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さいきょう皇帝様は家族を知らない

#17

オレ等の宣戦布告

シンペラーチーム戦の後。
オレはエンペラーとスクエアのビル街の路地裏にいた。
家に帰る気になれず、たまには裏路地の方をぶらぶらしようと思ったのだ。
「こういうところが、スクエアにもあるんだな。」
「そうだな。」
発展しているスクエアも、一歩路地裏に入れば薄暗く不気味な裏の世界が姿を表す。
シティでもそうだったが、スクエアは発展しているからこその裏の世界の広さがある。
エンペラーはいいところの坊ちゃまだから知らないのも無理はないだろう。
「あいつは、こんなところに住んでいたのか。」
「あぁ。そう……だよな。」
昔からずっと、エンペラーはソレイユのことになると人が変わる。
そして、自分のことのように考える。
料理の栄養価、ベッドの柔らかさ、子守唄の音程。
果ては電球の形やらギアまでも管理したがる。
心配性にもほどがあるといいたい。
まぁいいところの子だからこそこだわれるものもあるのだろうが。
「寒かったろうな。」
「あぁ。」
「怖かったろうな。」
「雨が降ったら、命かけないと生きてけねぇよな。」
「肺炎起こす可能性もある。
なんでこんなところにいれたんだ……。」
落ち着け落ち着けとエンペラーを押さえる。
このままだとちょっとまずい方向へ動くぞ、こいつ。
あいつが無事帰ってきても、いろいろな意味で無事でいられるかどうか……。
いや、オレも何もしないという気にはなれないんだけどな。
「最初、あいつに会った時、ハイドラ持ってたよな。」
「子供の頃でハイドラントを持てる筋力には感心しきりだ。」
持っていたハイドラントを、ソレイユはいつだって離そうとしなかった。
確か、誰かの形見とか言ってたかな。
あいつに、家族と言えるやつがいたのにはびっくりした記憶がある。
だって実の親があれだからな。
「懐かしいよな〜。二人で喧嘩売りに行ったっけ。」
「あの時のあいつの顔は見ものだったな。」
夜の星空を眺めながら、カラカラと笑う。
あの時もこんな夜だったなと思い出しながら。
あれは、エンペラーがちょっと臆病で、
オレがちょっと強がりだった昔々のこと。


[水平線]


「本当に行くのか?」
不安げなエンペラーの頭を一発殴ってから走り出す。
「ここまで来たら退けねぇだろうが。」
「だからって殴らなくてもいいじゃないか。」
ぷくっと膨らませた顔には幼さが残る。
しかし、恐怖は微塵たりとて感じられない。
こいつらしいなと思いながら、ずしりと重いダイナモローラーを握りしめる。
エンペラーの手にはオレが持たせたスプラシューター。
まだ彼の代名詞のマニューバーは開発されてもいなかったのだ。
「いいのか?大丈夫なのか?」
「覚悟決めろ。最悪お前だけは守ってやれるから問題ねぇし。」
よくないというエンペラーの声を背に受けながら、オレは目的の家を視界におさめる。
見ーっけとつぶやくとオレは、エンペラーの腕を引っ張り木陰へと隠れる。
「エンペラー。行けるか。」
「はぁ……。わかった。行こう。」
諦めたように肩を落としたエンペラーは、身軽に手近な屋根に登ると、オレを呼んだ。
「行くんだろう。」
「もちろんだ。」
オレもダイナモを持ち上げ、屋根へと飛び移る。
そしてとりあえず作ってきた爆竹を庭に投げつける。
パパパンっと軽い音が響いた。
すぐに誰かが集まってくる。警備は厳しいとは思っていたが、これほどとは。
「何奴!?」
野太い声。冗談にも優しいかたぎのものとは思えないほど乱暴な声だ。
「オレか?オレは……あんたらの頭の娘に世話になっててな。
ちょっと親父さんへの挨拶さ。」
油断せぬようにダイナモローラーを構えつつできるだけ優しい声で言う。
エンペラーも背中を合わせ、隙をなくす。
「[小文字]ライダー。[/小文字]」
「[小文字]大丈夫だから。信じてくれ。[/小文字]」
外、内、前、後ろ。大丈夫。俺等ならきっと。
「……かかれっ!」
「来るぞ!!!」
襲ってきた相手を、オレはダイナモローラーで潰し上げる。
あっという間に気絶した人の山が出来上がる。
エンペラーもスプラシューターで目隠し及び登ってきたやつを落とす。
すぐに警備隊は片付いてしまった。
「手応えねぇ奴ら。」
「弱いな。」
トンっと庭に飛び降りると奥にいるであろうあいつに呼びかける。
「なぁ。わかってくれたろ?オレ等は強ぇ。
今日のこれは、宣戦布告だ。」
相手は何も返さない。
聞こえていないのかもしれない。
でもオレ等は今更止まりやしない。
「今度は本気で勝ちに行くぞ。
覚悟しとけ。」
そしてオレ等はスーパージャンプ。
家へと戻る。
エンペラーは、オレにもなにか言わせてくれと文句顔だったが、オレは満足だった。

[水平線]

「……飯でも食いに行くか。」
「あぁ。」
まだ、あの宣戦布告は終わってない。
オレ等とあいつの戦争は、まだ狼煙が上がったばかりだ。

作者メッセージ

はい!毎回恒例過去編ですね!
宣戦布告!!これ、ライダーが一緒に住む事になったことのちょっと前なんですよね。
家族のことは二人共ソレイユから聞いたって感じです。
これを聞いてあの馬鹿者(ソレイユ父のことです)はソレイユを呼び出すんですよ。
まぁ……ほとんど今回裏話ですけどね。
では!See you again!

2024/07/28 16:53

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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