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一部流血表現やその他不快になる描写があるかも知れません。それを承知の上読んでいただけると幸いです。
「皆さんこんにちは。飛び級の人は初めましてですね、魔学実技担当のレッティナです。この四組の担任をさせていただきます」
「先生、今年は飛び級が何人いるんですか?」
一人の女子が手を挙げてそう言った。五回生まで飛び級をする人は中々いないので、私も気になっていたところなのだ。勿論私は飛び級済みだが。
「今年は、一、二、……五人がこのクラスに、そして全体を合わせて二十二人が飛び級合格しました。ではこの機会にその五人だけ自己紹介をしてもらいましょうか」
まずい、自己紹介は身近すぎて想定外だった。今すぐグリニアの設定を作り上げなければ。
「では出席番号三番のロイエードから。どうぞ」
「はい。ギルティルド国出身のレイフィス・ロイエードです。僕はあまり実技は得意では無いですが、勉強面なら任せてくださいっ!」
初めに自己紹介したのは濃い青紫の髪に金眼の十三歳程度の少年だった。なんとも言えない可愛さと初々しさが漂って、レッティナが少し頬を赤らめている。なるほど、レッティナはそういう…。
「でっ、では七番のヘスティスタ、どうぞ!」
少しの間のぼせた方の顔をしていたレッティナがハッと正気に戻り、ヘスティスタの名を呼んだ。
「はい、ランティルデ・ヘスティスタです。二組に双子の姉のレッティルダがいます。レッティナ先生と名前は似ていますが別人ですよ。私は歴史学が得意だと自負していますし、そのほかの教科も網羅していますから座学では頼ってください」
ランティルデという名前もヘスティスタという名字も聞いたことがある。確かヒュリニオンの公爵家の令嬢で、完全無欠なお嬢様だったと思う。雰囲気から近寄りがたい。
「ここでは無礼講ですから、私のような貴族にもあまり難しく考えず話しかけてくださると嬉しいです」
言葉の端々から漏れ出る貴族感。艶のあり過ぎる赤い髪。既に何人かの男達を虜にしているようで、伸ばした鼻がいくつか視界の端に入っている。
「では十三番のウィアヴィート」
「はい、ユイティレ・ウィアヴィートです。ユイティって呼んでね。私は座学も得意だけれど実技はもぉっと得意だから、そういうことは任せてよ! 夢はヴァイシア王女の近衞騎士です!」
ユイティレは溌剌とした思春期の女の子、というイメージだ。明るい茶髪が彼女の性格を表しているようにも見える。ウィアヴィートも聞いたことがある。確か西の大国ライディエイトの優秀な近衞騎士を輩出する家系だ。ヴァイシア王女は聡明なことで有名で民衆からの支持も高い第二王女だ。最近、ライディエイトでは第一王女を排除する運動が始まって治安があまり良くないようだが。
「十五番のロズ……ゼィスティ、どうぞ」
「…あっ、はい! 私はラズタルキア出身のグリニア・ゼィスティです。座学というより薬学が得意です。というか、覚えるのが得意なのでランティルデ様の仰った歴史も得意だと自負しています」
レッティナが私の本名の名字…ロズディルと言いかけたのをギリギリ止めた。危な過ぎる。私のことを知っていそうな人や元知り合い、友達が数人いるのでできればゼィスティ呼びは慣れて欲しい。でも、私もゼィスティと呼ばれることに慣れていなかったようで少し経ってからゼィスティが私の名字であることに気がついた。
「最後、二十番のヴェンダント、どうぞ」
「あぁ。私はレイディド・ヴェンダントだ。ルテイフィラス出身で、私は主に体術を得意とする。勿論座学も出来るがな」
レイディドはガタイのいい体にそぐわない優しい成人男性のような声で、フッと笑った顔もどこか優しかった。心底荒れた貴族出身の棋士ではないかと思っていたほんの少し前の自分を呪いたい。
「あぁ、良かった…」
一人の女子がそう呟いた。きっと彼女も私と同じように考えているのだろう。というか、彼女もランティルデ嬢似の美人だ。
「私は見た目で恐れられる事がよくあるが、別に其方らに危害を加えたりすることはないので安心してくれ」
「あ、そうですね…では、自己紹介も終わったところですしまず制服を配布しますね。更衣室で着替えて来てください」
レッティナも少し怖かったらしい。というか、この学院には謎の慣習がある。そう、学年が変わるごとに制服が変わるのだ。何のために変えているのかと問いかけてもアヴュリィダは答えてくれず釈然としなかったが。
「五回生の制服は…やはり黒と白が基調で、そこに刺繍など装飾がされています。今年の五回生は女性が百合の花、男性は植物の蔓があしらわれています。更衣室は廊下を出て右に真っ直ぐ、突き当たりです」
「せ、先生…その、僕…いえ、慣れているのですが…」
着替え終わり更衣室から出て教室で待っていると、そこに居たのは女性用の制服を着たレイフィスだった。顔を真っ赤にして震えている。…でも、似合っている。
「あっ、申し訳ありません。発注ミスで…ですが、発注の期限はかなり前に切れていて…」
レッティナも涙目で謝っている。だがどうしようも無いようだしレイフィス涙目ながら割り切っているので良いだろう。
「ねぇ、ちょっと貴女…グリニアでしたっけ」
「はひっ、ランティルデ様!?」
急にランティルデに話しかけられて思わず縮み上がってしまった。…ランティルデはランティルデで何とも言えない色気が。
「その、わたくし似合っていますか?このような服を着るのは初めてで…貴女はとてもよく似合っていると思うのですが」
「ランティルデ様は何を着てもお似合いだと思います。それに、よく着こなせています」
きっとランティルデは更衣室ではなく側近に着替えさせてもらったのだろう。私よりキチっと着こなしている。それに、控えめの淡いピンクの百合の刺繍が赤い髪を引き立たせている。
「なら良かった…では、また後でお話ししましょうね。授業が始まりますから」
そうランティルデはサラリと会話の予約をして去っていった。
「先生、今年は飛び級が何人いるんですか?」
一人の女子が手を挙げてそう言った。五回生まで飛び級をする人は中々いないので、私も気になっていたところなのだ。勿論私は飛び級済みだが。
「今年は、一、二、……五人がこのクラスに、そして全体を合わせて二十二人が飛び級合格しました。ではこの機会にその五人だけ自己紹介をしてもらいましょうか」
まずい、自己紹介は身近すぎて想定外だった。今すぐグリニアの設定を作り上げなければ。
「では出席番号三番のロイエードから。どうぞ」
「はい。ギルティルド国出身のレイフィス・ロイエードです。僕はあまり実技は得意では無いですが、勉強面なら任せてくださいっ!」
初めに自己紹介したのは濃い青紫の髪に金眼の十三歳程度の少年だった。なんとも言えない可愛さと初々しさが漂って、レッティナが少し頬を赤らめている。なるほど、レッティナはそういう…。
「でっ、では七番のヘスティスタ、どうぞ!」
少しの間のぼせた方の顔をしていたレッティナがハッと正気に戻り、ヘスティスタの名を呼んだ。
「はい、ランティルデ・ヘスティスタです。二組に双子の姉のレッティルダがいます。レッティナ先生と名前は似ていますが別人ですよ。私は歴史学が得意だと自負していますし、そのほかの教科も網羅していますから座学では頼ってください」
ランティルデという名前もヘスティスタという名字も聞いたことがある。確かヒュリニオンの公爵家の令嬢で、完全無欠なお嬢様だったと思う。雰囲気から近寄りがたい。
「ここでは無礼講ですから、私のような貴族にもあまり難しく考えず話しかけてくださると嬉しいです」
言葉の端々から漏れ出る貴族感。艶のあり過ぎる赤い髪。既に何人かの男達を虜にしているようで、伸ばした鼻がいくつか視界の端に入っている。
「では十三番のウィアヴィート」
「はい、ユイティレ・ウィアヴィートです。ユイティって呼んでね。私は座学も得意だけれど実技はもぉっと得意だから、そういうことは任せてよ! 夢はヴァイシア王女の近衞騎士です!」
ユイティレは溌剌とした思春期の女の子、というイメージだ。明るい茶髪が彼女の性格を表しているようにも見える。ウィアヴィートも聞いたことがある。確か西の大国ライディエイトの優秀な近衞騎士を輩出する家系だ。ヴァイシア王女は聡明なことで有名で民衆からの支持も高い第二王女だ。最近、ライディエイトでは第一王女を排除する運動が始まって治安があまり良くないようだが。
「十五番のロズ……ゼィスティ、どうぞ」
「…あっ、はい! 私はラズタルキア出身のグリニア・ゼィスティです。座学というより薬学が得意です。というか、覚えるのが得意なのでランティルデ様の仰った歴史も得意だと自負しています」
レッティナが私の本名の名字…ロズディルと言いかけたのをギリギリ止めた。危な過ぎる。私のことを知っていそうな人や元知り合い、友達が数人いるのでできればゼィスティ呼びは慣れて欲しい。でも、私もゼィスティと呼ばれることに慣れていなかったようで少し経ってからゼィスティが私の名字であることに気がついた。
「最後、二十番のヴェンダント、どうぞ」
「あぁ。私はレイディド・ヴェンダントだ。ルテイフィラス出身で、私は主に体術を得意とする。勿論座学も出来るがな」
レイディドはガタイのいい体にそぐわない優しい成人男性のような声で、フッと笑った顔もどこか優しかった。心底荒れた貴族出身の棋士ではないかと思っていたほんの少し前の自分を呪いたい。
「あぁ、良かった…」
一人の女子がそう呟いた。きっと彼女も私と同じように考えているのだろう。というか、彼女もランティルデ嬢似の美人だ。
「私は見た目で恐れられる事がよくあるが、別に其方らに危害を加えたりすることはないので安心してくれ」
「あ、そうですね…では、自己紹介も終わったところですしまず制服を配布しますね。更衣室で着替えて来てください」
レッティナも少し怖かったらしい。というか、この学院には謎の慣習がある。そう、学年が変わるごとに制服が変わるのだ。何のために変えているのかと問いかけてもアヴュリィダは答えてくれず釈然としなかったが。
「五回生の制服は…やはり黒と白が基調で、そこに刺繍など装飾がされています。今年の五回生は女性が百合の花、男性は植物の蔓があしらわれています。更衣室は廊下を出て右に真っ直ぐ、突き当たりです」
「せ、先生…その、僕…いえ、慣れているのですが…」
着替え終わり更衣室から出て教室で待っていると、そこに居たのは女性用の制服を着たレイフィスだった。顔を真っ赤にして震えている。…でも、似合っている。
「あっ、申し訳ありません。発注ミスで…ですが、発注の期限はかなり前に切れていて…」
レッティナも涙目で謝っている。だがどうしようも無いようだしレイフィス涙目ながら割り切っているので良いだろう。
「ねぇ、ちょっと貴女…グリニアでしたっけ」
「はひっ、ランティルデ様!?」
急にランティルデに話しかけられて思わず縮み上がってしまった。…ランティルデはランティルデで何とも言えない色気が。
「その、わたくし似合っていますか?このような服を着るのは初めてで…貴女はとてもよく似合っていると思うのですが」
「ランティルデ様は何を着てもお似合いだと思います。それに、よく着こなせています」
きっとランティルデは更衣室ではなく側近に着替えさせてもらったのだろう。私よりキチっと着こなしている。それに、控えめの淡いピンクの百合の刺繍が赤い髪を引き立たせている。
「なら良かった…では、また後でお話ししましょうね。授業が始まりますから」
そうランティルデはサラリと会話の予約をして去っていった。