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私が描く作品はシリアスな場面が多く、読んでいて心が重くなるような描写が含まれていることがあります。
闇とは、万物を破壊するもの。
闇とは、万物を飲み込むもの。
闇とは、拒否をしない形容の愛。
それは、語られなくなってしまったとある神話の物語。
「はい、ここテストででるからしっかりノートに書き留めておくように」
朝の1限目、黒板をなぞるチョークがポキっと音を立てて転がる。
(一限目から神話の授業か……、ふわぁ……ねむ)
美原咲は噛み殺しつつ、バレないように欠伸をした。
「大事なのは特に3行目、『闇とは、拒否をしない形容の愛』という部分だ。誰か、この意味がわかるやつはいるか?」
ボサ髪の男性教師は教室を見渡す。
「はい! 拒否をしない形容の愛ってことは、こっちがどれほど重い感情を持ってても受け取ってくれるってことだと思うんです。だから……、そう! アイドルとか! よく『愛してるよ〜!』みたいな事言ってるじゃないですか」
答えた男子生徒に続いて推しのアイドルでもいたのか女子も続いた。
「なるほど……そうかわかった! つまり推し活だ! どんなに自分がダメ人間でも、推しは画面の向こうから全肯定して包み込んでくれる! 全てを忘れさせて、沼という名の闇に飲み込んでくれる……。これこそが拒否をしない究極の愛、すなわち闇!」
もちろんそんな話題、教室にどっと笑いが起きた。「お前、それはただの現実逃避だろ」「沼を闇って呼ぶなよ」と野次が飛ぶ。
「も〜、梨花ちゃんったら……」
咲の友達の梨花は男性アイドルグループの芳樹という人物を推している。アイドルという例えに感化されてつい口走ってしまったのだろう。学校ではアイドルを推していること隠していたのに……。
「まったく、静粛に。しかし、推し活か。なかなか面白い視点だね。確かに、否定をしないという観点ではある意味的を射っているのかも知れないな。だとしたら、上の2行、『万物を破壊し飲み込む』というのには当てはまらないんじゃないかい?」
そこで教室内は一度静まり返る。仮に推し活に当てはめて見ても、アイドルが破壊をするとは思えない。心を奪うという意味では飲み込むというのは当てはまるかも知れないが、やはり破壊するものではないはずだ。
「誰も思いつかないようだね」
先生はそこで一度区切り、窓の外を眺めた。校庭では体育の授業をしているクラスの声が響き、春の太陽がまぶしく地面を照らしている。
「だが、もしこの神話を書いた者が、本当に『破壊』と『愛』を同じ意味で使ったのだとしたら、それは我々の想像も及ばないほど、巨大で、なんらかの慈愛に溢れた感情だったのかもしれないな」
授業終了のチャイムが鳴る。
「起立! 礼!」
「「「ありがとうございましたー」」」
「ねぇ咲! さっきの授業どう思う? 朝から神話の授業とかうげーっておもってたけど面白かったくない?」
「梨花ちゃん! そうだね〜、闇か……。うちの弟がゲームとかよくやってるけど悪いイメージしかないな〜」
「あ〜、闇属性とか? 魔物とかが使いそうな属性だよね」
他のクラスメイトも、自分にとって身近な『闇』を友だちと共有している。だが、答えが出たグループはないようだ。
「それにしても梨花ちゃん、良かったの? もろ『推しがいます!』って感じだったじゃん」
指摘されて、梨花は顔をすっと青ざめる。それを見て咲はカラカラ笑った。
闇とは、万物を飲み込むもの。
闇とは、拒否をしない形容の愛。
それは、語られなくなってしまったとある神話の物語。
「はい、ここテストででるからしっかりノートに書き留めておくように」
朝の1限目、黒板をなぞるチョークがポキっと音を立てて転がる。
(一限目から神話の授業か……、ふわぁ……ねむ)
美原咲は噛み殺しつつ、バレないように欠伸をした。
「大事なのは特に3行目、『闇とは、拒否をしない形容の愛』という部分だ。誰か、この意味がわかるやつはいるか?」
ボサ髪の男性教師は教室を見渡す。
「はい! 拒否をしない形容の愛ってことは、こっちがどれほど重い感情を持ってても受け取ってくれるってことだと思うんです。だから……、そう! アイドルとか! よく『愛してるよ〜!』みたいな事言ってるじゃないですか」
答えた男子生徒に続いて推しのアイドルでもいたのか女子も続いた。
「なるほど……そうかわかった! つまり推し活だ! どんなに自分がダメ人間でも、推しは画面の向こうから全肯定して包み込んでくれる! 全てを忘れさせて、沼という名の闇に飲み込んでくれる……。これこそが拒否をしない究極の愛、すなわち闇!」
もちろんそんな話題、教室にどっと笑いが起きた。「お前、それはただの現実逃避だろ」「沼を闇って呼ぶなよ」と野次が飛ぶ。
「も〜、梨花ちゃんったら……」
咲の友達の梨花は男性アイドルグループの芳樹という人物を推している。アイドルという例えに感化されてつい口走ってしまったのだろう。学校ではアイドルを推していること隠していたのに……。
「まったく、静粛に。しかし、推し活か。なかなか面白い視点だね。確かに、否定をしないという観点ではある意味的を射っているのかも知れないな。だとしたら、上の2行、『万物を破壊し飲み込む』というのには当てはまらないんじゃないかい?」
そこで教室内は一度静まり返る。仮に推し活に当てはめて見ても、アイドルが破壊をするとは思えない。心を奪うという意味では飲み込むというのは当てはまるかも知れないが、やはり破壊するものではないはずだ。
「誰も思いつかないようだね」
先生はそこで一度区切り、窓の外を眺めた。校庭では体育の授業をしているクラスの声が響き、春の太陽がまぶしく地面を照らしている。
「だが、もしこの神話を書いた者が、本当に『破壊』と『愛』を同じ意味で使ったのだとしたら、それは我々の想像も及ばないほど、巨大で、なんらかの慈愛に溢れた感情だったのかもしれないな」
授業終了のチャイムが鳴る。
「起立! 礼!」
「「「ありがとうございましたー」」」
「ねぇ咲! さっきの授業どう思う? 朝から神話の授業とかうげーっておもってたけど面白かったくない?」
「梨花ちゃん! そうだね〜、闇か……。うちの弟がゲームとかよくやってるけど悪いイメージしかないな〜」
「あ〜、闇属性とか? 魔物とかが使いそうな属性だよね」
他のクラスメイトも、自分にとって身近な『闇』を友だちと共有している。だが、答えが出たグループはないようだ。
「それにしても梨花ちゃん、良かったの? もろ『推しがいます!』って感じだったじゃん」
指摘されて、梨花は顔をすっと青ざめる。それを見て咲はカラカラ笑った。