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さいきょう皇帝様は家族を知らない

#22

キミを助けるために

「さん……兄さん!!」
「ぷ、リンツ?」
「エンペラー!!」
ライダーの声とプリンツの声でオレは目を覚ます。
睡眠薬の影響か、それとも持ち前の低血圧なのか、頭がポヤポヤする。
なんとか起き上がるが、コックリコックリ頭が動いてしまう。
「ん。ライダー。」
「なんか食うか?腹減ったろ。昼飯前だったしな。」
コクっと頷くとライダーはどこからかおにぎりを出してくれる。
「悪いな。材料これしかなくてよ。」
いいよ。と言って掴もうとするけどポヤポヤしてるせいでうまく手が動かない。
「あー。食えそうか?ほら、口開けろ。」
あったかいライダーの声に反応して口を開けると、そこにおにぎりが放り込まれる。
具材は……たらこか。
「美味いか?」
「うん。」
もぐもぐとおにぎりを咀嚼しながら、意識がはっきりしてくるのがわかる。
「すまなかったな。迷惑かけた。」
「いいんだよ。さっさと食っとけ。食ったらソレイユ取り返しに行くぞ。」
「りょーかい。……いや、王に命令するな。」
了承の意を示した後、プリンツたちもこの場にいることを思い出し、慌てて取り消す。
「いや兄さん、多分もう無理だよ。」
「無理じゃない……だろう。ま、ライダー。弁当忘れるなよ。」
「はいはい。」
すぐに準備に移るところが、本当にかっこいい。
「兄さんが人の言う事聞くなんて……。」
「ライダーが人の言う事((以下略」
「「うるさい!!!」」
耳の痛いことを言うな。
ライダーとソレイユ限定なんだよこれは!!
「ライダー、エンペラー。」
ゴーグルの声。
けれど、その声はいつもとちょっと違う。
深くて低い、彼には珍しい声色。
後ろでは、他のチームの奴らもいる。
「……教えてくれないか?」
「何を。」
口火を切ったのはグローブ。
シラを切ろうとそっぽを向くが、そうはさせてくれない。
「エンペラー。ソレイユって誰だ?あの子は、何なんだ??」
「答えて、くれないか?」
Jr.の困惑した声。エンペーサーには珍しく熱を帯びた声。
皆からの視線も、痛い。
「嫌だって言ったら?」
「無理矢理にでも言わせる。」
ライダーのチームメイト、ナイトビジョンが恐ろしいことを言い出すので、オレたちは折れて、話し始める。
「ソレイユは、……流石のお前らでも知ってるだろ。
[漢字]犯罪者集団[/漢字][ふりがな]ドゥンケルファミリー[/ふりがな]の子どもだ。」
「小さいときから殺し屋、詐欺師、ハッカー、そしてボスになるための訓練を受けていたんだよな。」
つらつらと並べ立てるあいつの過去は、何回も聞いた壮絶なもの。
オレたちしか知らない。あいつの秘密。
「……オレらが知ってるのはここまでだ。」
「うん。」
皆の顔色がどうも悪い。
結構衝撃的な内容だったからな。
オレたちも聞いた時、ソレイユのこと問い詰めたし。
「な、なぁ。その子に兄弟とか……。」
Jr.が救いを求めるように聞く。
オレは一つ息をつき、ベッドから降りる。
「いたさ。シャインズチーム。聞いたことあるだろ。バトル最強として名高いあのチーム。」
え。と皆から驚きの声が上がる。
オレたちだって驚いたさ。それに。
「その四人は父親……いや、あのファミリーのボスに逆らってバトルを行っていた。だから消された。……ソレイユの目の前で殺されたんだ。」
淡々と言っているが、その目には悲しさがにじみ出ていた。
「それが、オレたち三人が出会ったきっかけの始まりだ。」
オレの声も細くなる。
あの時なにかできてたんじゃないか。今でもそう思うことは多い。
なんでこんなに話すだけでしんみりするんだ、ソレイユの過去は……。
「……ライダー、ソレイユは助けられないの?」
ブルーチームの皆が。
「ねぇ、ライダー。」
イエローグリーンチームの皆が。
「……。どうしたら救える?」
S4の皆が。
「エンペラー。」
シンペラーチームの皆が。
そう訴えかける。
「オレたちだって救いたい。
それに人は多ければ多いだけいい。
でも、それでも。危険が伴うのは確かだ。」
唇を噛む力が強くなる。
痛みも気にせず皆の方を向く。
皆は、覚悟が決まった目をしているから余計にたちが悪い。
「オレらならまだ、あの男の楽しみとして取っといてもらえるかもしれねぇけど。
下手をすればお前らまで死ぬんだぞ!?」
ライダーの言うことはごもっとも。
オレだって、そういう風に強く言えたら良かったのに。
「……ライダーは、エンペラーはどうしたいの?」
ゴーグルの声が静寂を切り刻む。
「二人はソレイユを助けたいんでしょ?
オレたちは、二人がいないと何もわかんないよ。
だから、どっちがいいの?」
「ボクたちは、なんだってやれる!
ライダーの助けにだってなれるよ!」
「ボクたちが死ぬわけ無いでしょ、兄さん!」
「足手まといにならないことは保証してやろう。」
「ワガハイのマニュアルさえあれば、皇帝を取り戻すことなど!!」
ワイワイと皆が騒ぎ出す。
てっきり、そのまま引くのかと思っていた。
「……お前ら。」
「どうするの?オレたちは、行く気でいるけど。」
あぁ、こいつは本当に、オレたちの扱い方を体で覚えている。
オレたちは、仲間が決めたことはなんとかして叶えたい性分なんだ!!
「……ついてこい。絶対一人も死ぬんじゃねぇぞ?」
「フッ。丸くなったな。ライダー。」
おーっ!!と奴らが右腕を上げる。
すごいな。ソレイユ。
まだ話したこともない奴らが、お前のために力を貸してくれるんだ。
「取り戻しに行こう。オレたちの、ソレイユを。」
「当たり前だろ。」
今行くよ。絶対助ける。待っててくれ。
もう少しで、自由にしてやるから。


[水平線]


「ソレイユ。わかっているな?」
「御心のままに。」
ごめんね、ライダー、エンペラー。
頼りない私で、本当にごめん。
私はまた、お前らを利用してしまう。

作者メッセージ

第一章がここで終了!第二章に移っていきます!
次の物語のステージは闇社会へ!
チーム同士、グループ同士で協力し合い、ソレイユを助け出すことはできるのか??
お楽しみに!

余談
活動報告の方で、新しい小説作りますと書いたんですが、ちょっと延期させていただきます。
(すぐ作りますんで)

2024/08/10 16:42

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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