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幸せの数え方

部活終わりの夕焼けを、美しいと思う。

友達とくだらないことで馬鹿みたいに騒いで、笑って。自転車を押す帰り道、ふと顔を見上げて、夕焼けの眩しさに目を細めるのだ。

隣には、同じように「綺麗だねえ」と呟く友達がいる。同じ夕暮れを見て、同じように綺麗だと感じる大切な人が、隣にはいる。

そんななんでもないことが、たまらなく愛おしく思える。





雨上がりの葉に乗る雫を、美しいと思う。

雨上がりの朝、葉の上で煌めく雨粒が目に入る。目に映る空は快晴で、あてもなくいい日になりそうだな、なんて思う。ペダルを踏み込んで、一緒に登校する友達のもとへ走っていく。

髪を揺らす風はどこまでも私に味方をしてくれて、このままどこまででも行けるような、そんな気がしてしまう。

そんな朝に、小さな幸せを感じるのだ。





ひとり、音楽に身を委ねる夜を、美しいと思う。

ちょっとだけ落ち込むことがあった日。眠れない夜のプレイリストを流して、そっと目を閉じる。
大好きな音と揺蕩って、ぬくもりと微睡む。

ああ、このままこの夜が続けばいいのに。そんな憂鬱さえも、もやもやも、なんだか愛おしい痛みに思える。

ひとりきりの夜、孤独も寂しさも埋まらない心も、全部、抱きしめる。





大切な友達との時間を、美しいと思う。

ふたりで好きなものの話をして、どうでもいい最近あったことの話を交わす。楽しそうな表情に、少し嬉しくなる。

日が暮れてきた頃に、ふたりで帰る。月が綺麗だね。そんなことを言う友達に、からかってやろうともしかしてそういう意味?と冗談交じりで聞いてみると、冷めた表情で違うんだけど、と返される。冷たいなあ、と私は笑った。

分かれ道でまたね、を交わして、君が機嫌がいいときによく歌っている曲の鼻歌を、私も歌ってみる。

大切な人が隣にいてくれることの幸せを、ちょっとだけ噛み締めてみる。





大切な家族との時間を、美しいと思う。

私の両親は、誰よりもなによりも尊敬できる人だと、私は思っている。たくさんの愛を注いでくれた、世界で一番敬愛する両親を、誇りに思う。

何気ない学校であったことも、同級生の愚痴も、どんなにくだらないことだって、笑ったり、時には真剣に聞いてくれる。寂しい日にはぎゅっと抱きしめてくれる。

そんなかげかえのない家族のことが、私は大好きだ。





余裕がなくなってギリギリになって、叫びだしたくなる日がある。なにもかも投げ出したくなる日がある。全部最初からやり直したい、なんてことを口にする日だってある。

でも、それでも。私は、私の生きるこの日々を、世界を、たまらなく愛おしく思っている。

そう思う心だけは、なにがあっても絶対に、私の片隅にあってほしいと思う。

美しさも愛おしさも、全部忘れてしまったら、私は私じゃなくなってしまうと思うから。

私の生きる世界を、日々を生きる自分のことを、愛していたいから。


だから私は、今日を諦めない。立ち止まっても、うずくまって歩けなくなったとしても。でも、絶対に「私」を諦めることはしたくない、と思うのだ。

世界の美しさを、優しさを、ぎゅっと抱きしめる。
そんな日々が、ずっとずっと、続きますように。

私は今日も、この美しい世界を生きる。

作者メッセージ

誕生日(10月)に書いた詩のようなものです。いつだって小さな幸せを感じ取れる人でいたいよねって話です。
前回の投稿から大分日が空いてしまいました、すみません…。

少しでもあたたかい気持ちをおすそわけできたならいいな。読んでくださりありがとうございました。

2024/12/17 22:23

みはなだ
ID:≫ 6poo9CdRzTceg
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