ミーン...........ミーン.........ミンミン―――................
蝉の声も弱々しくなってくるほどの暑さが地球を襲う、8月。
庭のベンチに座ってアイスキャンデーを食べている少女は、まっすぐに太陽を見つめていた。
「ちょっと、直接日光見ると、目をやられるよ。やめなさい!」
窓が開き、少女の母親らしき人物が、彼女に怒鳴る。
[漢字]宮羽むつ[/漢字][ふりがな]みやばむつ[/ふりがな]は、太陽からアイスキャンデーに目線を落とし、「はい」と小さく返事をした。
アイスキャンデーが水色のしずくを落とし、むつの膝に当たる。ポタ.......ポタ.......―――雨のように滴るその液体は、日光をうつして宝石のようにきらきらと輝いていた。
ポタ..............ポタ..............ポタ―――
絶え間なくむつの膝を濡らす宝石の生みの[漢字]おや[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]は、徐々に形を崩していく。
崩れてゆく―..........崩れてゆく.............―――
そして、ついに地面に崩れ落ちてしまった。
「ちょっとちょっと、キャンデー溶けちゃったじゃない!!はやく入って!膝拭いて!!」
母親の言葉に正気を取り戻したむつは、慌てて家の中に入り、タオルで膝を拭く。
顔を上げ、むつは自分の母親の顔をまじまじと見つめる。
十年前より、多くなったしわ。嫌味ではない。本当に多くなっている。顔に疲れが溜まっている感じもする。しみも多くなり、本当に老けて見える。クラスメートのお母さんたちよりは若く見えるけれど―――
「むつ!ほら、部活行かないの?今日何もやることないでしょ!行ったら」
母親の「行ったら」という言葉が、「行ったら?」と聞く意味なのか、「行ったら!」と、ほぼ強制的に押し付けるために言われたか、むつには分からなかった。
「ほら、部活じゃなくてもいいから、出かけてきな。夏祭りの手伝いでもいいから」
母親に責めるように言われて、むつは仕方なく手元のタオルとリュックサックを持って家から飛び出した。
[中央寄せ]🥄[/中央寄せ]
「わっ。むつちゃん、来てくれたの?助かるわ〜」
近所の太ったおばちゃんに言われ、むつは「は、はい」と力なく返事をする。
「今年、むつちゃんお手伝いしてくれるんだってね。上手くいきそうだわ〜」
おばちゃんの横から、大学生で顔見知りのお姉さんが、むつに声をかける。
この地域の夏祭りは、この地域出身の高校生から大学生が中心となり、開催する特殊な夏祭りである。この夏祭りは3日間続く長いものであり、夏祭り期間が終わると、高校と大学はしばらく休みとなる。先生方は、「学生たちの休息のために」と言って、この休み期間を取っているのだが、学生たちは元気いっぱい、遊園地や水族館へ遊びに行くらしい。
学生たちはめいいっぱい屋台で働く。夏祭りには老人や小さい子供、学生たちの親たちしかいかず、めったに他の地域からくる学生はいない。たまに、モノ好きな学生が、わざわざぱっとしないこの地域に長い休暇を取ってくることもあるのだが―――
。
こっそりサボろうかな、と、むつは思う。この地域出身の学生が、夏祭りの手伝いに行かないのは禁止だけれど。
「むつちゃん、これ、お願い」
むつはかき氷の屋台担当だ。屋台のおじさんに呼ばれて、むつは「はい、今行きます」と返事をする。
おじさんは、むつに「かき氷」と、太い字ででかでかと書かれている[漢字]旗[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]をわたした。
「これね、店の一番目立つとこにつけといて。頼むね」
おじさんは、そう言うと近所のおばちゃんのところに行ってしまった。
むつは、仕方なく、店に[漢字]旗[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]をかかげた。
蝉の声も弱々しくなってくるほどの暑さが地球を襲う、8月。
庭のベンチに座ってアイスキャンデーを食べている少女は、まっすぐに太陽を見つめていた。
「ちょっと、直接日光見ると、目をやられるよ。やめなさい!」
窓が開き、少女の母親らしき人物が、彼女に怒鳴る。
[漢字]宮羽むつ[/漢字][ふりがな]みやばむつ[/ふりがな]は、太陽からアイスキャンデーに目線を落とし、「はい」と小さく返事をした。
アイスキャンデーが水色のしずくを落とし、むつの膝に当たる。ポタ.......ポタ.......―――雨のように滴るその液体は、日光をうつして宝石のようにきらきらと輝いていた。
ポタ..............ポタ..............ポタ―――
絶え間なくむつの膝を濡らす宝石の生みの[漢字]おや[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]は、徐々に形を崩していく。
崩れてゆく―..........崩れてゆく.............―――
そして、ついに地面に崩れ落ちてしまった。
「ちょっとちょっと、キャンデー溶けちゃったじゃない!!はやく入って!膝拭いて!!」
母親の言葉に正気を取り戻したむつは、慌てて家の中に入り、タオルで膝を拭く。
顔を上げ、むつは自分の母親の顔をまじまじと見つめる。
十年前より、多くなったしわ。嫌味ではない。本当に多くなっている。顔に疲れが溜まっている感じもする。しみも多くなり、本当に老けて見える。クラスメートのお母さんたちよりは若く見えるけれど―――
「むつ!ほら、部活行かないの?今日何もやることないでしょ!行ったら」
母親の「行ったら」という言葉が、「行ったら?」と聞く意味なのか、「行ったら!」と、ほぼ強制的に押し付けるために言われたか、むつには分からなかった。
「ほら、部活じゃなくてもいいから、出かけてきな。夏祭りの手伝いでもいいから」
母親に責めるように言われて、むつは仕方なく手元のタオルとリュックサックを持って家から飛び出した。
[中央寄せ]🥄[/中央寄せ]
「わっ。むつちゃん、来てくれたの?助かるわ〜」
近所の太ったおばちゃんに言われ、むつは「は、はい」と力なく返事をする。
「今年、むつちゃんお手伝いしてくれるんだってね。上手くいきそうだわ〜」
おばちゃんの横から、大学生で顔見知りのお姉さんが、むつに声をかける。
この地域の夏祭りは、この地域出身の高校生から大学生が中心となり、開催する特殊な夏祭りである。この夏祭りは3日間続く長いものであり、夏祭り期間が終わると、高校と大学はしばらく休みとなる。先生方は、「学生たちの休息のために」と言って、この休み期間を取っているのだが、学生たちは元気いっぱい、遊園地や水族館へ遊びに行くらしい。
学生たちはめいいっぱい屋台で働く。夏祭りには老人や小さい子供、学生たちの親たちしかいかず、めったに他の地域からくる学生はいない。たまに、モノ好きな学生が、わざわざぱっとしないこの地域に長い休暇を取ってくることもあるのだが―――
。
こっそりサボろうかな、と、むつは思う。この地域出身の学生が、夏祭りの手伝いに行かないのは禁止だけれど。
「むつちゃん、これ、お願い」
むつはかき氷の屋台担当だ。屋台のおじさんに呼ばれて、むつは「はい、今行きます」と返事をする。
おじさんは、むつに「かき氷」と、太い字ででかでかと書かれている[漢字]旗[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]をわたした。
「これね、店の一番目立つとこにつけといて。頼むね」
おじさんは、そう言うと近所のおばちゃんのところに行ってしまった。
むつは、仕方なく、店に[漢字]旗[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]をかかげた。