入学式が終わり、校門へ目を向けると、人ごみの中を走り抜ける人の姿があった。
目を凝らしてみると、神崎凛だった。
突然告げられた婚約に、戸惑うしかなかった。まさか、同じ学校だったとは。
家に帰ると、思いがけず神崎凛がいた。
正座して、上品に座る彼女の横顔には緊張が浮かんでいた。
「清司に話があってきたそうですよ」
小声で母はそう告げた。
話とは、なんだ?
これまで、同じ年頃の女性とはあまりかかわってきていない。
街を歩けば、幾つもの視線。こちらを見て顔を赤くする人。
従姉に容姿を褒められるまで気が付かなかった。
それが嫌で、中学は告白もすべて断った。彼女らが、外側だけしか見ていないことはわかっていた。
だから、こうして、神崎凛とのかかわり方さえも分からない。どうすればいいのか、分からない。
彼女の目の前に座る。
「今日は、僕に話があっていらっしゃったと聞いたのですが」
制服のズボンで手汗を拭った。緊張で、手汗がひどい。
ようやく、彼女が口を開いた。
「その…。同じ学校だったのですね…」
「あ…。そのようですね」
彼女の意図が全く読み取れない。
「今日は…学校でのことを話しておきたいと思いまして」
「ああ、学校でのことですか」
学校でのこと、それは、婚約関係についてだろう。やっと、彼女の言いたいことがわかった。
「学校では婚約については隠しておくのですよね?」
彼女の問いに、「そうですね」と答える。
「厄介でしょう。高校生で婚約など」
彼女はほっとしたように、微笑んだ。
「そうですよね。よかったです」
彼女は立ち上がった。
「それでは、ありがとうございました」
「え?」
帰ろうとする彼女に視線を向ける。
「それだけですか?」
彼女の家はここから遠い。そのことを話すためだけに、家に来たとは思っていなかった。しかも、本題はたったの10分ほどで終わってしまった。
彼女は驚いたように固まった。
「はい…。そうですが…」
まさか。本当にそれだけだというのか。
「送ります」
外はもう暗かった。女性を一人で帰らせるわけにはいかない。
ふと、彼女のほうを見る。顔が赤い。
「ありがとうございます…」
照れたように俯き、つぶやいた。
「いえ…」
なんだかこちらも恥ずかしくなって、顔をそむけた。
彼女を送り届けてから、自分の部屋に向かう。
溜息をつき、天井を見た。
目を凝らしてみると、神崎凛だった。
突然告げられた婚約に、戸惑うしかなかった。まさか、同じ学校だったとは。
家に帰ると、思いがけず神崎凛がいた。
正座して、上品に座る彼女の横顔には緊張が浮かんでいた。
「清司に話があってきたそうですよ」
小声で母はそう告げた。
話とは、なんだ?
これまで、同じ年頃の女性とはあまりかかわってきていない。
街を歩けば、幾つもの視線。こちらを見て顔を赤くする人。
従姉に容姿を褒められるまで気が付かなかった。
それが嫌で、中学は告白もすべて断った。彼女らが、外側だけしか見ていないことはわかっていた。
だから、こうして、神崎凛とのかかわり方さえも分からない。どうすればいいのか、分からない。
彼女の目の前に座る。
「今日は、僕に話があっていらっしゃったと聞いたのですが」
制服のズボンで手汗を拭った。緊張で、手汗がひどい。
ようやく、彼女が口を開いた。
「その…。同じ学校だったのですね…」
「あ…。そのようですね」
彼女の意図が全く読み取れない。
「今日は…学校でのことを話しておきたいと思いまして」
「ああ、学校でのことですか」
学校でのこと、それは、婚約関係についてだろう。やっと、彼女の言いたいことがわかった。
「学校では婚約については隠しておくのですよね?」
彼女の問いに、「そうですね」と答える。
「厄介でしょう。高校生で婚約など」
彼女はほっとしたように、微笑んだ。
「そうですよね。よかったです」
彼女は立ち上がった。
「それでは、ありがとうございました」
「え?」
帰ろうとする彼女に視線を向ける。
「それだけですか?」
彼女の家はここから遠い。そのことを話すためだけに、家に来たとは思っていなかった。しかも、本題はたったの10分ほどで終わってしまった。
彼女は驚いたように固まった。
「はい…。そうですが…」
まさか。本当にそれだけだというのか。
「送ります」
外はもう暗かった。女性を一人で帰らせるわけにはいかない。
ふと、彼女のほうを見る。顔が赤い。
「ありがとうございます…」
照れたように俯き、つぶやいた。
「いえ…」
なんだかこちらも恥ずかしくなって、顔をそむけた。
彼女を送り届けてから、自分の部屋に向かう。
溜息をつき、天井を見た。