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私の短編集

#3

シャトルラン

「行けるところまで行こう。」

「うん!」

目標も持てず、
勢いでスタートを切るなんて、
よくあることだ。
前回の自分が走り抜けた回数に自信がなくて。

ただ本当は、
もっともっと行きたかった。
もっと走りたかった。
そんな衝動に負けて足が動く。
おかしいよな。
もうやりたくない、嫌になったはずなのに。
足が無理なら心が動いてしまう。揺らいでしまう。

―身の程知らず。
―学べないただの馬鹿。
―何度やっても同じ。
―図太い負け犬。

そんな言葉、思いで傷つくけど。
止まらない。


「楽しいな。」

「うん。」

風がなびく。前から。後ろから。
汗が飛んでいく。来た道に向かって。


「,,,ちょっと休憩しようか。」

「そうだね。」

ゴールも見えず、
勢い消えて息を切らす。胸が肺が痛む。なんて、
よくあることだろう。
このまま走っていける自信がなくて。

シャトルランの時間は長い。
短くて長い。
感じると長い。遠く見ると短い。
だから、汗を褒めてくれるのはあなたぐらいだ。

「よくついてこれたな。」

「キツいけど、気持ちいいよ。」

「汗だくだくじゃん。頑張った証拠だ。」


「まだ走れるよ。」

「無理はしなくていい。」

「でも、まだ帰れないよ。」

「ちょっと歩こう。次のポイントまで。そこで―」

「行けるところまで行こうっ!」

「,,,そうだな。ありがとう。」

限界も見つからず、
どこまでも行けたらいいな。なんて夢見る。
よくあることだろう。
ここで足を止めて退く自信がなくて。

でも、
足の動きが鈍くなる。道がなくなっていく。
ゴールは、終わりは必ずくる。
帰る場所であなたを待っている何かがある。

「あっという間だね。」

「そんな悲しい顔すんなよ。」

「そんなこと言ってくれるのも君だけだよ。」

「そんなことねぇよ。」

だって、世界は、道は、広いから。
今はまだ足が届かなくても、
いつか、きっとあなたも遠くへ行ける。

身の程知らず。それでいい。
どこまでも行けばいい。
戻れる、時間はある。
学べない馬鹿でいい。
笑われても気にしない、
あなたの思いはきっと馬鹿じゃない。
何度もやればいい。
これはシャトルラン。
トライアンドエラー。何度も繰り返す。
図太くていい。諦めないで。
負け犬でいい。何が悪い。
勝てばいい。


ビーッ,,,,ピ↗ピ↗ピ↗,,,♪

「間に合わなかった。戻れなかったね。」

「そうだな。でもいいんだ。」

「君と記録が並んだもんね。」

目標も持てず、ゴールも見えず、限界も見つからず。
でも。一歩、数歩前進。数回記録が上がる。
あぁ。よくあっていいだろう。

そのための汗だ。
それがいいと思えたなら、
自信が持てたなら、
それでいいだろう。

ここはシャトルラン。何度も繰り返す。
何回も超えて。難解も超えて。

結局あなたと楽しく走れればそれでいい。
そんなこともいいだろう。


どこに行くにしろ。どこまでも。
あなたの到達点に向かって、
今日もどこかで、
シャトル、ラン。




作者メッセージ

走り出せ。後はそれからでいい。

2025/04/04 11:15

cabos
ID:≫ 6.lyzH1hcYkF.
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