文字サイズ変更

ライブラリーズ ~新たな柱となれ~  

#15

本当

 僕は9番の隣に立って、扉に手を掛けていた。この先で、ほかの分類たちが舞っているのだという。
 仲良く、できるだろうか。
 不安になった僕は、桜色の髪を摘まんでいる9番に聞いた。
 「あの、ほかの分類たちは僕を、どう…思っているかな」
 「はてさて。それは我も知らぬ。……言うなれば、我以上に個性的な童ばかりよな」
 この時、9番は的を得ない答えで応じた。しかし、それ以上に例えようがないほどの集団であると知るのは、もう少し先である。
 
 *  *  *
 扉の先は、大広間のようだった。天井からは水晶のように透き通ったシャンデリアが、煌々とあたりを照らしている。中央には純白のクロスが敷かれたテーブルがいくつもあって、まるで舞踏会のような雰囲気を形作っていた。
 「うわあ…」
 僕は思わず感嘆のため息を漏らす。しかし、光り輝くシャンデリアよりももっと注目すべき点があったのだ。
 「……誰?」
 思わずその一点を見つめてしまう、僕。
 [太字]そこでは、8人の男女が優雅に談笑していた。[/太字]
 すると。
 9番が声を張り上げた。
 「皆の衆‼今宵、新たな0番のお披露目に[漢字]集[/漢字][ふりがな]つど[/ふりがな]うたこと、感謝する。…そうだ。この者が、我らの仲間として、共に過ごすこととなる‼」
 8人の視線が、一斉に僕に突き刺さった。僕は緊張と恐れで喉が引き絞られていった。視界がかすむ。元々、[漢字]歓迎会[/漢字][ふりがな]めだつこと[/ふりがな]は得意じゃないんだ。勘弁してくれ。
 僕は色あせた視界を手繰り寄せ、その8人の姿を目に移していく。
 姿は女性であったり、男性であったり、屈強な体つきであったり、華奢であったり、又は何か9番のような動物を形どった姿も見える。
 「……うっ…」
 「ぬ?童よ、どうした」
 9番がそっと肩を叩く。僕はハッと強く息を吐き、その後軽くむせた。目がチカチカと瞬く。
 僕の心を察したのか、9番が少し真剣味を帯びた顔つきで僕を諭した。
 「童よ。ウヌの[漢字]眼[/漢字][ふりがな]まなこ[/ふりがな]に映るは邪悪な存在か?違うだろう?目前に広がるのはあたたかな仲間のみぞ」
 僕は俯いてしまった首を上げ、もう一度見る。8人の視線。そこには確かに、『[漢字]邪[/漢字][ふりがな]よこしま[/ふりがな]』な感情は見当たらない。
 「…僕、不安なんです。突然望まれたとか、ずっと待っていた、とか言われても。……心の底では、僕は只の埋め合わせなんじゃないかって、思ってしまうんです。」
 ネラがいくら僕の疑心を[漢字]雪[/漢字][ふりがな]すす[/ふりがな]ごうと、心の雲は晴れない。。事実、臆病な僕の心は今にも壊れそうなのだ。
 「…童……」
 9番は、しばらく僕の目を覗き込んで、言った。
 「ウヌは、ここに来るとき、どんな心持ちで来た?我に連れられた時、『心が弾んだ』のではなかったか?」
 ふっと、僕はその言葉を反芻する。
 ――確かに、僕は『心が踊った』から、ここへ付いて来たんだ。
 「…安心せい。[太字]ここでは、誰もが本当の意味で『生きる』のだ。[/太字]…誰もウヌを否定しないし、拒まない」
 瞳の奥で、何かがチリチリとくすんだ。心なしか、目の前の8人と9番が、力強く頷いたように見える。何かが、堰を切って零れそうだった。
 9番が、唇を笑みの形に曲げる。
 「…ほうら、涙を流してもよいのだ。皆が皆、ウヌを望んでいたのだぞ?」
 ――ポタ。
 頬を、涙が伝う。僕のかすれたように枯れた心を、何かが潤してゆく。
 僕は本当の意味で報われた。
 「……よろしく、お願いします…‼」
 僕は顔を濡らす涙を振り払い、思い切り頭を下げた。こんな、人のために頭を下げたのは、これが本当の『初めて』なのかもしれない。
 そして、僕はスッと右手を差し出す。誰かが握ってくれる保証はない。手をつないでくれる確証はない。
 けれど。
 僕のその、か細い手は力強く握られた。
 「よろしくのう。0番よ」

 今宵、僕は公式的な『0番』として、皆に迎えられたのだ。

作者メッセージ

大体1500文字です。長くなってごめんなさいね。

2026/02/25 18:51

hosiko
ID:≫ 9529Lk16bPx6c
コメント

この小説につけられたタグ

ライブラリーズ擬人化

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はhosikoさんに帰属します

TOP