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それは魔術の煌めき

#7

学院へ行くために(中編:フィレデリア視点)

「では、グリニア。どうぞ」

 名前を呼ばれて部屋に入る。ノックは三回、扉を閉める時は丁寧に。そして咳払いのフリをして変声の魔術をかけ、万全な状態で前を見た。そこにいたのは、校長のアヴュリィダ。自称永遠の二十二歳の三百歳のエルフだ。

「【遮断・範囲指定:半径三.五メートル】」

 アヴュリィダの声が部屋に響き、薄緑の半球の結界が部屋を覆った。

「久しぶりだね、フィレデリア。三年ぶり?」
「流石アヴュリィダ先生ですね。もう少し持つと思っていたのですが」
「バレバレだよ。魔術の使い方、癖、髪の跳ね方。どれを取ってもフィレデリアとだけは一致してしまうんだよ。さぁ、答え合わせだ。変化を解きなさい」
「【解除】…あの、先生。私、どうしても学院に入らなければ…」
「分かっているよ。『刻守り』を継承したんでしょ。フュレイヴが死んでしまったことは[漢字]風の噂で[/漢字][ふりがな][明朝体]風の精霊達に[/明朝体][/ふりがな]聞いたから」
「そうですか…それで、私にも弟子ができたのです。だから、ここへ入学させたいんです」
「うん。その子がこの学院へ入る資格を持つなら、私としては大歓迎だ。でも、一つ条件がある」
「条件、ですか?」
「あぁ。今から君が私と面接官をしてくれないか? 幸いにも、次の受験生が来るまでは時間があるのでね」


「えへへ、失礼しましゅ! [小文字]あっしまった、噛んじゃった[/小文字]」

 初めに入ってきたのは、試験の休憩時間にジュリエナと話していた女の子…イディシアだった。扉を無造作に閉め、勧められるまでもなく椅子に座る。そして目を合わせた瞬間、酷い威圧感に押し潰されそうになった。チラリとアヴュリィダの方を見ると、彼女は私以上に顔を真っ青にしていた。

「えっと、自己紹介? が先なんだっけ。私はイディシア。三回生へ飛び級志望の十一歳です。」
「ではイディシア。君にいくつか質問をしよう。【遮断・範囲指定:半径三.五メートル】…はぁ、試験管は目が節穴だったのだな。さぁ、話をしようか。天の厄災が[漢字]一柱[/漢字][ふりがな][明朝体]ヒトリ[/明朝体][/ふりがな]、【暴食のイグェーリシャ】」
「あっ、分かっちゃったんだ。じゃあ、隠す必要もないんだね」

 そうイディシアが言った途端、彼女の背中から大きな黒い翼が生え、目が金色に変わり、ギラリと光った。

「ここに来ればたくさん食べられるでしょ? ”厄災“のみんなは手強くて中々魔力も食べさせてくれないんだもの。人類はたくさんいるんだから、ちょっとつまみ食いしてもバレな“かった”し」
「今ここでお前が帰らなければ、直ちに排除する」

 アヴュリィダは即座にエメラルドのついた杖を取って構えた。私も同じように構えようとしたのだが。

「フィレデリア、今ここには濃密度の魔力が充満している。魔力は軽くて上に溜まるから、碌に対策のしていない君が今立ち上がれば即死だ」

 私はグッと歯を食いしばってイグェーリシャを睨んだ。「わぁ、人間如きが反抗なんて図々しい」、と明るい笑顔で無邪気に言うので、余計腹が立ってくる。

「フィレデリア。君は他の受験生の面接を頼むから、私はコイツを排除してくる。フュレイヴが命を賭した結界なのに、穴があるだなんて…」
「了解しました。なるべく被害は出さないようにしてくださいね」
「分かっている。【展開魔術:異軸転移】」

 アヴュリィダは私に面接を任せ、自分とイグェーリシャを別空間へ転移して行った。私は自分の覚える限りの質問をし、アヴュリィダがするであろう答えを探して何とかやり過ごすことが出来た。ジュリエナにも勘付かれなかったし、資料にまとめて後から判断できるようにしておいたので上出来だったと思う。

「校長先生。面接は終わ…フィレデリア!?」

 面接後に入ってきた教師…私の元担任・セリティアにかなり驚かれたのだが、彼女の『状況が飲み込めない』と言う表情は敢えて無視して説明をした。何とか理解はしてくれた…しかし納得はしてくれなかったが、セリティアは飲み込んでくれた。

「まさか、天の厄災の[漢字]二柱目[/漢字][ふりがな][明朝体]フタリメ[/明朝体][/ふりがな]がこの地に降り立つなんてこと…貴女はずっとそうですが、学院に厄介ごとを土産がわりに持ってくるのはやめて下さい」
「でも、少し安堵したような表情をしているように見えますよ、私には。それに、先生も連日の入試と魔術の行使で身体が持っていないようです。もう少し休んでくださいね」

 それからもう暫く二人で会話していると、二人が転移先から戻ってきた。どちらが勝ったのかは…また、次のお話で。

作者メッセージ

戦闘と、この後のやり取りまで入れると3000字くらいになるかもなと思って、思い切って中編・後編でカットしました。かなり字数も一緒に削れましたが…。次話はアヴュリィダ視点の本っっっ当の戦闘メインのお話になります。面接の様子などは「眠屋の短編図書館」に入れておきます。最近風邪がひどいです。では!(^^)/(1771文字だァ)

2026/02/18 07:20

眠屋 叶
ID:≫ 11GsR4EM2gvPY
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暴力表現魔術ハイファンタジー

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