時は遡り、ネラ=大図書館が石上宅嗣…新たな0番をもとの世界に返した直後である。
俺様は石上 宅嗣――新たな0番・総記が無事元の世界に帰還したことを確認し、青空が広がるバルコニーから飛び立った。
向かう場所はもちろん、[太字]アイツ[/太字]のところだ。
豪奢なシャンデリアの大広間を抜け、灯りの並ぶ廊下を進み、迷わず一つの扉を開けた。
金細工のドアノブが澄んだ音を立てる。
「[太字]クレハ[/太字]」
革張りのソファに腰かけていたアイツは、クスリと笑った。
「ふふ、やっぱり来たね。ネラ」
クレハは、俺様の来訪を予感していたらしい。
ソファの端を軽くたたいて、クレハは言った。
「座ったらいいんじゃない?」
誘われるまま腰を下ろし、クレハの肩を抱く。
するとクレハは苦笑いをして、やんわりと俺様の腕を払った。
「駄目だよ。ボクが年上なんだから」
「些細なことだ」
クレハの隙のなさに舌を巻きつつ、俺様はその淡い色の三つ編みに指を絡ませる。
そのまま戯れること、少々。
クレハが、思い出したというように俺様の顔を見上げた。
「ネラ、今日は[太字]ボクの街[/太字]が少し騒がしかったようだよ?まとめ役の9番は、君の部下でしょう?何をしているの?」
「それについて話がある」
こてりと首を傾げたクレハと向き合って、俺様はゆっくりと言葉を紡いだ。
「クレハは0番・総記を担当する者がいないことを知っているだろう」
「知っているよ。適任がいなかったから」
「今日、決めた。そいつは人間だ」
大体を察したのだろう。期待に満ちた目で、俺様に続きを促した。
「それで?」
「石上 宅嗣。二十年待って選んだ、新たな0番だ」
クレハの白い頬が、目に見えて紅に染まった。
「まさか、それって…」
「クレハはいつぞやに言っていただろう?『新しい0番が人間なら、面白い』と」
言い終えるよりも早く、クレハは満面の笑みを浮かべ俺様の手を握った。
滅多に見せないスキンシップをとるときのクレハは、大いに喜んでいる証拠だ。
――やはり、クレハを幸せにできるのは俺様しかいないな。
俺様は優越感に浸りつつ、俺様の手を握るクレハの柔らかな手の甲に、そっと口づけをした。
微笑とも苦笑とも言えない、照れたような笑みをこぼす。
「まだボクにかまうのかな?ネラ」
「俺様を虜にするクレハのせいだ」
甘く赤みのさしたクレハの顔にウインクをし、俺様は満足げに微笑んだ。
俺様は石上 宅嗣――新たな0番・総記が無事元の世界に帰還したことを確認し、青空が広がるバルコニーから飛び立った。
向かう場所はもちろん、[太字]アイツ[/太字]のところだ。
豪奢なシャンデリアの大広間を抜け、灯りの並ぶ廊下を進み、迷わず一つの扉を開けた。
金細工のドアノブが澄んだ音を立てる。
「[太字]クレハ[/太字]」
革張りのソファに腰かけていたアイツは、クスリと笑った。
「ふふ、やっぱり来たね。ネラ」
クレハは、俺様の来訪を予感していたらしい。
ソファの端を軽くたたいて、クレハは言った。
「座ったらいいんじゃない?」
誘われるまま腰を下ろし、クレハの肩を抱く。
するとクレハは苦笑いをして、やんわりと俺様の腕を払った。
「駄目だよ。ボクが年上なんだから」
「些細なことだ」
クレハの隙のなさに舌を巻きつつ、俺様はその淡い色の三つ編みに指を絡ませる。
そのまま戯れること、少々。
クレハが、思い出したというように俺様の顔を見上げた。
「ネラ、今日は[太字]ボクの街[/太字]が少し騒がしかったようだよ?まとめ役の9番は、君の部下でしょう?何をしているの?」
「それについて話がある」
こてりと首を傾げたクレハと向き合って、俺様はゆっくりと言葉を紡いだ。
「クレハは0番・総記を担当する者がいないことを知っているだろう」
「知っているよ。適任がいなかったから」
「今日、決めた。そいつは人間だ」
大体を察したのだろう。期待に満ちた目で、俺様に続きを促した。
「それで?」
「石上 宅嗣。二十年待って選んだ、新たな0番だ」
クレハの白い頬が、目に見えて紅に染まった。
「まさか、それって…」
「クレハはいつぞやに言っていただろう?『新しい0番が人間なら、面白い』と」
言い終えるよりも早く、クレハは満面の笑みを浮かべ俺様の手を握った。
滅多に見せないスキンシップをとるときのクレハは、大いに喜んでいる証拠だ。
――やはり、クレハを幸せにできるのは俺様しかいないな。
俺様は優越感に浸りつつ、俺様の手を握るクレハの柔らかな手の甲に、そっと口づけをした。
微笑とも苦笑とも言えない、照れたような笑みをこぼす。
「まだボクにかまうのかな?ネラ」
「俺様を虜にするクレハのせいだ」
甘く赤みのさしたクレハの顔にウインクをし、俺様は満足げに微笑んだ。