文字サイズ変更

私の短編集

#1

お熱熱

「あっ。」

女の人が公園のベンチで寝てる。

いいなぁ。
僕も寝たいなぁ。

周りを見て、友達がこないのを確認して、
女の人に行く。

「,,,?」

女の人が起きて、僕を見た。

「おはよう。」

「ん。おはよう。どうしたの?」

「ずるいよ。」

「?」

「僕だって寝たい。」

「顔赤いよ?」

「熱。なのにお母さんはさ〜。学校行けって言うんだよ。」

ゴホゴホと咳が出る。
わざとじゃないもん。

酷いお母さんを思うと、
涙も出てきた。

「ひぐっ,,,ひぐっ,,,うぅ,,,。」

頭の中のお母さんが濡れるまで涙を落とした。
女の人を見ると、
まるでアリの行列を見ている目だったから、
僕の涙腺は引っ込んだ。

「お姉さんは、一人なの?」

「,,,フフッ。,,,こっちおいで。」

お姉さんがベンチをはたく。
僕はお姉さんの横に座った。
そしたら、お姉さんが僕のおでこに手を当てた。

「すごい。冷えピタみたいだ。」

「ジンジン痛くない?」

「平気。お姉さんは?」

「温かいよ。」

なぜかお姉さんはそう言って悲しい顔をした。
そんな目で見てきても、僕には分からないよ。
なんで微笑みながら泣いてるの?

「帰りたくない,,,。」

お姉さんが言うから僕はひどく驚いた。

「,,,僕も。」

返すと、お姉さんは、
また、僕が分からない顔をした。

「おいで。」

そう言って僕を強く抱きしめた。

「忘れないでね。」

そうボソッと言う。
僕が聴き逃す訳がない。

「忘れないよ! お熱で見る夢でも。絶対覚えてる。」

僕が焦ってそういう。

「温かいよ。」

お姉さんがまたそう零す。
さっきとは響きが違う。

「お姉さんは子供が欲しいの?」

別に怖くはない。
お母さんや父さんよりも、もうお姉さんが好きだ。

「嫌。」

お姉さんははっきりそう言った。
嫌だって、いらないってことが。
お姉さんが子供を好きじゃないことが分かった。

「僕のお熱、取って良いよ。」

お姉さんがまた目を開いた。
そして、おでこに手を置いた。
僕のお熱のせいで、周りの空気も暖まっている気がする。

「温かいね。」

僕が言うとお姉さんは笑って、

「おねつねつだね!」

と面白そうに言った。
それが、
僕の熱だと気づくのに、少し時間がかかった。
僕のお熱熱。


「いたぞぉぉ!!!」

知らない叫び声を聞いて公園の入り口を振り返ると、
警察のような、そうじゃないような人が数人、
こっちへ向かってきた。

バクバクな僕に、お姉さんは
「ありがとう。」
とだけ言っておでこにチューした。

何だか心の中がぐちゃぐちゃになって、
本当に泣きたくなった。

「こーさーんでーす。♪」

動けなくなった僕は、
初めてお姉さんの笑顔を見た気がした。
警察みたいな人達に両手を上げて、
遊び終わった子供のような晴れやかなその顔が。

それからお姉さんはその人達に両肩を掴まれた。
僕に何も言わないから、多分警察じゃない。

「じゃあね。また。」

お姉さんは最初に見せた笑顔の泣き顔で、
連れて行かれた。
振り返ってはくれなかった。
ただ、公園の入り口で肩を震わせながら、
涙を流しているのが見えた。

「また,,,会えるのかな。」

無理だろうと悟り僕は家へ帰って、
熱で倒れた。

お姉さんのお熱熱でだ。










作者メッセージ

初投稿のほっぺを意識しました。

2025/03/27 07:47

cabos
ID:≫ 6.lyzH1hcYkF.
コメント

この小説につけられたタグ

短編集

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はcabosさんに帰属します

TOP