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私の短編集

#2

迷えるダンゴムシ

ここは迷路だ。

分厚くて高い壁が両側に迫り、

僕は前に進むか、後ろに引くかしかできない。

このまま信じて進めばいいのか、
さっきの道に引き返すべきか、
葛藤する僕は迷える子羊だ。
だから、



ここは迷路だ。

分厚くて高い壁が両側に迫り、

僕は前に進むか、後ろに引くかしかできない。

このまま信じて進み続けるか、
諦めて引き返すべきか、
葛藤する僕は運命の思う壷だ。
だから、



「ここは迷路だ。」

進んだ先に女性がいた。
これは僕の答えじゃない。僕には関係ない。

「お前は壁か?」

「いいや、私はピエロだ。」



「だから、ここは迷路だ。」

「そうだ。」

「お前のような道化はいらない。引き返せ。邪魔だ。」

「違う。私が来たんじゃない。お前が見つけたんだ。」

「ふざけるな。僕はこんなの望んじゃいない。だから―」



「ここは迷路だ。」

「,,,詐欺師が語るな。」

「なぜ止まっている?私なんか無視して進んでみろ。私は壁じゃない。」

「止まっている訳じゃない。遊びじゃないんだ。僕の運命がかかっている。」

「そんなものに怯えて、丸まっているのか?まるでダンゴムシのようだな。滑稽だ。」

「“そんなもの”とはなんだ!?[漢字]詐欺師[/漢字][ふりがな]クズ[/ふりがな]はいいな。外道だから迷う必要もない。この人でなしめ。」



「ここは迷路だ。」

「分かってるっ!!」

「人でなしはお前だ、ダンゴムシ。運命なんてない。お前が全部切り開いたものだ。」

「そんな大道芸がここに通用するとでも?」



ここは迷路だ。

「そうだ。」

分厚くて高い壁が両側に迫り、

「そして、舞台でもあり、」

僕は前に進むか、後ろに引くかしかできない。

「それは人生でもある。」

このまま信じて進めばいいのか、

「お前の選んだ道と、選んだ思考で、」

さっきの道に引き返すべきか、

「全ての進路が決まる。」

葛藤する僕は迷える子羊だ。だから,,,

「素晴らしい!! これこそが、!!!」



――迷路だ。



「ふざけるな!!人の迷いを見物して何が楽しい!!」

「迷いは、楽しむものだ。お前のようなバカが苦しむものじゃない。」

「何も分かってないな、お前は!!スタートからやり直せ!!」

「はんっ。バカがっ。牙をしまえよ。お前は本能にしか進めない獣か?(笑)」

「黙れ!!!」

「どうした??進めよ。それともなんだ?頭が昇天してひっくり返って動けなくなったか?ダンゴムシめ。」

「葛藤に苦しんでいる人々を何だと思ってる!!!」

「バカだと言っているだろう?運命とか、恨んだって無駄だ。そんなもんは何処にも存在しない。」

「嘘だ!!」

「本当だ。事実であり、真実だ。あったらとっくに世界は変わってる。だって運命なんてものを創ったのは、お前のようなバカだからな。」

「ピエロの言葉何て信じないぞ!!」

「そうか。ひっくり返ってもう前も視えないか。滑稽。(笑)極めて滑稽だ!はははっ!!」

「外道がっ,,,!」

「外道?人とはそういうものだ。だから生物界の頂点にいる。人はお前のように、道端でひっくり返らない。」

「さすが、ピエロ。減らず口は立派だ。」

「営業で鍛えられたんだよ。お前にも現実を見せてやる。聞け。」



―ここは迷路だ。

分厚くて高い壁を作り、

馬鹿は前に進むか、後ろに引くしかできない。

このまま信じて進めばいいか?
さっきの道を引き返すべきか?
迷える子羊ならばお前は、
臆病にジャンプか、壁にアタックだろ。―


「なんでもあり,,,無法地帯だ。」

「そうだ。それが、」

迷路だ。



「,,,!?何をした!?」

「ダンゴムシなお前の14本足の内、12本を切り落とした。これでお前も2本足。人だ。」

「!?」

「立ってみろ。視える景色が違う。」


ここは迷路だ。

分厚いが小さな壁があるが、

僕はその足で何処へでも行ける。

進むはずな道はちっぽけで細く、
さっきの道も変わらずちっぽけで、
自然と笑えてる大きな僕だ。
だから、

もう何も怖くなんかない。

「そうだろ?これが大道芸ってやつだ。」

「もう苦しむ必要はないのか,,,。」

「そんなお前に、もう2本返してやる。そいつは道を切り開いて掴む「手」だ。」

「道を切り開いて、掴む,,,?」

「お前にはもう[漢字]私信[/漢字][ふりがな]ゴール[/ふりがな]も、[漢字]指針[/漢字][ふりがな]コンパス[/ふりがな]も必要ない。これからは何もかも自分で創るんだ。」

「今まで見えなかったものが全部見える,,,。」

「どうした?進まないのか?」

「もう、苦しまなくていいんだ,,,。」

「ホッとしている暇はないぞ。[漢字]人生[/漢字][ふりがな]サーカス[/ふりがな]はここからだ。」

「僕は最後までピエロに騙された。ありがとう。」

「芸人に礼はいらないし、まだ私の芸は終わっちゃいない。」

ここは迷路だ。

大きくも小さな壁がそこらかしこにあり、

僕はそれを超えるために、

前にも後ろにも進み、
右にも左にも、頑張って逃げていくんだ。

そうやってたくさんの道に向き合っていく。

最後に女性は告げた。

「この私を超えてみろ! お前の、壁だ。」




作者メッセージ

めっちゃ楽しかった。
ある人にもらったコメントを参考にしていただきました。ごちそうさまです。
あまりのデキにちょっと驚いてます。

2025/03/27 19:07

cabos
ID:≫ 6.lyzH1hcYkF.
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