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―――オレ、大学サボッてんだ。。
あのときのあの学生が言った言葉に、むつはびっくりした。
―――自分は親に押し付けられるように大学に行かされてて、金の力で東大なんか行かして、でもオレの知能じゃ無理していこうとしても無理だし、それじゃ家でしかねぇなって。そう思った。
あんなしっかりしてそうな打墨さんも、大学行ってないんだ。
辛い思いしてるんだ―――。
学生の名は、[漢字]打墨茂都[/漢字][ふりがな]うつつみしげと[/ふりがな]と言う。貯金はそれなりに持っている、金持ちの子らしい。あのFamilyMartの常連客らしいのだ。
「あのファミマ、レジのあの男が人相が悪くてな。変な思いさせてすまなかったぜ」
あの暖かい言葉。なんか―――――――――。
「おい、宮羽。放課後さ...................空き地寄ってかね?」
矢次に言われた、むつ。
「ごめん。今日用事ある」
今日は打墨とカフェに行くのだ。
なんとなく。相談にのってもらうの、だから―――。
「すぐ終わるから。一人で来いよ」
空き地前だぜ〜〜、と言って去っていく矢次を、むつはなんだか怖い、と感じていた。
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「矢次。私、用事あるって言ってんだから。すぐ終わらしてよね」
そう強気のむつだったが、なぜか足が震えていた。
「宮羽。オレ....................」
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「言わないで!」
むつは大声を上げた。今度は、指まで震えている。
「なんでだよ!オレ、ずっと前から.......」
「嫌!私、そんなの.........」
そうだったら、...............。
「なんでなんだよ!友達じゃムリなんだよ!もっと、もっと...........」
「でも...........」
「でも?」
でも............................。
.......................。
友達のままでいたいから、なんて、今更言えやしない.....。
「.................」
矢次は黙りこくる。
「なんで私なの?女子からは何考えてるかわかんないって言われるし、母親にはあんたなんて産まなければよかったなんて言われるクズの私を..........」
「だって!」
矢次はいきなり大声を出した。むつはビクッとする。
「だってお前....................」
長い沈黙が続く。
「友達のまま、か?」
小さく矢次は呟く。
「............だめ?」
むつは聞き返す。
「無理にでもいっちゃだめ、か?」
矢次の声に力がこもる。
「.....................だめ」
むつはため息交じりにそう言う。
「...............................そうか」
矢次はくるりと方向を変え、足早に去っていった。
むつはなにかひとつ、失った、と感じていた。