雲一つない空。ひらひらと舞う桜。
今日から私は高校生になる。桜。それはあの夢にも出てくる木だった。そして、私の名前でもある。
有栖桜。「桜」という名前は母がつけた名前だ。私を妊娠しているとき、桜の木の夢をよく見たため桜という名前にしたらしい。私は、母もあの夢を見ていたのではないかと思っている。
教室に入ると、何人かがグループになり話をしていた。まだ入学式は始まっていないというのに。私にはそんなことはできないな、と思う。流行りには疎いため、話についていけないだろう。
友達はできるだろうか。中学の時は仲のいい友達がいたけれど、高校生になり学校が離れてしまった。
そんなことを考えているうちに入学式は終わった。結局、入学式が終わるまで誰とも話すことはなかった。
教室を出て校門へ向かう。周りを見渡していると、ふと桜の木が目に留まった。私はそちらへ向かう。頭上からゆっくりと落ちてくる花びら。風に舞う花びらは美しく、思わず見とれてしまう。「この」桜は美しいのだと、どこか自虐的なことを考えてしまう。
桜の木を何となく見上げていると、強い風が吹き、花びらが舞い上がる。
同時に、ドサッ、と何かを落としたような音が聞こえた。
振り向くと、真新しい制服を身に包み、こちらを見上げて地面に手をつく一人の男子生徒がいた。
私の心の中の何かが動いた。何とも言えない気持ちが込みあがってくる。
そして、私の頭の中にあることが浮かんできた。「やっと、会えた」と。
頬が熱い。手をやると、濡れていた。私は泣いているのだろうか。私を見上げる男子生徒のほうを見る。彼も、私と同じように頬を濡らしていた。
入学式終わりで騒がしいはずなのに、ここだけ時が止まったようだった。男子生徒は、はっとして立ち上がった。私に、軽くお辞儀をして、立ち去ろうとする。
「待っ‥‥。」
私は、彼を引き留めようとした。けれども、彼は足早に立ち去った。
今日から私は高校生になる。桜。それはあの夢にも出てくる木だった。そして、私の名前でもある。
有栖桜。「桜」という名前は母がつけた名前だ。私を妊娠しているとき、桜の木の夢をよく見たため桜という名前にしたらしい。私は、母もあの夢を見ていたのではないかと思っている。
教室に入ると、何人かがグループになり話をしていた。まだ入学式は始まっていないというのに。私にはそんなことはできないな、と思う。流行りには疎いため、話についていけないだろう。
友達はできるだろうか。中学の時は仲のいい友達がいたけれど、高校生になり学校が離れてしまった。
そんなことを考えているうちに入学式は終わった。結局、入学式が終わるまで誰とも話すことはなかった。
教室を出て校門へ向かう。周りを見渡していると、ふと桜の木が目に留まった。私はそちらへ向かう。頭上からゆっくりと落ちてくる花びら。風に舞う花びらは美しく、思わず見とれてしまう。「この」桜は美しいのだと、どこか自虐的なことを考えてしまう。
桜の木を何となく見上げていると、強い風が吹き、花びらが舞い上がる。
同時に、ドサッ、と何かを落としたような音が聞こえた。
振り向くと、真新しい制服を身に包み、こちらを見上げて地面に手をつく一人の男子生徒がいた。
私の心の中の何かが動いた。何とも言えない気持ちが込みあがってくる。
そして、私の頭の中にあることが浮かんできた。「やっと、会えた」と。
頬が熱い。手をやると、濡れていた。私は泣いているのだろうか。私を見上げる男子生徒のほうを見る。彼も、私と同じように頬を濡らしていた。
入学式終わりで騒がしいはずなのに、ここだけ時が止まったようだった。男子生徒は、はっとして立ち上がった。私に、軽くお辞儀をして、立ち去ろうとする。
「待っ‥‥。」
私は、彼を引き留めようとした。けれども、彼は足早に立ち去った。