文字サイズ変更

ライブラリーズ ~新たな柱となれ~  

#12

ネラ=大図書館にとっての、''アイツ''

 時は遡り、ネラ=大図書館が石上宅嗣…新たな0番をもとの世界に返した直後である。
 
 俺様は石上 宅嗣――新たな0番・総記が無事元の世界に帰還したことを確認し、青空が広がるバルコニーから飛び立った。
 向かう場所はもちろん、[太字]アイツ[/太字]のところだ。
 豪奢なシャンデリアの大広間を抜け、灯りの並ぶ廊下を進み、迷わず一つの扉を開けた。
 金細工のドアノブが澄んだ音を立てる。
  
 「[太字]クレハ[/太字]」
 革張りのソファに腰かけていたアイツは、クスリと笑った。
 「ふふ、やっぱり来たね。ネラ」
 クレハは、俺様の来訪を予感していたらしい。
 ソファの端を軽くたたいて、クレハは言った。
 「座ったらいいんじゃない?」
 誘われるまま腰を下ろし、クレハの肩を抱く。
 するとクレハは苦笑いをして、やんわりと俺様の腕を払った。
 「駄目だよ。ボクが年上なんだから」
 「些細なことだ」
 クレハの隙のなさに舌を巻きつつ、俺様はその淡い色の三つ編みに指を絡ませる。

 そのまま戯れること、少々。
 クレハが、思い出したというように俺様の顔を見上げた。
 「ネラ、今日は[太字]ボクの街[/太字]が少し騒がしかったようだよ?まとめ役の9番は、君の部下でしょう?何をしているの?」
 「それについて話がある」
 こてりと首を傾げたクレハと向き合って、俺様はゆっくりと言葉を紡いだ。
 「クレハは0番・総記を担当する者がいないことを知っているだろう」
 「知っているよ。適任がいなかったから」
 「今日、決めた。そいつは人間だ」
 大体を察したのだろう。期待に満ちた目で、俺様に続きを促した。
 「それで?」
 「石上 宅嗣。二十年待って選んだ、新たな0番だ」
 クレハの白い頬が、目に見えて紅に染まった。
 「まさか、それって…」
 「クレハはいつぞやに言っていただろう?『新しい0番が人間なら、面白い』と」
 言い終えるよりも早く、クレハは満面の笑みを浮かべ俺様の手を握った。
 滅多に見せないスキンシップをとるときのクレハは、大いに喜んでいる証拠だ。

 ――やはり、クレハを幸せにできるのは俺様しかいないな。
 俺様は優越感に浸りつつ、俺様の手を握るクレハの柔らかな手の甲に、そっと口づけをした。
 微笑とも苦笑とも言えない、照れたような笑みをこぼす。
 「まだボクにかまうのかな?ネラ」
 「俺様を虜にするクレハのせいだ」
 甘く赤みのさしたクレハの顔にウインクをし、俺様は満足げに微笑んだ。

作者メッセージ

半ば番外編のように感じますが、れっきとした本編です。ネラ=大図書館が愛する人の姿を、見てください。

2026/02/16 18:29

hosiko
ID:≫ 9529Lk16bPx6c
コメント

この小説につけられたタグ

ライブラリーズ擬人化

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はhosikoさんに帰属します

TOP