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さいきょう皇帝様は家族を知らない

#28

愚王と愚民、そして愚帝【後編】

「ソレイユ。お前を助けに奴らが来た。」
その言葉の意味を、私はよく知っている。
「御意に。」
奴らを殺せ。……そういうことなのだろう。
プランたちが今、みんなを殲滅してるらしい。
殺すなって頼んだからまだ大丈夫なはず。
とりあえず二人をどうにか逃さねば。
なんて考えながら部屋の扉に手をかける。


扉を開けると、ツンと血の香りが漂う。
ポタポタと床に落ちている血液の先の方を見てみれば、私のよく知るボーイが、ベッドに倒れ込んでいた。
「えん、ぺらー?」
血だらけのフクと顔。ゲソにも少しだけ血の色が混じっている。
「どうして、ここに?」
彼は苦しそうに顔をしかめると無理やり身を起こす。
そっと後ろ手で扉を閉め、エンペラーに駆け寄り、抱きしめる。
「いっ……。」
「ご、ごめん。」
しかし、彼の声ですぐに手を離し、処置を始める。
幸い彼の銃弾による傷はかすり傷だけだったが、他にも結構な数の打撲や体力消耗が激しく、動くことさえもきつそうだった。
「ライダー、ライダー。」
うわ言のようにそうつぶやく彼の傷口は、熱を帯びていた。
「大丈夫、だよ。」
私は二人を裏切った。そんな私が、彼を看病してもいいのかはわからないけれど。
ここで見捨てたら、一生後悔すると思った。
ここでも悪役をやってたら、死ぬまでそのことを思い出すと直感していた。
だから私は一夜の間、エンペラーの手を握り続けたのだ。


気がつけば夜が明けていた。
陽の光が眩しい。エンペラーは少し落ち着いたのか静かに寝息を立てている。
「[小文字]よかった………。[/小文字]」
そっと彼の頭をなでた後、私は部屋を後にする。
タッタッタとプランたちが駆けてくる。
「お嬢様。お嬢様を狙いし逆賊はほとんど我らが捕まえました。」
「ほとんど?」
「まだ一人、スクエアの王が残っておりますれば。」
エンペラー以外、みんな捕まったのか?
一体何人連れてきたんだ、ライダーたちは。
聞いている限りじゃあ結構少ないんだろうケド……。
「何人捕まえた?」
「はっ!!24名にございます!!」
24。その数をよく捕まえたなと逆に感心してしまう。
最強すぎるだろ、私の従者。
「殺してはないだろうな?」
「は!全員殺さない程度には痛めつけておりますが。」
「そうか。」
胸の奥が痛い。
みんな、私のために痛めつけられた。殺されかけた。
その恐怖はどれほどのものだったろう。
安全なところで、立ち止まっている自分が憎たらしかった。
ごめんね、エンペラー。
そう心のなかで何回か唱え、私は覚悟を決める。
「プラン。父上に会いに行く。警護せよ。」
「御意のとおりに。」
光の漏れる寝室に背中を向けて、私はあの男の元へと行く。




[水平線]



「父上。」
「なんだ?ソレイユよ。」
あの男は、いつも通り高座に座っていた。
言葉に感情はない。
「父上に進言したきことが「それよりこれを見てみよ。」
私の言葉遮って、あの男がなにかのスイッチを持つ。
私は逆らえないので言われた通りあの男の指し示す方を向く。
[太字]ピッ[/太字]と音がして、後ろにスクリーンが出現する。
そこに映っていたのは……。
「滑稽だろう?」
傷つき、倒れたみんなの姿。
S4チームにグローブチーム、
シンペラーチームにXブラッド、
ブルーチームにイエローグリーンチーム。
「……!!!」
特にライダーの傷はひどい。
何発か弾が貫通していないだろうか?
残っていたらいたで問題なのだが。
「どうだ?貴様が殺るよりも早くプランたちがやってくれたぞ。
貴様がどちらにつくか迷っているうちにな。」
「っ………。」
全部バレている。全部こいつは見通したうえで私に話しかけている。
やっぱり、一筋縄じゃいかないかと私は気合を入れ直す。
「父上。彼らを如何するつもりで?」
「そうだな……あの強さでは殺すのは惜しい。
大部分は洗脳して奴隷にでもするかな。」
大部分。つまり少数は奴隷にするつもりさえないということだ。
それだけこの男の怒りを買う人物は……二人しかいないだろう。
「ただ、二人。お前をたぶらかした二人は許すつもりはないからな。
は新たな技術の実験体になってもらおう。」
震える身体を押さえつけ、実験体という言葉の意を尋ねる。
「どういう、ことで、ございましょうか?」
「なぁに、簡単だ。新薬、新兵器、その他諸々を受けてもらうモルモットになってもらう。
そうだ。毒薬の実験体にもなってもらおうか。」
「そっ……それでは、人の道を自ら踏み外しているようなもn「何が悪い?」
私の言葉を、あの男は一蹴。私を威圧しにかかる。
「我らは生まれてもう人の道を踏み外している。
お前もだぞ?この家に生まれたからにはもうすでに悪なのだ。
悪が人の道を踏み外そうとなんら問題ないではないか。」
生まれたからには、悪。
その言葉を、私は幾度となく聞かされてきた。
私も、幼い頃はそう思っていた。
この家に生まれたからには、悪事で身を立てることしかできないと。
けれど、シャインお兄ちゃんはそうじゃなかった。
私が逆らえなかったこの男に、真っ向から反抗した。
バトルで最強になって、この家に生まれてもまともな事ができることを証明した。
悪事じゃなくても身を立てることができることを証明した。
そんなお兄ちゃんたちは、私の光だった。
―お前は、生まれてきてよかったんだよ。―
―親は選べないからね〜。自分で道は決めるしかないよ。―
―生きて、生きて、なんとか生きてれば、きっと。いいことあると思うよ、私は。―
―オレらは、ソレイユが優しいこと知ってるぜ。―
暖かかった。
彼らが私の[太字][大文字]家族[/大文字][/太字]だった。
私は、本当の家族を知らない。
両親の愛も、親戚の笑顔も、兄姉の本当の顔も。
何もかも知らないけれど、これだけは言える。
私の本当の家族は、この男じゃない。
「もう、我慢する必要もなさそうですね!!!」
私は、あの男の額にピストルを突きつける。
「な、父親に何をする、ソレイユ!?」
「貴様を父だと思ったことは一度たりとてない!!
私の家族はお兄ちゃんとお姉ちゃんと二人だけだ!!!!!」
その大声で、プランとラムネ、レインがやってくる。
「な、何をなさっているのです、お嬢様!?」
プランのその言葉とともにレインとラムネが私を確保しにかかる。
けれど私は二人を蹴り、殴り、ひっぱたき、喧嘩術を駆使して腕と腕の間をすり抜ける。
「お嬢様!!」
プランもそこに乱入し、4対1の大乱闘。
最終的に私はぐるぐる巻になり、庭に投げ出された。
「なぜこんな事をした?」
「なぜと言われても、前から思っていたことだからな?」
フッと鼻で笑ってやると、あいつの額に青筋がたち始める。
ノッてくれた。あとは、このまま煽り続ければいい。
「人の道を踏み外そうと問題ない?問題大有だろうが。
あんたはそれを悪の家に生まれたからってごまかしてるだけだろ。
私の兄は、姉は、あんたの実の子だけど真っ当な道歩んでたぞ。
あんたが無理矢理止めただけで!!」
少しずつあいつの理性が奪われていく。
これでいい。こうしてみんなから意識をそらす。
そして、私に気を取られている隙に____
「もういい。」
あいつがまた私の言葉を遮る。
「処刑だ。すぐに手配せよ。」
「しかしっ!!」
「なにか問題があるのか?」
プランはあの男に何か言いたそうにしていたが、口をつぐみ、頭を下げた。
作戦成功と心のなかで笑おうとしたその時。
「そしてあの二人も処刑だ。一人は見つけ次第殺して構わん。」
「え!?ちょ、待って、なんで罪のない二人まで……。」
ハッとするが、もう遅い。
素で喋ってしまったからには弱みを見せたも同然のこと。
やらかした。私は本当に愚帝だ!!
「お前を誑かした罪は重い。」
そう言ってあの男は奥へと下がっていってしまい、私はプランたちに抱え上げられ、どこかへ連れて行かれてしまった。

作者メッセージ

いよいよ最終決戦に向けて!!と言うところで、ソレイユとボスとの決別を書きました!
ライダー、エンペラーはどうなってしまうのでしょうか!?
書くと長くなるので今日はここまで!他の小説も読んでってね!
では!See you again!

2024/08/16 15:33

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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