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いじめ系統。超絶不定期更新
20☓☓年、4月1日。晴れ。
今は太陽が輝かしい。
まるでここに来るなと言うような、燦々と眩しくて。
こんな日に、聞こえてくる。
また、[漢字]悪夢[/漢字][ふりがな]わるぐち[/ふりがな]が[漢字]この耳[/漢字][ふりがな]トラウマ[/ふりがな]に。
[水平線]
学校に向かっていた。春の陽気がどうにも生ぬるく、ゆだってしまいそうだった。凍てつくような寒さのほうが、皆自分が寒いから、視線が少なくて済むんだ。でも、あたたかくなると、他のことにも目をやれるようになる。温かいのは昔から苦手だが、視線がこちらに向いているかもしれないと思うと吐き気がした。
下駄箱を確認する。何もはいっていない。珍しい。
転校してきたというのと、家が少し遠いという理由で、今は下駄箱に私しかいない。ジロジロと確認なんてしていたら、それこそ笑いの種だ。確認するなら今しかない。入念に調べたが、やはりなにもない。あの女は付いてきていないのか? それはそれで嬉しいが、どうにも胸騒ぎが静まらない。
靴をしまい、中学指定のスリッパに履き替える。
何度転校しただろうか。小学校から転校してきたが、スリッパというのは初めてだ。中学ではこれが当たり前なのか。
「はっきしゅ! ……う、鼻水気持ち悪い……」
……春が苦手な理由のもう一つは、花粉症ということだ。よく鼻水を見られて笑われた。マスクを付けて誤魔化すのは正解だったようだ。とはいえ、給食の時間もある。何処かで、トイレにでもはいって拭き取らなくては。
一応転校生なので、職員室に来るように担任らしき先生に言われていた。なので、さっさと職員室に向かう。向かいたかった。
「っ……!」
まだ生徒がいたようだ。女子。リーダー格。こちらを向いて、マスクを指さして笑う。
「あら? 若葉じゃない、そのマスクどうしたの? 風邪なら休んだら〜? あははっ!」
若葉。そう呼ばれた途端に血の気が引く。まるで心配しているようなセリフのようで、真正面から嘲笑う。彼女は、前の学校も、その前も、何度転校してもしつこく付いてきた若葉、私のトモダチ。
「ちょっと。聞いてんの? 私のこと、忘れたなんて言わないでしょ? 『友達』なんだからさぁ〜! わ た し よ私。あ・い・か!」
[漢字]水原愛華[/漢字][ふりがな]みずはらあいか[/ふりがな]。わたしの、トモダチ。ずっと、しつこくつきまとってくる、トモダチ。
「わ・か・ば?!」
「ひっ……」
息を呑むことしかできない。語気を強めて、私の怯える姿を楽しんでいる。楽しませるのがきっと私で、楽しむのが多分トモダチ。常に怯え続けて生きた。でも限界があったから、転校して逃げた。そしたら付いてきた。同じことがくり返された。
嫌って、言えない。
「何怯えてんのよ?? 私ー、若葉が転校するって聞いて寂しいだろうなって付いてきてあげたのにー、きーずーつーく〜」
わざとらしい演技。大きく頭を振って、大げさに肩を落として、巧みに『被害者』を演じる。疑った先生は一人もいない。私の父親が転勤族なのは、本当に幸いだった。彼女がトモダチだって言っても親は良かったねとしか言わない。もしかしたら、トモダチは彼女にとっての何かしらの隠語かもしれないが、理由づくりなどせずとも転校ができる環境だった。
今すぐ、離れたい。理由、理由……。
「ご、ごめっ、わた、わたた、しょく、いん、しつ!」
言ってすぐに駆け出す。つまづき、転けそうになりながらも。
ガララッと職員室のドアを押し開け、強引に中に入り扉を締める。鍵があったので鍵もかける。何事かと騒ぐ先生たちも気にせずその場にぺたんと座り込む。
「嫌……」
今は太陽が輝かしい。
まるでここに来るなと言うような、燦々と眩しくて。
こんな日に、聞こえてくる。
また、[漢字]悪夢[/漢字][ふりがな]わるぐち[/ふりがな]が[漢字]この耳[/漢字][ふりがな]トラウマ[/ふりがな]に。
[水平線]
学校に向かっていた。春の陽気がどうにも生ぬるく、ゆだってしまいそうだった。凍てつくような寒さのほうが、皆自分が寒いから、視線が少なくて済むんだ。でも、あたたかくなると、他のことにも目をやれるようになる。温かいのは昔から苦手だが、視線がこちらに向いているかもしれないと思うと吐き気がした。
下駄箱を確認する。何もはいっていない。珍しい。
転校してきたというのと、家が少し遠いという理由で、今は下駄箱に私しかいない。ジロジロと確認なんてしていたら、それこそ笑いの種だ。確認するなら今しかない。入念に調べたが、やはりなにもない。あの女は付いてきていないのか? それはそれで嬉しいが、どうにも胸騒ぎが静まらない。
靴をしまい、中学指定のスリッパに履き替える。
何度転校しただろうか。小学校から転校してきたが、スリッパというのは初めてだ。中学ではこれが当たり前なのか。
「はっきしゅ! ……う、鼻水気持ち悪い……」
……春が苦手な理由のもう一つは、花粉症ということだ。よく鼻水を見られて笑われた。マスクを付けて誤魔化すのは正解だったようだ。とはいえ、給食の時間もある。何処かで、トイレにでもはいって拭き取らなくては。
一応転校生なので、職員室に来るように担任らしき先生に言われていた。なので、さっさと職員室に向かう。向かいたかった。
「っ……!」
まだ生徒がいたようだ。女子。リーダー格。こちらを向いて、マスクを指さして笑う。
「あら? 若葉じゃない、そのマスクどうしたの? 風邪なら休んだら〜? あははっ!」
若葉。そう呼ばれた途端に血の気が引く。まるで心配しているようなセリフのようで、真正面から嘲笑う。彼女は、前の学校も、その前も、何度転校してもしつこく付いてきた若葉、私のトモダチ。
「ちょっと。聞いてんの? 私のこと、忘れたなんて言わないでしょ? 『友達』なんだからさぁ〜! わ た し よ私。あ・い・か!」
[漢字]水原愛華[/漢字][ふりがな]みずはらあいか[/ふりがな]。わたしの、トモダチ。ずっと、しつこくつきまとってくる、トモダチ。
「わ・か・ば?!」
「ひっ……」
息を呑むことしかできない。語気を強めて、私の怯える姿を楽しんでいる。楽しませるのがきっと私で、楽しむのが多分トモダチ。常に怯え続けて生きた。でも限界があったから、転校して逃げた。そしたら付いてきた。同じことがくり返された。
嫌って、言えない。
「何怯えてんのよ?? 私ー、若葉が転校するって聞いて寂しいだろうなって付いてきてあげたのにー、きーずーつーく〜」
わざとらしい演技。大きく頭を振って、大げさに肩を落として、巧みに『被害者』を演じる。疑った先生は一人もいない。私の父親が転勤族なのは、本当に幸いだった。彼女がトモダチだって言っても親は良かったねとしか言わない。もしかしたら、トモダチは彼女にとっての何かしらの隠語かもしれないが、理由づくりなどせずとも転校ができる環境だった。
今すぐ、離れたい。理由、理由……。
「ご、ごめっ、わた、わたた、しょく、いん、しつ!」
言ってすぐに駆け出す。つまづき、転けそうになりながらも。
ガララッと職員室のドアを押し開け、強引に中に入り扉を締める。鍵があったので鍵もかける。何事かと騒ぐ先生たちも気にせずその場にぺたんと座り込む。
「嫌……」