「なに....?女?」
ときの天皇、[漢字]追川[/漢字][ふりがな]おいかわ[/ふりがな]天皇はさっと青ざめた。民と同じく霊かと思ったのだ。
「れ、霊か......」
「お待ちくださいませ。こんな[漢字]日中[/漢字][ふりがな]ひなか[/ふりがな]に霊など出る[漢字]理由[/漢字][ふりがな]わけ[/ふりがな]がありませんでしょう」
「よ、葉子......」
追川天皇はすこしホッとしたようだった。
[漢字]葉子[/漢字][ふりがな]ようし[/ふりがな]中宮は、追川天皇の妻。追川天皇は葉子を溺愛していて、側室も一切めとらない。
「帝。わたくしめが話を致します」
「いかん。葉子になにかあれば―――」
「民のために努めるのが、中宮の役目ですので.....」
葉子はにっこり笑った。
追川天皇はすこしばかり戸惑ったが、こくりと頷いて、言った。
「任せよう」
「そなたが.....唐姫か」
「なぜ知っておられるのですか」
唐姫は、ぼろぼろの着物を引きずり、畳に座った。
「知っておる。......そなたは知らぬと思うが、そなたと我は......深い関係があるからの」
葉子はそっと、手を差し伸べる。
「宮中に住まぬか」
「え」
唐姫は目を見開く。瞳孔が大きくなったように思われた。
「日の本にきた理由を、話してくれたらな」