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さいきょう皇帝様は家族を知らない

#21

新たな皇帝と闇社会の子

ダイナモの重い一撃を、まるでマニューバーのように躱し、
スプラマニューバーの翻弄を平然とのしてしまう。
……そうだった。こいつの強さはハンパではないんだった。
「楽しいなぁ。ここまでのってこれたの、お前らだけだよ。」
「こっちだって必死だけどな。」
「お前の戦い方はだいたい把握しているものだからな。」
何年も何年も戦ってきた相手だからこそ、作戦、癖、体力の持ち方はよく分かる。
弱点は未だに発見できていないが……。
ダイナモで避けるのはやっぱり大変だし、腕足への負担が大きい。
それをライダーもソレイユも軽々やっていたというのか。
あいつらは本当に馬鹿力がすぎる。
……オレには、できないけれど。
「カイザー!!!!!」
ライダーがオレの名を呼ぶ。
ソールがもう、目の前に迫ってきていた。
油断した。まずい。このままじゃ。
スペシャル。上がる時間どうするんだ。
サブ。投げてる暇ない。
やばい、まずい。どうする。
逃げる?相手はソレイユだぞ?できるわけ無いだろ。
その間にも、ソレイユは迫ってくる。
「……ヒュッ」
息を呑んだ、その時。
「“オレの”に手ぇ出すな、ソレイユ!!!!!」
ライダーがスライドで突っ込んできた。
突然の襲撃に流石のソレイユも飛び退く。
「お前も、オレのだけどな。」
「……な、ナイト。



……オレは誰のものにもならぬ!!!」
「「「「「そこ!???!?」」」」」
全員のツッコミが炸裂するが、オレは気にせず、ライダーの後ろで立つ。
「もう、隠さなくてもいいだろ。隠すのになんの意味がある?
もう、ここは決勝の地。勝てなきゃ終わりだ。」
「要約しろ。」
察しろ論理はオレには通用しないので、ライダーに翻訳を依頼する。
「そろそろこれ外してもいいんじゃね?」
ライダーはエイズリーバンダナを指さし、笑って言う。
「……好きにすればいいんじゃないか。」
「流石だな。じゃぁ……。」
バッと二人で息を合わせ、バンダナを外す。
そして、インクの色を普段の色に。
「「「「「えっ!!!????」」」」
あぁ、やっぱり驚くか。
まぁ……そりゃぁな。わかんないよな。
服の感じも普段と違うもんな。
「本気出すか。エンペラー、ダイナモ。」
「わかってる。そっちもマニューバー。」
お互いにブキを交換し、構える。
やっぱりこっちの方が落ち着く。
「勝てるか、ライダー。」
「逆に勝てないとでも思ってんのか?」
「まさか。」
その言葉と同時に二人で踏み込む。
「「負けるわけ……ねぇだろ!!!」」
ダイナモローラーとマニューバーの一撃御見舞するが、スッと避けられてしまう。
しかし、予想通り。
「エンペラー!!」
「任せろ!」
そう。この日のために用意してきたブキ。
スプラマニューバー。
スペシャルは……
「[太字][大文字]マルチミサイル[/大文字][/太字]!!!!」
「!?!?嘘だろ?!」
ソレイユも頭になかったのか驚きの声を上げる。
しかし、そう言いつつも全てをヒョヒョイと避けてしまうのがソレイユという奴。
でもこの作戦はそれだけじゃない。大丈夫。
「やるね「余裕そうだが、下ばかり気にしすぎなんじゃないのか?」
オレの言葉に、ソレイユは首を傾げる。
「上、見てみろ。」
そう。
……上には、ライダーがいる。
「[太字][大文字]ナイスダマ[/大文字][/太字]だ!!」
「ナイスだ、ライダー!!」
足場をなくしたところにナイスダマ。
オレたちが何回も試行錯誤した技。
ずっと、ずっと考えていた技。
「行っけーーーーーーー!!!!」
この技なら、皇帝にだって負けるわけない!!!!!!!
オレたちは、最強の王と騎士だ!!!!!
「こいつで……どうだ!!!!!」
[太字][大文字]ドズゥゥ……[/大文字][/太字]
ナイスダマがソレイユの頭上に炸裂する。
そして。
パシュゥゥゥ……
ソレイユが、スタート地点に戻っていく。
「こ、これって……。」
「ヒット、できた!?」
オレたちの信じられないという声を合図に、ワァっと歓声が上がった。
「ライダー!!」
「兄さ〜ん!」
「エンペラー!!」
「すごかったよ〜!!」
祝福の言葉。感動の言葉。
いろいろな言葉が聞こえるが、オレたちには、ソレイユをヒットできたという信じられない事実が頭の中を回っていた。
「ら、ライダー。」
「あぁ。ついにやったのか。」
達成感をダイナモを何回も振り回した故の筋肉痛が消し去っていく。
やっぱりライダーは怪力みたいだ。
「二人共!!!!」
ソレイユの声が聞こえる。
やったぜとピースサインを送ろうとしたその時、ソレイユがオレたちを押し倒した。
「え。」
隣を見ると、ライダーも何がなんだかわかっていないような表情。
オレたちが地面に背中を打ち付けた瞬間だった。
[大文字][大文字]チュドンッ!!![/大文字][/大文字]
オレたちが立っていた場所を、銃弾が通り抜けていった。
会場が騒然とする。
ソレイユは、どこからか拡声器を取り出すと、銃弾が来た方向を向く。
『新たな皇帝たちを襲撃とは、流石に無粋が過ぎませんか。父上。』
冷たく、強いその言葉は、静かな会場で大きく響く。
その言葉が聞こえたのか、ソレイユの脇を、銃弾がかすめていく。
『お答えください、父上。
今、何用でこちらに?
答えてもらわねば我らは何もできませぬ。』
銃声ももろともせずにソレイユは言う。
オレたちは、そんなソレイユの背中を、じっと見つめた。
『なぜ負けた?』
突然現れたスクリーン。
そこに映った男の低い声が会場を揺らす。
これが、ソレイユの父親の声。あの、男の声なのか。
『信じて託した。お前なら勝てると思った。
……なぜ負けた?』
「そ、それは。」
ソレイユが言葉に詰まる。
ほらなとあの男は鼻を鳴らし、ソレイユを見下ろす。
『新たな皇帝?お前は頭さえも使えないのか?
ただでさえ弱いのだから、頭ぐらい使えるようになれ。
お前は、我が家の面汚しだ。』
「……ま、ことに申し訳ありません。」
あいつには珍しい苦しげな声。
観客も、ざわざわとこの状況を飲み込むのに必死なようだ。
『全く。お前の兄たちが反逆していなかったら、こんな使えないお前を使うこともなかったのにな。』
その言葉に、オレたちの堪忍袋の緒が切れた。
「なんだとぉ!!??」
先陣を切ったのはライダー。
大きい声で会場の視線、あの男の視線を集める。
「こいつは役立たずなんかじゃない。
今日はオレたちが勝てたが、それは所詮2対1。1対1では勝てない。」
「力だってずっと強い。作戦を立てるのだって上手い。
どんなブキでも扱える。それのどこが役立たずなんだ?言ってみろ!!」
オレたちはそう捲したてる。
しかし、ソレイユはオレたちの肩をぽんっと叩いた。
「大丈夫だよ、二人共。
……もういいんだ。ありがと。」
「そ、ソレイユ。」
ソレイユはフッと笑うと、拡声器を持った。
『さぁ、皆聞くがいい!!
我はドゥンケルファミリーが末子、ソレイユ・ドゥンケル!!
[漢字]犯罪者集団[/漢字][ふりがな][/ふりがな]の子として生まれ、集団の長となる[漢字]運命[/漢字][ふりがな]さだめ[/ふりがな]を負った者!!
ひれ伏せ平民ども!闇に飲み込まれよ!!』
その言葉とともに、会場の前から兵隊が飛び出してくる。
バトル用のブキを改造した、所謂改造ブキを手に。
「エンペラー!!」
オレは頷く。まずは観客の安全だ。
でもそれは、プリンツたちに任せればいい。
オレたちがやるべきなのは……。
「「ソレイユ!!!」」
ソレイユを、絶対にあちら側に行かせないこと。
「二人共。」
「行っちゃだめだ、戻ってこい!」
「あいつの虚言になど従うな!!」
必死に呼ぶが、あいつが戻って来る気配はない。
こちらを向くこともなくあいつは向こうへ行ってしまう。
「弱くて。役立たずで。普通じゃなくて。
こんな私の居場所は、もうない。」
悲しげな声で、そう言い残し、あいつは走り去っていった。
「お前は弱くない!
役立たずじゃない!!」
ライダーのその叫びも、あいつの耳には入らなかっただろう。
オレの目には、なぜか涙が浮かんでいた。
会場に煙が立ち込める。液状の睡眠薬でも混ぜてあったのだろうか。
オレたちの意識は暗闇に落ちていった。

作者メッセージ

遅れてすいません!
これからソレイユの家族の話となっていきます。
ライダーたちも必死にソレイユを救おうと頑張っていますが、その努力が報われる時は果たしてくるのでしょうか。
感想、リクエスト、バシバシください!
待ってます!
では!See you again!

2024/08/04 15:12

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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