真っ赤に染まった城の入口を呆然と眺め続けていた留衣は、ふと、僕を逃がしてくれたメイドに話しかけられた。
「留衣様、今はとにかく、安全なところへ逃げましょう」
「ハル……。うん、わかった……」
ハル・リシュトリア。親の裏切りによって没落した、元上流貴族。僕の生まれた家との関わりが深く、ハルには何の非もないので、奴隷敵立場として留衣の屋敷のメイドになった。同い年というのもあり、幼馴染のように仲が良かったのだが……、今はそれどころではない。
「留衣、少しいいか?」
傍に控えていた、護衛役のカオル・リオーネが話しかけた。こちらも、僕と仲が良い。
「この近くの村に、『ハルト村』というのがある。そこならきっと安全だろうと思うんだが」
「……、そうかもな。今はとりあえず、身を隠さなきゃ。どうすればいける?」
まだ立ち直れていない僕は、普段とは打って変わった暗さでぽつりぽつりと話す。僕には前世の記憶がある。このままでは、自分も命を失いかねないと理解している。きっと、ただの子供でないからこそできる判断だろう。
僕の質問に、カオルはすぐに答えてくれた。
「ここから馬車で10日程かかる。だが、こんな事になった城の前で馬車を手配するわけにも行かない。取り敢えず、人目のつかないところに移動しよう」
「……わかった」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
そうして移動すること数分。ピチャピチャと水が滴る路地裏で、僕と二人はようやく腰を下ろした。
「……っと、ここなら人目はつかないだろ」
護衛役というのもあってか、路地の出入り口から目を離さないカオル。じっ、と外の様子を伺いながら、取り敢えずは安心する。精神的に参ってしまった僕は、深い溜息を着きながらも応じた。
「あぁ……。こんなとこ、誰もこないだろうしね」
「こういったところには、必ず怪しげな輩が居ます。留衣様、警戒なさって下さい」
自分が油断すると、すぐに喝を飛ばすメイド。半分呆れながらも、「おう……」とだけ返事を返した。
「取り敢えず、朝のうちはあんまり動きたくないな。夜までここで、っていうのもあれだが。どうする留衣」
「ここでいい……」
心の整理をする時間が欲しかった僕は、ボソボソと答え、顔を伏せって時間が立つのを待ち続けた。重苦しい空気の中、三人とも沈黙してしまい、時間が経つのは、ある意味あっという間だった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「……夜になったぜ。行こう」
「……あぁ」
「……わかりました」
「留衣様、今はとにかく、安全なところへ逃げましょう」
「ハル……。うん、わかった……」
ハル・リシュトリア。親の裏切りによって没落した、元上流貴族。僕の生まれた家との関わりが深く、ハルには何の非もないので、奴隷敵立場として留衣の屋敷のメイドになった。同い年というのもあり、幼馴染のように仲が良かったのだが……、今はそれどころではない。
「留衣、少しいいか?」
傍に控えていた、護衛役のカオル・リオーネが話しかけた。こちらも、僕と仲が良い。
「この近くの村に、『ハルト村』というのがある。そこならきっと安全だろうと思うんだが」
「……、そうかもな。今はとりあえず、身を隠さなきゃ。どうすればいける?」
まだ立ち直れていない僕は、普段とは打って変わった暗さでぽつりぽつりと話す。僕には前世の記憶がある。このままでは、自分も命を失いかねないと理解している。きっと、ただの子供でないからこそできる判断だろう。
僕の質問に、カオルはすぐに答えてくれた。
「ここから馬車で10日程かかる。だが、こんな事になった城の前で馬車を手配するわけにも行かない。取り敢えず、人目のつかないところに移動しよう」
「……わかった」
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そうして移動すること数分。ピチャピチャと水が滴る路地裏で、僕と二人はようやく腰を下ろした。
「……っと、ここなら人目はつかないだろ」
護衛役というのもあってか、路地の出入り口から目を離さないカオル。じっ、と外の様子を伺いながら、取り敢えずは安心する。精神的に参ってしまった僕は、深い溜息を着きながらも応じた。
「あぁ……。こんなとこ、誰もこないだろうしね」
「こういったところには、必ず怪しげな輩が居ます。留衣様、警戒なさって下さい」
自分が油断すると、すぐに喝を飛ばすメイド。半分呆れながらも、「おう……」とだけ返事を返した。
「取り敢えず、朝のうちはあんまり動きたくないな。夜までここで、っていうのもあれだが。どうする留衣」
「ここでいい……」
心の整理をする時間が欲しかった僕は、ボソボソと答え、顔を伏せって時間が立つのを待ち続けた。重苦しい空気の中、三人とも沈黙してしまい、時間が経つのは、ある意味あっという間だった。
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「……夜になったぜ。行こう」
「……あぁ」
「……わかりました」