レンガ造りの家は跡形もなく倒壊し、一部の木造の家々は黒い炎によって燃え上がっている。
どれもコレも、欲望の神などという存在を作り出したメル教信者のせいだった。
「ヒャ〜気分がいいぜ!! お前らァ、このまま全部破壊しちまおうぜ!? 我らが神! メルデウス様の名のもとによぉ!!」
その信者たちの様子は、信者というよりヤクザだ。鉄球を振り回し、火をデタラメに放ち、戦えない人々の心の弱みに付け込んで薬漬けにする。それを神の仰せとする彼らは、気が狂っているとしかいいようがなかった。
「お前達! こんなことをして何が楽しいんだ!? 人々を傷つ──」
「アァ!? 楽しいに決まってんだろうが! テメェらの絶望した顔がたまんネェんだよ!! 死にやがれェ!」
娘だろうか。それを庇った父親を容赦なく鉄球で頭から潰す。背中に隠れた少女は一瞬何が起こったのかわからなかった。
「あ……あっ……あぁ……あ……」
次第に理解し始め、無意識に声が漏れる。
「お? ガキかァ……」
「ひっ……いやだ! お父さんっ!! お父さんってば!! ねぇ゛お父さん゛!!」
メル教信者がぎろりとこちらを見据えたのがわかった。今目の前で殺されたことを受け入れず、父だったものを必死で揺さぶる。
「いやっ、いやっ、ねぇお父さん!! お父さんってば!! お父」
「うっせーんだわガキ」
ゴキ。という嫌な音がした。肋骨がおられたようだ。
「か……ハッ。なん……で、どう……」
「あぁ、うちの神もガキなんだわ。どーも儀式はガキじゃねーとうまく行かねぇみたいでなァ……」
少女が求めたのは、どうしてこんなことをするのか、だ。殺さなかった理由を聞いたわけじゃない。
だが彼は、聞かれてもいないことをべらべら喋り始めた。
教団の名前でもあるメルは、ラテン語ではちみつを意味する言葉で、甘美という意味を合わせ持つ。
メル教は甘美を欲と定義し、欲に溺れた挙げ句王都の地下書庫に侵入。そこで保管されていた禁書から術を編み出し、途方もない魅了の力を持った少年を生み出したのが元の始まりだった。
その少年につけられた名は、【甘美の神メルデウス】。実体は、破壊者であり被害者。
術には、力を宿らせる対象として子供を用意しなければならず、術によって力を得た子供が大人になるとその力はどこかへ消えてしまう。
故に、この教団は子供だけは殺さず連れて帰り、現在立っている【神】の力がなくなるまでの間、洗脳のように教えと言う名の非道徳的なことを刷り込ませ続けるらしい。
中には、孤児院から引き取られそのまま育てられたものもいるそうだ。
少女は痛みで意識が飛びそうな中、動けないは故に話を聞くしかなかったが、メル教信者が熱心に語っているのを聞くのがだんだん飽きてきて、体が痛みにもなれてきたのか。他のことに集中が向くようになった。
「……だ、ど……して、い……」
近くで、少年の声が聞こえた。どこだろう。耳を澄ませてみる。辺りのパニックと喧騒の声でかき消されているが、今度ははっきり聞こえた。
「どうしてだ、こうすれば皆幸せだろ!! なんで、なんで皆僕を見るの? 嫌だよ嫌だ! 皆泣かないでよ! 大人しく、静かにあの世に行こう! こんな、こんな真っ黒な世界で生きるほうが辛いでしょ!? ねぇ! なんとか言えよ見るだけじゃなくてさぁ!!」
「あの子が、メルデウス……?」
あいも変わらず目の前の信者は熱く語っている。新しい【神】の教えに猛烈に感動したそうだ。皆死ねば幸せになれる、というのが今の【神】の教えらしい。あの子は洗脳的な教育を受けてきた代償としてそんな考えに至ってしまったのだろうか。
(まって、ちょっとおかしくない?)
冷静になって考えてみた。このメル教は甘美、欲を最も尊ぶ狂団だ。皆死ねば救われるなんて、狂っているけど方向性が違う気がする。
死んでしまえばいい。それはつまり、現世への未練を捨て去るのだから欲がないということでは?
(……お父さんが殺されたのは、コイツらのせいだ。でも、本元を辿ればあの子ってことになる。私よりは少し年下に見えるけど、欲至上主義を刷り込まれた中で皆で死のうなんて言っているあの子は、逆に合ってない)
むしろ、そんな環境の中で信者たちに信じ込ませたことのほうが異常なのではないだろうか。