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一部流血表現やその他不快になる描写があるかも知れません。それを承知の上読んでいただけると幸いです。
「【[漢字]死滅への誘惑[/漢字][ふりがな][明朝体]ラディエダ・リヴィデ[/明朝体][/ふりがな]】! 死んじゃえ!」
女の大剣を弾き飛ばしたヴィルディが技の名前を叫んだ瞬間。真っ暗闇に私と女が放り出された。
「あら、貴女も巻き込まれちゃったのね。可哀想に…フフ、なら殺しておくべきね」
女が私に大剣を振り翳した。間一髪で避けることができたが、次はもうないと悟って血の気が引いていく。
「ヴィル…ィ、ジュ…エナも…きこん…は…て!」
よく聞き取れなかったけれどフィレデリアの籠った声が全方位に響き渡り、私は何かに弾き飛ばされる様にしてまたフィレデリア達のいる場所に戻った。
「ヴィルディ! 【[漢字]死滅への誘惑[/漢字][ふりがな][明朝体]ラディエダ・リヴィデ[/明朝体][/ふりがな]を使うときは周囲をよく見てって、私何回言ったかな!」
「ごめんルドゥイ。でもその、ジュリエナは存在感が薄くてつい…」
どうやら私はヴィルディの技に巻き込まれたらしい。にしても『存在感が薄い』は酷いと思うのだが…。
「お姉ちゃん、さっきの魔術は一体…」
「百発百中のボクの中での最強魔術…のうちの一つ、【[漢字]死滅への誘惑[/漢字][ふりがな][明朝体]ラディエダ・リヴィデ[/明朝体][/ふりがな]】だよ。結界の中に対象を閉じ込めて、『誰かを殺したい』と思わせるんだ。その『誰か』は自分にも向くんだけれど…初めは君に向いたみたい。ジュリエナは大丈夫だった?」
「うん。というか、あの女の人が怖くてそれどころじゃ無かったの」
「大丈夫。今はもう自分の首を切り落として死んでいると思うから」
「死ん…じゃったの?」
私にとって「死」は身近なものでは無かった。だから、どれだけ私達を狙っていて怖いと思っていた存在も、死んでしまうのは怖い。女に大剣で真っ二つにされかけた時の様に、すぅっと血の気が引いていく。
「ジュリエナ、ごめんね…でも、人の死にも少しずつ慣れていかなきゃいけないわ。刻守りを貴女に継承する時、私は死んでしまうし、五感が消えかけたときは自死するつもりだから」
「えっ、そんな…お姉ちゃん…」
「ルドゥイになるって事は、そういう意味なんだよ。だからフィレデリアは君を連れていくことを躊躇ったんだ」
フィレデリアは私が思っていたよりずっと重いものを背負っていたんだと、今になってやっと自覚してしまった。その時、自覚しなかった方が…フィレデリアについて行かなかった方が幸せだったんじゃないかとふと思ってしまったのは、ここだけの秘密。
「…取り敢えず、行こう。ヒュリニオンまでは距離があるけれど、祠まではあと少しだから」
と、その時。ヴィルディの結界がパリンと音を立てて割れ、中から出てきたのは女の死体…ではなく、紫色の煙だった。これも分身だったらしい。
「私は死んでいないわよ?」
耳元で女にそう囁かれた気がして、ビクンッと身体が震えた。
「着いたわよ、ジュリエナ。じゃあ、早速入ってくれるかしら」
そうして半日ほど歩き、着いたのは白い小さな建物だった。柱には蔓が巻き付いていて壁には蔦も張り付いているのに、つい最近建てられた様に真っ白だった。
「扉、無いけど…?」
「壁に触れるだけで大丈夫よ。あっ、でも触れるのは気持ち悪いかしら。【[漢字]刃剣[/漢字][ふりがな][明朝体]ファルクリア[/明朝体][/ふりがな]】」
フィレデリアが魔術で出したナイフで壁に纏わり付いた蔦だけを切り取り、私に壁に触れる様に促した。恐る恐る触れると、刹那の間暗闇に包まれ、視界が開けたときはただただ白いだけの対照的な空間に居た。
「あら、こんにちはお客さん」
声がしたのは背後からだった。振り向くと目に悪いショッキングピンクの髪色の女が居た。
「私の名前はチュリーネ。天の厄災の一人よ。」
「て、天の厄災…!? って、結界で隔てている向こう側の、しかも人類の敵って…」
「私は別枠ね。貴女達に危害は加えないし、成長させてあげているのだから感謝されるべきだと思うわ」
「はぁ、確かに…」
どうやらチュリーネが私を成長させるらしい。さて、一体何歳くらいにまで引き上げられるのか…。
「えーっと、外にいるフィレデリアによると四歳の引き上げね。かなり痛いんじゃないかしら」
痛いなんて聞いてないよ! という私の心の叫びを無視してチュリーネは淡々と準備を進めていく。腰に下げていたインクと羽ペンで地面に魔術陣を刻んだりどこからか呼び出した本を読んだり。
「準備、できたわよ」
「いやあぁぁっ!」
「変な声で叫ばないでちょうだい! いいからここへ座って!」
チュリーネは【拘束】と唱えて私を動けないようにし、魔法陣に座らせた。その瞬間、身を貫く様な激痛が全身を走った。そして特に関節が外れそうなほど痛い。服は予めフィレデリアが大きめの服を着せてくれたので、裂ける事はなかった。
「刻守りね…ライニアも通った道だから頑張ってちょうだいね」
__そうして体感だと五、六時間経った頃、ようやく痛みが引いて来た。
「う…あ、ちょっと声低くなった…?」
「初めの感想がそれ? 立ってみて身長がどうとか、歩きづらいとか、そういうのを初めに言うべきだと思うのだけれど」
「まぁ確かに立ち上がりづら…うわっ!」
体にかかる重力が違う。フラッと倒れた先には地面で、支えるものはない。チュリーネも支えてくれる訳ではなかった。そのまま地面へ倒れ込む…と思った瞬間、床をすり抜けて祠の前の戻ったとかと思うと、やはり倒れ込むのは避けられなかった様で草の生い茂った地面へと思い切り倒れた。
「あ、ジュリエナじゃん。おかえり。大きくなったねぇ…って、熱っ!」
倒れた私に手を振ったのは、焚き火で魚を焼いていたフィレデリアと、それに触って火傷したヴィルディだった。
女の大剣を弾き飛ばしたヴィルディが技の名前を叫んだ瞬間。真っ暗闇に私と女が放り出された。
「あら、貴女も巻き込まれちゃったのね。可哀想に…フフ、なら殺しておくべきね」
女が私に大剣を振り翳した。間一髪で避けることができたが、次はもうないと悟って血の気が引いていく。
「ヴィル…ィ、ジュ…エナも…きこん…は…て!」
よく聞き取れなかったけれどフィレデリアの籠った声が全方位に響き渡り、私は何かに弾き飛ばされる様にしてまたフィレデリア達のいる場所に戻った。
「ヴィルディ! 【[漢字]死滅への誘惑[/漢字][ふりがな][明朝体]ラディエダ・リヴィデ[/明朝体][/ふりがな]を使うときは周囲をよく見てって、私何回言ったかな!」
「ごめんルドゥイ。でもその、ジュリエナは存在感が薄くてつい…」
どうやら私はヴィルディの技に巻き込まれたらしい。にしても『存在感が薄い』は酷いと思うのだが…。
「お姉ちゃん、さっきの魔術は一体…」
「百発百中のボクの中での最強魔術…のうちの一つ、【[漢字]死滅への誘惑[/漢字][ふりがな][明朝体]ラディエダ・リヴィデ[/明朝体][/ふりがな]】だよ。結界の中に対象を閉じ込めて、『誰かを殺したい』と思わせるんだ。その『誰か』は自分にも向くんだけれど…初めは君に向いたみたい。ジュリエナは大丈夫だった?」
「うん。というか、あの女の人が怖くてそれどころじゃ無かったの」
「大丈夫。今はもう自分の首を切り落として死んでいると思うから」
「死ん…じゃったの?」
私にとって「死」は身近なものでは無かった。だから、どれだけ私達を狙っていて怖いと思っていた存在も、死んでしまうのは怖い。女に大剣で真っ二つにされかけた時の様に、すぅっと血の気が引いていく。
「ジュリエナ、ごめんね…でも、人の死にも少しずつ慣れていかなきゃいけないわ。刻守りを貴女に継承する時、私は死んでしまうし、五感が消えかけたときは自死するつもりだから」
「えっ、そんな…お姉ちゃん…」
「ルドゥイになるって事は、そういう意味なんだよ。だからフィレデリアは君を連れていくことを躊躇ったんだ」
フィレデリアは私が思っていたよりずっと重いものを背負っていたんだと、今になってやっと自覚してしまった。その時、自覚しなかった方が…フィレデリアについて行かなかった方が幸せだったんじゃないかとふと思ってしまったのは、ここだけの秘密。
「…取り敢えず、行こう。ヒュリニオンまでは距離があるけれど、祠まではあと少しだから」
と、その時。ヴィルディの結界がパリンと音を立てて割れ、中から出てきたのは女の死体…ではなく、紫色の煙だった。これも分身だったらしい。
「私は死んでいないわよ?」
耳元で女にそう囁かれた気がして、ビクンッと身体が震えた。
「着いたわよ、ジュリエナ。じゃあ、早速入ってくれるかしら」
そうして半日ほど歩き、着いたのは白い小さな建物だった。柱には蔓が巻き付いていて壁には蔦も張り付いているのに、つい最近建てられた様に真っ白だった。
「扉、無いけど…?」
「壁に触れるだけで大丈夫よ。あっ、でも触れるのは気持ち悪いかしら。【[漢字]刃剣[/漢字][ふりがな][明朝体]ファルクリア[/明朝体][/ふりがな]】」
フィレデリアが魔術で出したナイフで壁に纏わり付いた蔦だけを切り取り、私に壁に触れる様に促した。恐る恐る触れると、刹那の間暗闇に包まれ、視界が開けたときはただただ白いだけの対照的な空間に居た。
「あら、こんにちはお客さん」
声がしたのは背後からだった。振り向くと目に悪いショッキングピンクの髪色の女が居た。
「私の名前はチュリーネ。天の厄災の一人よ。」
「て、天の厄災…!? って、結界で隔てている向こう側の、しかも人類の敵って…」
「私は別枠ね。貴女達に危害は加えないし、成長させてあげているのだから感謝されるべきだと思うわ」
「はぁ、確かに…」
どうやらチュリーネが私を成長させるらしい。さて、一体何歳くらいにまで引き上げられるのか…。
「えーっと、外にいるフィレデリアによると四歳の引き上げね。かなり痛いんじゃないかしら」
痛いなんて聞いてないよ! という私の心の叫びを無視してチュリーネは淡々と準備を進めていく。腰に下げていたインクと羽ペンで地面に魔術陣を刻んだりどこからか呼び出した本を読んだり。
「準備、できたわよ」
「いやあぁぁっ!」
「変な声で叫ばないでちょうだい! いいからここへ座って!」
チュリーネは【拘束】と唱えて私を動けないようにし、魔法陣に座らせた。その瞬間、身を貫く様な激痛が全身を走った。そして特に関節が外れそうなほど痛い。服は予めフィレデリアが大きめの服を着せてくれたので、裂ける事はなかった。
「刻守りね…ライニアも通った道だから頑張ってちょうだいね」
__そうして体感だと五、六時間経った頃、ようやく痛みが引いて来た。
「う…あ、ちょっと声低くなった…?」
「初めの感想がそれ? 立ってみて身長がどうとか、歩きづらいとか、そういうのを初めに言うべきだと思うのだけれど」
「まぁ確かに立ち上がりづら…うわっ!」
体にかかる重力が違う。フラッと倒れた先には地面で、支えるものはない。チュリーネも支えてくれる訳ではなかった。そのまま地面へ倒れ込む…と思った瞬間、床をすり抜けて祠の前の戻ったとかと思うと、やはり倒れ込むのは避けられなかった様で草の生い茂った地面へと思い切り倒れた。
「あ、ジュリエナじゃん。おかえり。大きくなったねぇ…って、熱っ!」
倒れた私に手を振ったのは、焚き火で魚を焼いていたフィレデリアと、それに触って火傷したヴィルディだった。