文字サイズ変更

ライブラリーズ ~新たな柱となれ~

#3

知識の宝庫

 桜色の狐の後を、半ば走るようにして追う。
 狐は僕が走れば走るほどグングンと速度を上げていき、徒競走のような状況を作っていく。初めはアスファルトに覆われた道であったのが、走れば走るほど塗装がはがれた道になり、砂利道に転じ、[漢字]終[/漢字][ふりがな]しまい[/ふりがな]には樹海の中へと潜り込んでいった。
 もうどこをどう走っているのか分からなかった。ただ前を駆ける狐の、桜色の毛並みを追いかけるだけ。
 そうして僕とキツネは、無我夢中になって樹海を走り抜けた。…どれくらい走ったのだろうか。もうすっかり息が上がってしまった僕は、肩で息をしながら、目の前の景色を瞳に映した。
 そこは、とても森の中とは思えないほど、広く明るく[漢字]拓[/漢字][ふりがな]ひら[/ふりがな]けた場所であった。

 *  *  *
 そよそよと温かな風が身体を抜け、柔らかな日差しが僕を迎える。近くで水のせせらぎが聞こえる。頭上の樹木は気持ちよさそうに若葉をはためかせていた。
 それらの中心には蔦や花が絡んだ、まるで中世の洋館のような建築物がそびえていた。狐は、そこへ惑うことなく歩を進め、木製の看板の下で再び毛づくろいを始めた。僕も呼吸を整えながらその看板に目を止める。
 『A treasure trove of knowledge』
 「なんだろう…これは…?」
 僕は携帯端末をかざして、その途切れ途切れの文字を翻訳した。
 『知識の宝庫』
 「知識の宝庫って、もしかして[太字]図書館[/太字]…?」
 そのとき、足元で毛並みを整えていた狐がバッと携帯端末に足をのばし、僕の手からそれを叩き落した。
 「わっ…⁉何するんだよ」
 その時、僕は狐の言わんとしていることが分かった。きっと、この素敵な図書館に電子機器なんか持って行ってはいけないのだ。郷に入れば郷に従え、というものであろう。
 「うん。わかったよ」
 僕は携帯端末をポケットの奥にねじ込み、近くでその存在を[漢字]顕[/漢字][ふりがな]あら[/ふりがな]わにしていた門に手をかけた。
 すると。
 「わぁっ…‼」
 突如、門が煌々と光を放ち、狐と僕を取り囲み、飲み込んでいった。
 その間、なんだか安定しない小舟に揺らされているような眩暈を覚え、僕はぎゅっと目をつむる。物理や、法則では説明できないナニカが今、起こっていた。
 
 カッ――――。

 くらくらとする頭を押さえ、僕は目を開けた。すぐにその眼は、限界まで見開かれることになる。
 「え……どういう…?」
 ついその瞬間までいたであろう樹海は、[太字]大きな大都市[/太字]へと姿を変えていた。

2026/02/11 15:16

hosiko
ID:≫ 9529Lk16bPx6c
コメント

この小説につけられたタグ

ライブラリーズ擬人化

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はhosikoさんに帰属します

TOP