まばゆい光の粒が、瞼の上から消えてゆく。んっ…と少し呻いた後、僕は眩暈でくらむ頭を押さえて目を開けた。
そこは、僕がネラ=大図書館や9番に連れていかれた『図書館』に違いなかった。しかし、ふつう夜であることから暗いはずの景色は、チロチロと瞬く豆電球のイルミネーションに彩られている。
9番が「ニヤニヤ」と「ニコニコ」の中間あたりの笑顔を作って、僕を見た。
「以前とは又違ったものを見れて、嬉しかろう?この情景といえど、童を[太字]ほかの分類[/太字]どもらに紹介する、『せれもにー』である故」
9番のいびつな『せれもにー』という発音に耳が囚われたものの、いわゆる『歓迎会』であると察せられた。彼女の話によると、ネラが[太字]アイツ[/太字]というやつのために主催したのだという。道理で、強引な呼び出しだと思った。
* * *
重厚な扉を開けてみれば、中央に純白の翼をもつ天使――ネラ・大図書館が豪奢な椅子にもたれて待ち構えていた。そばには小柄な人影が見える。ネラのいう「アイツ」のことだろうか。二人はまるで恋人のように寄り添い合っていた。
「0番。よく来たことだ。まぁ今日はお前の仲間を呼び集っているから、ゆるりと過ごせ」
横柄な口調も変わらず、ネらは僕を見下ろした。すると。
「ねえ、君が『石上 宅嗣』かな?」
ネラのそばにいた人影が、僕に話しかけてきた。さっきは暗がりで見えなかった姿が、今度ははっきりとした輪郭を伴って現れる。
ライトグリーンの淡い髪束を緩く編み込んで、一本の三つ編みとして方に添えている。その服装はまるで軍服みたいで、白い光沢のある皮手袋がよく目に映えた。
一見、少女なのか少年なのかわからない装いである。
「…確かに、僕が石上 宅嗣ですが…」
「そうだ。クレハを紹介するためにお前を一番に呼んだのだ」
ネラが恭しく人影――クレハを引き寄せた。
「こいつは[太字]クレハ[/太字]。この世界ではだれよりも永く生きている。…俺様が『図書館』なら、クレハは『都市全体』だ」
「……⁉」
いつぞやに、ネラは自身の年齢を”117歳”という驚異的な数値を明らかにした。クレハは、それ以上ということである。
すると、クレハが僕の目を見て口元をほころばせた。
「君が、新しい0番なんだって?なんといっても、ネラが、ボクのために用意してくれたって言っててさ。…普段ボクはめったに君たちの前に現れないと思うけど、頑張ってね」
「……」
僕は、クレハの琥珀色の瞳に映る自分の姿を見ると、何も言えなくなってしまった。その瞳に濁りはなく、ただユラリユラリと波風を立てるように揺らめき、惑わしている。
心なしか、彼女の背後から[太字]もう一つの手[/太字]が見えた気がした。ネラ同様、僕がいる世界では見ない部類の人だと思った。
僕とクレハが互いを見あっていることに気づいたのか、ネラの眉根が寄せられ、鬼の形相になってゆく。
「0番。9番がほかの分類のもとへ案内するだろうから、もう行ってしまえ。…あまりクレハになれなれしくするな」
「ふふふ。石上…いや0番、行ってらっしゃいな」
僕はネラの恐ろしい形相に喉をひきつらせつつ、2人に礼をした。
いつの間にか背後には9番がいて、行くぞ、と足早に別の扉のもとへ向かう。
本格的な『顔合わせ』が、始まった。
そこは、僕がネラ=大図書館や9番に連れていかれた『図書館』に違いなかった。しかし、ふつう夜であることから暗いはずの景色は、チロチロと瞬く豆電球のイルミネーションに彩られている。
9番が「ニヤニヤ」と「ニコニコ」の中間あたりの笑顔を作って、僕を見た。
「以前とは又違ったものを見れて、嬉しかろう?この情景といえど、童を[太字]ほかの分類[/太字]どもらに紹介する、『せれもにー』である故」
9番のいびつな『せれもにー』という発音に耳が囚われたものの、いわゆる『歓迎会』であると察せられた。彼女の話によると、ネラが[太字]アイツ[/太字]というやつのために主催したのだという。道理で、強引な呼び出しだと思った。
* * *
重厚な扉を開けてみれば、中央に純白の翼をもつ天使――ネラ・大図書館が豪奢な椅子にもたれて待ち構えていた。そばには小柄な人影が見える。ネラのいう「アイツ」のことだろうか。二人はまるで恋人のように寄り添い合っていた。
「0番。よく来たことだ。まぁ今日はお前の仲間を呼び集っているから、ゆるりと過ごせ」
横柄な口調も変わらず、ネらは僕を見下ろした。すると。
「ねえ、君が『石上 宅嗣』かな?」
ネラのそばにいた人影が、僕に話しかけてきた。さっきは暗がりで見えなかった姿が、今度ははっきりとした輪郭を伴って現れる。
ライトグリーンの淡い髪束を緩く編み込んで、一本の三つ編みとして方に添えている。その服装はまるで軍服みたいで、白い光沢のある皮手袋がよく目に映えた。
一見、少女なのか少年なのかわからない装いである。
「…確かに、僕が石上 宅嗣ですが…」
「そうだ。クレハを紹介するためにお前を一番に呼んだのだ」
ネラが恭しく人影――クレハを引き寄せた。
「こいつは[太字]クレハ[/太字]。この世界ではだれよりも永く生きている。…俺様が『図書館』なら、クレハは『都市全体』だ」
「……⁉」
いつぞやに、ネラは自身の年齢を”117歳”という驚異的な数値を明らかにした。クレハは、それ以上ということである。
すると、クレハが僕の目を見て口元をほころばせた。
「君が、新しい0番なんだって?なんといっても、ネラが、ボクのために用意してくれたって言っててさ。…普段ボクはめったに君たちの前に現れないと思うけど、頑張ってね」
「……」
僕は、クレハの琥珀色の瞳に映る自分の姿を見ると、何も言えなくなってしまった。その瞳に濁りはなく、ただユラリユラリと波風を立てるように揺らめき、惑わしている。
心なしか、彼女の背後から[太字]もう一つの手[/太字]が見えた気がした。ネラ同様、僕がいる世界では見ない部類の人だと思った。
僕とクレハが互いを見あっていることに気づいたのか、ネラの眉根が寄せられ、鬼の形相になってゆく。
「0番。9番がほかの分類のもとへ案内するだろうから、もう行ってしまえ。…あまりクレハになれなれしくするな」
「ふふふ。石上…いや0番、行ってらっしゃいな」
僕はネラの恐ろしい形相に喉をひきつらせつつ、2人に礼をした。
いつの間にか背後には9番がいて、行くぞ、と足早に別の扉のもとへ向かう。
本格的な『顔合わせ』が、始まった。