バグ
#1
故障
「恋ってなんだろね。」
高校の教室。休み時間。
親友から唐突に投げられたその質問に、ポテチを口に運ぶのを一旦止めた。
どうして俺に聞くのか、というかなぜ今なのか、まず人に質問するなら本から目を離せ…と言うのは一旦置いておいて真面目に考える。
恋、恋…。恋愛、友愛、愛情…。
「…わからん。」
「だろうね。僕もわからない。」
だろうねってなんだよ。てかお前もわからないのか…。と思いつつポテチを唇で挟む。
案外美味しい。
「なんふぇいふぁなん」
「…なんて?」
「ゴホッ…なんで今なん、って。唐突すぎてびっくりした。」
そう問いかけると親友_光輝は本から少しだけ視線を離した。
うーん、とうなった後にまた本へ視線を戻す
「いや、気になって。恋…所謂恋愛って男と女で成立するものじゃん。」
「おぉん…いきなりセンシティブだな。多様性だぞ今の社会は」
冷や汗が出た。…危ないな、コイツ。
この場面が切り取られでもすれば炎上一歩手前だ。
「いやいやスタンダードはってこと。多数派はそっちじゃんってことだよ。」
「それでもだいぶ怪しいけどな…。」
光輝は時々びっくりするほど触れていいか怪しい話題に切り込むことに躊躇がなくなる。
今日はそういうモードかぁ…。と思いつつぼんやりポテチを噛み砕く。
たらこ醤油チリソースマヨ、意外といけるかもしれない。調味料多すぎてもはやたらこの存在する意味がなくなっている気がするけど。
「ポテチ食べる?」
「……。…いらない。」
最近光輝が冷たい…。
ポテチを差し出したらゴミを見る目で見られた。
ちゃんと手洗ってるし消毒もしてるのに…。
落ち込んでたら光輝がおほん、と咳払いをした。話を続けるらしい。
「…でさ、お前さっき多様性って言ってたじゃん。」
「おん。」
「それってさ、たとえば男が男を好きになっても子供は残せない。つまり繁殖ができないってことは生物としての本能に逆らってるってことだと僕は思うんだよね。」
「ちょっと何言ってるか全然わからん。」
本能?繁殖…子供を残すってことか?確かに子供を残せないのは本能に合ってなくてマズい…のか?
何がマズいのか全くわからないけどとりあえず適当に頷いておく。
「それを生命のバグと見るか、本能に逆らってまで結ばれたい禁断の愛と見るか…樹はどっち?」
「なるほどね、一ミリも理解できなかった。」
「だろうね。」
コイツさっきからちょくちょく失礼だな…。
完全に俺を舐めていることが伝わってくる。が、それがガチギレに繋がらないのはやっぱり相手が親友である光輝だから、なんだろう。
バグ、禁断の愛…。
どちらもよくわからない。よくわからないが…
「まぁ、愛じゃね」
「…どうして?」
「俺バカだからわかんねーけどよ…。禁断、とかスタンダード、とかさ。全部人間の都合というか、個人の感想によって決められてる気がすんだよな。なんというか…好きならもう、愛やん。」
「………。…。……。…ふーん。」
「何その間!?絶対納得してねーだろ!?!?」
相変わらず本から視線を離そうとしないし、納得いく答えじゃなかったら反応が薄い。
そう言うところが面白いんだけど…。
頭をガシガシと擦っていると、急に光輝が立ち上がった。
「どこ行くん。」
「図書室。………ちなみになんだけどさ。」
「ん?」
「僕は、お前のせいで故障までいってるんだよね。…じゃ、行ってくる。」
…?
言葉の意味が咄嗟に理解できなくて固まった。
…故障…?
_数秒後、意味を飲み込んだ俺はあいつを捕まえるために席を立つ。
倒れた椅子がガタン、と音を立てた。
「逃がすかよ。」
俺の網膜には、真っ赤な光輝の耳が焼きついていた。
高校の教室。休み時間。
親友から唐突に投げられたその質問に、ポテチを口に運ぶのを一旦止めた。
どうして俺に聞くのか、というかなぜ今なのか、まず人に質問するなら本から目を離せ…と言うのは一旦置いておいて真面目に考える。
恋、恋…。恋愛、友愛、愛情…。
「…わからん。」
「だろうね。僕もわからない。」
だろうねってなんだよ。てかお前もわからないのか…。と思いつつポテチを唇で挟む。
案外美味しい。
「なんふぇいふぁなん」
「…なんて?」
「ゴホッ…なんで今なん、って。唐突すぎてびっくりした。」
そう問いかけると親友_光輝は本から少しだけ視線を離した。
うーん、とうなった後にまた本へ視線を戻す
「いや、気になって。恋…所謂恋愛って男と女で成立するものじゃん。」
「おぉん…いきなりセンシティブだな。多様性だぞ今の社会は」
冷や汗が出た。…危ないな、コイツ。
この場面が切り取られでもすれば炎上一歩手前だ。
「いやいやスタンダードはってこと。多数派はそっちじゃんってことだよ。」
「それでもだいぶ怪しいけどな…。」
光輝は時々びっくりするほど触れていいか怪しい話題に切り込むことに躊躇がなくなる。
今日はそういうモードかぁ…。と思いつつぼんやりポテチを噛み砕く。
たらこ醤油チリソースマヨ、意外といけるかもしれない。調味料多すぎてもはやたらこの存在する意味がなくなっている気がするけど。
「ポテチ食べる?」
「……。…いらない。」
最近光輝が冷たい…。
ポテチを差し出したらゴミを見る目で見られた。
ちゃんと手洗ってるし消毒もしてるのに…。
落ち込んでたら光輝がおほん、と咳払いをした。話を続けるらしい。
「…でさ、お前さっき多様性って言ってたじゃん。」
「おん。」
「それってさ、たとえば男が男を好きになっても子供は残せない。つまり繁殖ができないってことは生物としての本能に逆らってるってことだと僕は思うんだよね。」
「ちょっと何言ってるか全然わからん。」
本能?繁殖…子供を残すってことか?確かに子供を残せないのは本能に合ってなくてマズい…のか?
何がマズいのか全くわからないけどとりあえず適当に頷いておく。
「それを生命のバグと見るか、本能に逆らってまで結ばれたい禁断の愛と見るか…樹はどっち?」
「なるほどね、一ミリも理解できなかった。」
「だろうね。」
コイツさっきからちょくちょく失礼だな…。
完全に俺を舐めていることが伝わってくる。が、それがガチギレに繋がらないのはやっぱり相手が親友である光輝だから、なんだろう。
バグ、禁断の愛…。
どちらもよくわからない。よくわからないが…
「まぁ、愛じゃね」
「…どうして?」
「俺バカだからわかんねーけどよ…。禁断、とかスタンダード、とかさ。全部人間の都合というか、個人の感想によって決められてる気がすんだよな。なんというか…好きならもう、愛やん。」
「………。…。……。…ふーん。」
「何その間!?絶対納得してねーだろ!?!?」
相変わらず本から視線を離そうとしないし、納得いく答えじゃなかったら反応が薄い。
そう言うところが面白いんだけど…。
頭をガシガシと擦っていると、急に光輝が立ち上がった。
「どこ行くん。」
「図書室。………ちなみになんだけどさ。」
「ん?」
「僕は、お前のせいで故障までいってるんだよね。…じゃ、行ってくる。」
…?
言葉の意味が咄嗟に理解できなくて固まった。
…故障…?
_数秒後、意味を飲み込んだ俺はあいつを捕まえるために席を立つ。
倒れた椅子がガタン、と音を立てた。
「逃がすかよ。」
俺の網膜には、真っ赤な光輝の耳が焼きついていた。