「あれは、神の怒りの日。」
忘れねぇよとヤンマは遠くを見ながら語る。
その目は普段のように爛々と輝いておらず、どこか暗く、喪失感さえも感じられた。
「あの頃の俺は贅沢モンだった。
飯にもある程度は困らなかったし、家族だって、いた。」
姉ちゃんがな。
ヤンマはそう切り出し、話し始めた。
[水平線]
「ただいま、ヤンマ!」
ヤンマの家は、王になるまでずっとテントだ。
スラム民だからしょうがないと言えばしょうがないが、意外とその生活に愛着があったりする。
「姉ちゃん!遅いよ〜!」
ヤンマ、この時おおよそ8〜9歳。
スラム街で姉と二人で暮らしていた。
「ごめんごめん。仕事に手間取っちゃってさ。ほい、今日のご飯。」
「ありがと〜!!!」
姉の名はアオハ。スラム街を出て都市に出稼ぎに行くことで生計を立てていた。
しかし、このときのンコソパは(今も大概ではあるが)治安があまりよろしくない。
スラム街民にとってのまともな職種は安い給料でのバイト。
それより高い給料を求めるならばシュゴッダムに傭兵に行くぐらいしかなかった。
「姉ちゃん、怪我してねぇの?」
「大丈夫だって!私の喧嘩の強さ、わかってるでしょ。」
そんな中アオハは、喧嘩屋という新たな仕事を始めた。
要するに闇のボディガードの類である。
これがまたアオハの喧嘩の強さもあってか人気となり、食べるのには苦労せずにすんでいる。
「姉ちゃん、俺もそろそろ出る?
人手足りてねぇだろ?」
「いいよ。ヤンマは安全なところで待ってて。」
そう言うアオハの弟、ヤンマは喧嘩がとてつもなく弱い。
それは実力社会のンコソパに暮らすヤンマにとって、恥ずかしいことであり、嫌なこと。
つまりはコンプレックス。
「ねぇ!俺だって色々できるよ!
武器作ったり、援護射撃したり。
姉ちゃんみたいに素手での喧嘩はできないけど……。
だから連れてってよ!お願い!!」
「え〜……。」
アオハは正直、ヤンマの押しに弱い。
弟の頼みを断れない質なのである。
それでも悩むのだから相当のこと。
弟を危険に晒せないと言う意味だと今のヤンマにはわかる。
しかし、昔のヤンマにはわからなかった。
アオハは、スッとしゃがむとヤンマに目線を合わせる。
「いい?ヤンマ。
人は死んだら戻らない。
そして、一度手を汚しても上手くいかない。」
「どういう、こと?」
見たこともない真面目な視線を向けてくるアオハに、ヤンマは驚きつつ聞き返す。
「一度悪いことをしたやつが、普通の人に戻ろうったってそうは人々がさせてくれないよ?
人の印象に悪い意味で残っちゃってるからね。」
「で、でも、姉ちゃんは。」
言い返そうとするが、言葉が出てこない。
ヤンマにとってそれを言うということは、尊敬している姉のことを犯罪者として扱うことになってしまうのだ。
間違ってはいない。他人に言わせれば暴行、強盗、その他諸々の罪を犯した犯罪者。
でも、ヤンマにとっては唯一の家族なのである。
「私はもう物心ついたときには手は汚れてたからね。
私にできるのは、いつかンコソパが平和になったとき、
あなたが胸張ってそこにいられるようにすることだから。」
そう言って笑うアオハの顔は、どこか悲しげで、どこか怖かった。
「よし、姉ちゃんと3つ約束してよ?
1,何もしていない人を殺さない。これは絶対ね?
2,武器の扱いには要注意。誤射とかも絶対だめだから。
3,喧嘩で手を出さない。
本物の喧嘩で手を出したら負けだよ。相手が殴ってきたら逃げなさい。」
「わ、わかった。頑張るよ。」
「いい子だね。」
わしゃわしゃとヤンマを撫でるその手は、細くて暖かかったことだけは覚えている。
それ以外のことを、ヤンマは忘れてしまっていた。
その後の、出来事によって。
その日の夜。ガタガタガタっと地面が揺れた。
地震か?と思い目を覚ましたヤンマは、空が妙に暗いのを不審に思う。
今日は、ヤンマの計算では満月のはず。
電気がほとんど使われていないこのスラム街では、満月のときの月光はとても明るい。
「ね、姉ちゃん!なんか変だよ!」
何かどす黒いものを感じたヤンマは、急いで隣に眠るアオハを叩き起こす。
アオハも危機察知能力がはたらいたのかすぐに身を起こすとヤンマを後ろに庇う。
「ヤンマ、持っていきたい荷物ある?」
「え、ないよ。大丈夫。」
「……よし、ヤンマ、ちゃんと捕まっててね?」
そう言ってアオハはヤンマをおぶり、テントから脱出する。
空には、セミシュゴッドの大群が舞っていた。
「アネキー!!どうしやしょ!!」
「アネキ〜!!助けて〜!!」
アネキというのは喧嘩屋アオハの愛称。
喧嘩屋の面々やスラム街の皆によく呼ばれる名だ。
「おう、お前ら!!避難誘導手伝って!」
「「「「りょーかい!!」」」」
逃げ惑う人々。飛び交う悲鳴。
それらがまた人々の理性を剥ぎ取る。
「ね、姉ちゃん。」
「大丈夫、心配しない。」
そんな中でみんなを誘導するアオハは、流石といったところだろうか。
もはや軍人顔負けのレベルに、舎弟たちはキラキラとした笑顔を隠しきれない。
「アネキ〜!!やっぱりかっこいいッス!」
「いいから安全なところに行ったら怪我人の手当頼む。」
それに見向きもせずにぽんぽんと指示を飛ばすアオハが、ヤンマはまたかっこいいと思った。
「よし、全員集合したか〜!!オラ!!」
「「「「「「「イエッサ!!」」」」」」
「怪我人救助優先、でもお前らの命が危なくなったらさっさと安全圏へ避難!!
わかったやつから解散!!」
その言葉を言う前に、10人ほどの喧嘩屋の面子は姿をくらます。
その場に残っているのはヤンマとアオハだけになった。
「ヤンマ、行けるか?」
「へ?」
突然の言葉にヤンマは戸惑うが、反射的にコクコクと頷く。
「了解、さっさと行くぞ。」
そう言うと、アオハはペタ城の方へと駆け出した。
なにするの、とヤンマが問えば、王に会いに行くと答えるので、ヤンマは全力で止める。
「なんで!?どうして王様に会いに行くの?逃げなきゃ!」
「敵に背中向けちゃあンコソパスラム街の女総長の名が廃れるでしょう。
さっさと直談判して避難所設置してもらって殲滅しに行くの。」
「ね、姉ちゃん、かっこいい……。」
「そんなこと言ってる暇あったら、落ちないでよ?」
逃げることが最初から頭に入っていないその言葉に、ヤンマはまた一つ憧れる。
今のヤンマの姿は、このときのアオハに憧れたものが大きい。
「わ、わかった!!」
幸い怪我はなく、スラム街の皆も怪我人はおれど死人はいなそうだ。
問題はないとヤンマは幼いながらに高をくくっていた。
そして忘れていた。大きな混乱、国を滅ぼすほどの出来事が起きれば動き出す、とある犯罪者集団の存在を。
「………!!!」
キキイッと走っていたアオハが急ブレーキをかける。
「ど、どうしたの?」
不安げにヤンマが問うと、アオハはそっとヤンマを地面においた。
その背中は、もう姉としてのアオハではない。女総長としてのアオハでもない。
喧嘩屋のアオハだった。
「ヤンマ、姉ちゃんの後ろにいてよ?」
「え、う、うん。」
なにかある。姉ちゃんが恐れるほどの何かが、とヤンマは身を引き締める。
そして指示通りきちんとアオハの背中に隠れた。
「あんた、何を邪魔すんの?」
アオハがそういった先には一人の人影。
「ねぇ、答えてくれる?なんで城への道を塞いでんの?
避難民が通れないでしょ?
城は一番安全な場所と言っても過言ではない。」
どんどんアオハの口調がきつくなっていく。
それに合わせて、相手も距離を詰めてくる。
そして、その距離がアオハの足が届くほどになった、その時。
「そこをどきな。」
アオハが必殺の蹴りをかます。
しかし相手もさるもので、アオハの蹴りを避けた後、すぐに反撃に転じていく。
ヤンマはそれを見ながら、避けることしかできない。
二人のスピードに追いつけるはずもなく、遅れていく。
もう無理かもしれない。そう思った、その時だった。
「ヤンマ!!」
アオハの叫び声。ドンッと押された自らの体。
そして、ウッと言う声の後、何も聞こえなくなった。
ヤンマが恐る恐る目を開けると、そこには、自らを庇うように倒れた姉の姿が。
「ねえ、ちゃん……?
ねえちゃん?姉ちゃん!!姉ちゃん!!!!
ねぇ、目を覚ましてよ!!姉ちゃん!!!!」
そんな彼の叫びも虚しく、アオハは目を覚まさない。
すると、アオハと戦闘していた人物が、ヤンマの方へ近づいた。
「や、めろ。やめろ!!!姉ちゃんにもう、触るんじゃねぇ!!!」
とっさにアオハをかばい出した右手は、大きな大人手に弾き飛ばされた。
アオハを抱きしてようとした腕は、空を切る。
「ねえっ……。」
アオハの体は、大人に抱えられていた。
自分たちとは違う、高貴な服。どこかの街で見たような、黒色のスーツ。
そして、ヤンマを蔑むような冷たい目。
「姉ちゃんを!!離せ!!!」
大人の足に飛びつくもものすごい力で蹴り飛ばされてしまう。
その勢いのまま頭を打ち、ヤンマの意識は薄らいでいく。
最後に心のなかで聞こえた言葉は、いつか言ってくれた姉のかすかな言葉。
「お前は、私を超える総長になれ。」
忘れねぇよとヤンマは遠くを見ながら語る。
その目は普段のように爛々と輝いておらず、どこか暗く、喪失感さえも感じられた。
「あの頃の俺は贅沢モンだった。
飯にもある程度は困らなかったし、家族だって、いた。」
姉ちゃんがな。
ヤンマはそう切り出し、話し始めた。
[水平線]
「ただいま、ヤンマ!」
ヤンマの家は、王になるまでずっとテントだ。
スラム民だからしょうがないと言えばしょうがないが、意外とその生活に愛着があったりする。
「姉ちゃん!遅いよ〜!」
ヤンマ、この時おおよそ8〜9歳。
スラム街で姉と二人で暮らしていた。
「ごめんごめん。仕事に手間取っちゃってさ。ほい、今日のご飯。」
「ありがと〜!!!」
姉の名はアオハ。スラム街を出て都市に出稼ぎに行くことで生計を立てていた。
しかし、このときのンコソパは(今も大概ではあるが)治安があまりよろしくない。
スラム街民にとってのまともな職種は安い給料でのバイト。
それより高い給料を求めるならばシュゴッダムに傭兵に行くぐらいしかなかった。
「姉ちゃん、怪我してねぇの?」
「大丈夫だって!私の喧嘩の強さ、わかってるでしょ。」
そんな中アオハは、喧嘩屋という新たな仕事を始めた。
要するに闇のボディガードの類である。
これがまたアオハの喧嘩の強さもあってか人気となり、食べるのには苦労せずにすんでいる。
「姉ちゃん、俺もそろそろ出る?
人手足りてねぇだろ?」
「いいよ。ヤンマは安全なところで待ってて。」
そう言うアオハの弟、ヤンマは喧嘩がとてつもなく弱い。
それは実力社会のンコソパに暮らすヤンマにとって、恥ずかしいことであり、嫌なこと。
つまりはコンプレックス。
「ねぇ!俺だって色々できるよ!
武器作ったり、援護射撃したり。
姉ちゃんみたいに素手での喧嘩はできないけど……。
だから連れてってよ!お願い!!」
「え〜……。」
アオハは正直、ヤンマの押しに弱い。
弟の頼みを断れない質なのである。
それでも悩むのだから相当のこと。
弟を危険に晒せないと言う意味だと今のヤンマにはわかる。
しかし、昔のヤンマにはわからなかった。
アオハは、スッとしゃがむとヤンマに目線を合わせる。
「いい?ヤンマ。
人は死んだら戻らない。
そして、一度手を汚しても上手くいかない。」
「どういう、こと?」
見たこともない真面目な視線を向けてくるアオハに、ヤンマは驚きつつ聞き返す。
「一度悪いことをしたやつが、普通の人に戻ろうったってそうは人々がさせてくれないよ?
人の印象に悪い意味で残っちゃってるからね。」
「で、でも、姉ちゃんは。」
言い返そうとするが、言葉が出てこない。
ヤンマにとってそれを言うということは、尊敬している姉のことを犯罪者として扱うことになってしまうのだ。
間違ってはいない。他人に言わせれば暴行、強盗、その他諸々の罪を犯した犯罪者。
でも、ヤンマにとっては唯一の家族なのである。
「私はもう物心ついたときには手は汚れてたからね。
私にできるのは、いつかンコソパが平和になったとき、
あなたが胸張ってそこにいられるようにすることだから。」
そう言って笑うアオハの顔は、どこか悲しげで、どこか怖かった。
「よし、姉ちゃんと3つ約束してよ?
1,何もしていない人を殺さない。これは絶対ね?
2,武器の扱いには要注意。誤射とかも絶対だめだから。
3,喧嘩で手を出さない。
本物の喧嘩で手を出したら負けだよ。相手が殴ってきたら逃げなさい。」
「わ、わかった。頑張るよ。」
「いい子だね。」
わしゃわしゃとヤンマを撫でるその手は、細くて暖かかったことだけは覚えている。
それ以外のことを、ヤンマは忘れてしまっていた。
その後の、出来事によって。
その日の夜。ガタガタガタっと地面が揺れた。
地震か?と思い目を覚ましたヤンマは、空が妙に暗いのを不審に思う。
今日は、ヤンマの計算では満月のはず。
電気がほとんど使われていないこのスラム街では、満月のときの月光はとても明るい。
「ね、姉ちゃん!なんか変だよ!」
何かどす黒いものを感じたヤンマは、急いで隣に眠るアオハを叩き起こす。
アオハも危機察知能力がはたらいたのかすぐに身を起こすとヤンマを後ろに庇う。
「ヤンマ、持っていきたい荷物ある?」
「え、ないよ。大丈夫。」
「……よし、ヤンマ、ちゃんと捕まっててね?」
そう言ってアオハはヤンマをおぶり、テントから脱出する。
空には、セミシュゴッドの大群が舞っていた。
「アネキー!!どうしやしょ!!」
「アネキ〜!!助けて〜!!」
アネキというのは喧嘩屋アオハの愛称。
喧嘩屋の面々やスラム街の皆によく呼ばれる名だ。
「おう、お前ら!!避難誘導手伝って!」
「「「「りょーかい!!」」」」
逃げ惑う人々。飛び交う悲鳴。
それらがまた人々の理性を剥ぎ取る。
「ね、姉ちゃん。」
「大丈夫、心配しない。」
そんな中でみんなを誘導するアオハは、流石といったところだろうか。
もはや軍人顔負けのレベルに、舎弟たちはキラキラとした笑顔を隠しきれない。
「アネキ〜!!やっぱりかっこいいッス!」
「いいから安全なところに行ったら怪我人の手当頼む。」
それに見向きもせずにぽんぽんと指示を飛ばすアオハが、ヤンマはまたかっこいいと思った。
「よし、全員集合したか〜!!オラ!!」
「「「「「「「イエッサ!!」」」」」」
「怪我人救助優先、でもお前らの命が危なくなったらさっさと安全圏へ避難!!
わかったやつから解散!!」
その言葉を言う前に、10人ほどの喧嘩屋の面子は姿をくらます。
その場に残っているのはヤンマとアオハだけになった。
「ヤンマ、行けるか?」
「へ?」
突然の言葉にヤンマは戸惑うが、反射的にコクコクと頷く。
「了解、さっさと行くぞ。」
そう言うと、アオハはペタ城の方へと駆け出した。
なにするの、とヤンマが問えば、王に会いに行くと答えるので、ヤンマは全力で止める。
「なんで!?どうして王様に会いに行くの?逃げなきゃ!」
「敵に背中向けちゃあンコソパスラム街の女総長の名が廃れるでしょう。
さっさと直談判して避難所設置してもらって殲滅しに行くの。」
「ね、姉ちゃん、かっこいい……。」
「そんなこと言ってる暇あったら、落ちないでよ?」
逃げることが最初から頭に入っていないその言葉に、ヤンマはまた一つ憧れる。
今のヤンマの姿は、このときのアオハに憧れたものが大きい。
「わ、わかった!!」
幸い怪我はなく、スラム街の皆も怪我人はおれど死人はいなそうだ。
問題はないとヤンマは幼いながらに高をくくっていた。
そして忘れていた。大きな混乱、国を滅ぼすほどの出来事が起きれば動き出す、とある犯罪者集団の存在を。
「………!!!」
キキイッと走っていたアオハが急ブレーキをかける。
「ど、どうしたの?」
不安げにヤンマが問うと、アオハはそっとヤンマを地面においた。
その背中は、もう姉としてのアオハではない。女総長としてのアオハでもない。
喧嘩屋のアオハだった。
「ヤンマ、姉ちゃんの後ろにいてよ?」
「え、う、うん。」
なにかある。姉ちゃんが恐れるほどの何かが、とヤンマは身を引き締める。
そして指示通りきちんとアオハの背中に隠れた。
「あんた、何を邪魔すんの?」
アオハがそういった先には一人の人影。
「ねぇ、答えてくれる?なんで城への道を塞いでんの?
避難民が通れないでしょ?
城は一番安全な場所と言っても過言ではない。」
どんどんアオハの口調がきつくなっていく。
それに合わせて、相手も距離を詰めてくる。
そして、その距離がアオハの足が届くほどになった、その時。
「そこをどきな。」
アオハが必殺の蹴りをかます。
しかし相手もさるもので、アオハの蹴りを避けた後、すぐに反撃に転じていく。
ヤンマはそれを見ながら、避けることしかできない。
二人のスピードに追いつけるはずもなく、遅れていく。
もう無理かもしれない。そう思った、その時だった。
「ヤンマ!!」
アオハの叫び声。ドンッと押された自らの体。
そして、ウッと言う声の後、何も聞こえなくなった。
ヤンマが恐る恐る目を開けると、そこには、自らを庇うように倒れた姉の姿が。
「ねえ、ちゃん……?
ねえちゃん?姉ちゃん!!姉ちゃん!!!!
ねぇ、目を覚ましてよ!!姉ちゃん!!!!」
そんな彼の叫びも虚しく、アオハは目を覚まさない。
すると、アオハと戦闘していた人物が、ヤンマの方へ近づいた。
「や、めろ。やめろ!!!姉ちゃんにもう、触るんじゃねぇ!!!」
とっさにアオハをかばい出した右手は、大きな大人手に弾き飛ばされた。
アオハを抱きしてようとした腕は、空を切る。
「ねえっ……。」
アオハの体は、大人に抱えられていた。
自分たちとは違う、高貴な服。どこかの街で見たような、黒色のスーツ。
そして、ヤンマを蔑むような冷たい目。
「姉ちゃんを!!離せ!!!」
大人の足に飛びつくもものすごい力で蹴り飛ばされてしまう。
その勢いのまま頭を打ち、ヤンマの意識は薄らいでいく。
最後に心のなかで聞こえた言葉は、いつか言ってくれた姉のかすかな言葉。
「お前は、私を超える総長になれ。」
- 1.始まり
- 2.ブレスレット
- 3.ロゼアという国
- 4.ゴッドホッパーの反乱?
- 5.ラクレスの隠し事?
- 6.悲劇の始まり
- 7.行方知れず
- 8.ンコソパ国王の過去 【前編】
- 9.ンコソパ国王の過去 【後編】
- 10.マフィアを動かせ
- 11.ハッキング
- 12.マフィアとシエボル?
- 13.ロゼアへの道
- 14.宝石の国
- 15.戦慄のシエボル
- 16.力を以って
- 17.宰相様と国王サマ
- 18.邪智暴虐の
- 19.シスコン総長と呑気な女宰相
- 20.お姉ちゃん
- 21.二人のお兄ちゃん
- 22.スズメのご飯はチキュー1 byアオハ
- 23.スズメとアオハ【前編】
- 24.スズメとアオハ 【中編】
- 25.スズメとアオハ 【後編】
- 26.選ぶ結末、選ぶ未来
- 27.子守唄
- 28.眠る宰相、明けのカラス
- 29.宰相の異変
- 30.終わりの始まり、
- 31.目覚まし時計
- 32.生きる意味ってなんですか
- 33.戦闘民族(?)
- 34.太古の守護神
- 35.王と王妃
- 36.フィナーレ開幕
- 37.宰相の遺産
- 38.ラポネ・リバナラクという男
- 39.宰相たちの墓場【前編】
- 40.宰相たちの墓場【中編】
- 41.宰相たちの墓場【中編その2】
- 42.宰相の墓場 【後編】
- 43.冷却、そして覚悟
- 44.物語の終わりへ結末へ。
- 45.アオハとシエボル【前編】
- 46.アオハとシエボル【中編】
- 47.落下、そして墜落