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ブルーハワイ味

#5

学生。

「あのときの!」
むつは手で口を塞ぎ、息を止めた。あまりにもびっくりしたからだ。
「あのときの学生さん」
むつは棒読みで、そう言った。
「しっ」
学生はむつを引き寄せ、ストーカーから離れたFamilyMartの中へ入った。
チャラララララ、チャララララ♪
入店すると、頭上から楽しげな音楽が聞こえてくる。コンビニには誰もいなかった。
学生はアイスコーナーへ行き、冷凍庫からガリガリ君をつかんで、レジへ持っていった。
レジからは、学生に店員が、「毎度ありがとうございます」と声をかけているのが聞こえた。
むつはお金を持っていなかったため、アイスコーナーでpinoを見つめたまま、学生が来るのを待った。
学生は、ガリガリ君をがりがりとかじりながら、むつに無言で500円玉をわたした。
むつはえ、と小さく声を出し、学生を見つめた。学生はおでこからきらきらと光る汗を流していて、なんだか頼もしい姿だった。
「買えよ。ストーカーに追われてしんでーだろ」
「は、はぁ......」
むつは言われるがままにpinoの入ったケースを手に取り、レジへ持っていった。
レジではにこやかな店員が待っていた。
「いらっしゃいませ。ウツツミさんのお知り合いですか」
「は?」
むつは「ウツツミ」という名字か名前か分からない言葉に、首を傾げる。
「あぁ、あの学生さんのことですよ?知らなかったんですか?まさか、ウツツミさんはまだ学生だと言うのに、こんなJKにエンコーっ............」
「ちがいますぅっ!」
むつは顔を真っ赤にして言った。むつは手早くお金を支払い、「ありがとございましたッ」と吐き捨てるように店員に言うと、そそくさと学生のところへ戻った。
「あの、お釣りです」
お釣りを学生にわたそうとすると、学生は「もらっとけ」と言い、そのままFamilyMartを出ていった。
「え?」
むつは呆然と立ち尽くしたまま、学生の後ろ姿を見つめた。



[中央寄せ]🥄[/中央寄せ]


「なんだったんだろ」
その日から一週間。むつの高校は、休息期間が終わると夏祭り前以上に厳しい勉強が続いた。
高校三年の瀬見川は、大学受験に向けての勉強が始まり、むつのクラスメートである希花は、得意のピアノコンクールに向けて猛特訓をしていた。
その一方、むつは何もやることがなく暇で、大学も行かないと決めていたし、高校が終わったあとも何もしないことを決めていた。
そう、むつには何もとりえがなかったのだから。

2024/02/14 10:14

ムラサメ
ID:≫ 1.7MUzfPxODSQ
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